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化石の分子生物学 更科功

難しそうな題名だが、内容は、化石から取り出したDNAを色々調べる技術が開発されたことによって判ってきた面白いエピソードを教えてくれる啓蒙書。エピソードを語りながら、その技術を判り易く説明してくれていてためになるし、そのエピソードが半端なく面白い。面白いのは、色々な科学者の努力が、成功したものばかりでなく、失敗に終わったものまで、ちゃんと説明してくれているからだ。さらに、生物や自然に関する著者の思いも各所で語られていて考えさせられる。ためになり、面白く、考えさせられる、3拍子そろった本というのはめったにない気がするが、本書はまさにそのお手本のような素晴らしい本だ。内容としては、「カンブリア大爆発」の原因として、これまでの①酸素濃度の上昇 ②全球凍結後の温暖化という2つの定説以外に、③捕食者の登場という3番目の説を紹介している点だ。この説は、硬組織(骨、歯、殻)の登場とか目の登場というこの時代の生物の変化を上手く説明していて、説得力があるように思われた。(「化石の分子生物学」 更科功、講談社新書)

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