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真実の10メートル手前 米澤穗信
「王とサーカス」で、作者が2年連続で年末の年間ランキングを総なめにしたと思ったら、すぐに本書が刊行されていた。何だかできすぎな話だが、本書の帯には応募券がついていて、「王とサーカス」の帯についている応募券と2枚一組でプレゼントが当たるとなっていた。「王とサーカス」を本棚からとりだしてみると、確かに何の説明もなくただ帯に「応募券」と印刷してある。要するに「王とサーカス」が刊行された時には、すでに本署の刊行が決まっていたということだ。その時は2年連続各賞受賞というのは読めていなかったはずなので、ある意味「良かったね」ということだが、「王と…」がかなりの話題になることは、かなりの自信があったということだろう。内容としては、ミステリーの度合いの強い作品と謎はないが余韻を残す作品がうまく配置されていて、飽きさせない。主人公の人物像や「王とサーカス」に至る成長も分って面白い。編集のうまさ、丁寧さが際立っていると感じた。(「真実の10メートル手前」 米澤穗信、東京創元社)
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