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ふしぎ盆栽ホンノンボ 宮田珠己

著者の本を読むのは2冊目だが、本書も前に読んだ作品と同様、非常に面白かった。著者がベトナムでふと見つけた「ホンノンボ」という「盆景」にいたく感動、「ホンノンボ」を求めてベトナム各地を旅するという紀行本だ。「ホンノンボ」とは、①岩が本体②ミニチュアがある③水を張った台に乗っている④姿が地形っぽい⑤道教的宇宙観が投影されている、という5つの特徴を持ったベトナム独特の盆栽に進化する前段階の「盆景」とのこと。著者の「奇妙」なものに愛着を持ちそれをとことん追求するという姿勢には大いに共感するし、自分もこうしたものの見方ができたらいいなぁと思う。あまり、学術的に体系づけて考えようとか分類しようとかせず、「一国の伝統文化が、こんなにマンガのようにマヌケな感じで良いのか」という感想から出発した自分の感性に忠実に、最後まで正直に対象物を見つめ続ける姿勢も大変良い。百聞は一見に如かずということで、本書もカラーの口絵が満載で、それを見ているだけで楽しいし、あとがきにまで口絵がいっぱいというサービス振りが嬉しい。ベトナムの人にはベトナムの人の感性があって、それを完全に理解することはできないけれど、自分なりの楽しみ方を見つけてそれをぶつけて交流する、著者は本書でそんな国際交流の正しいあり方を示してくれている気がする。(「ふしぎ盆栽ホンノンボ」 宮田珠己、講談社文庫)

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