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動乱のインテリジェンス 佐藤優・手嶋龍一

中身の濃い対談集ということは間違いないのだけれど、語り手の2人の役割分担が最後まで良く判らず、読みながら、本書が対談形式になっている理由はいったい何なのだろうと考えてしまった。話し方も、内容も2人とも良く似ていて、しかも話がどんどん繋がっていく。対談の場合、話題によって、どちらかが話し手で、どちらかが聞き手に回るというのが普通だと思うのだが、両方とも、話す材料をいっぱい持っていて、それを交互に出してきているという印象を受ける。要するに本書では、対談している2人が偉すぎて、話題によって読者のレベルで聞いてくれる聞き手がいないのだ。本書が対談集という体裁をとっているのは、対談形式の良いところを考えてのことではなく、非常に忙しい2人なので、ずっとしゃべってもらって本にする方が時間的にも作業的にも手っ取り早いということなのではないか。2人の本を2冊読まずに2冊分の勉強ができるというのはりてんではあるのだろうが、初心者にはそのあたりが少し辛い気がした。(「動乱のインテリジェンス」 佐藤優・手嶋龍一、新潮新書)

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