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消えたイングランド王国 桜井俊彰

サダム・フセイン政権下のイラク空爆に参加するかどうかという国連の議論の場で、イギリスの外相が「現在のイギリスという国を作ったのはフランス人である」という発言をして失笑を買ったという。失笑を買ったというのはともかく、この発言は、現在のイギリスのエリート階層の深層心理をよく表していると同時に、政治的にはかなり勇気のある発言だという。こんなエピソードから始まる本書は、イギリスという一外国のかなり短い期間の歴史を語る啓蒙書だが、読んでいると結構面白いし、現代のイギリスや欧州を考える上で様々な示唆を与えてくれるような気がする。すぐに役立つとか、誰かに話して面白がってもらえるということもないが、知らないよりは知っておいた方が断然良い、そう思わせてくれる。教養本の見本のような良書だと思う。(「消えたイングランド王国」 桜井俊彰、集英社新書)

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