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謎の進学校「麻布」の教え 神田憲行

自分自身の母校がこうした本になるのは少し奇妙な感覚だが、如何せんその学校を卒業したのがもう40年前ということで、「そうそう」と相槌を打つような記述はほとんどなかったし、自分の学校への郷愁もほとんど感じることがなかった。本書を読んで感じるのは、40年という月日の重さのような、この本とは全く関係のない感想ばかりだ。但し、最後のところの2ページほどの麻布の学園紛争に関する記述、それから卒業生OBの話のなかで「丸坊主の巨漢が校内を竹刀を持って廊下を徘徊していた」というところには、流石に当事者だっただけに、知りつくしている事実であるにも関わらず、じっくりと読んでしまった。特に「徘徊する巨漢」を私自身目撃したことがあるからだ。出くわした時の滑稽な感じと違和感、何もなくすれ違った時の安堵、その時の記憶は、6年間の学校生活のなかでも10指に入る強烈な思い出だ。(「謎の進学校「麻布」の教え」 神田憲行、集英社新書)

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