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雑草はなぜそこに生えているのか 稲垣栄洋

人間が雑草と呼んでいる植物にも生存のための独自の戦略があるということは容易に想像できるが、それがどういうものかはなかなか思い浮かばない。本書は雑草の生き残り戦略についての驚くべき実態を、雑草という定義から判りやすく教えてくれる解説書だ。頭の悪いアブを花粉の媒介にする雑草と賢いミツバチに花粉を運んでもらう雑草の戦略の違いなどには、ものすごくびっくりした。その違いが、春の野原の一面黄色のお花畑という光景の理由と知って二度びっくり。また、ゴルフ場のラフとグリーンに生える同じ雑草が刈り取られないように背丈を変えて生えているという話にも、その植物の適応力の凄さに驚かされた。若い人向けの記述が少しまどろっこしいが、驚き満載の一冊。ニッチなものを研究対象としている科学者の本は面白いものが多い。(「雑草はなぜそこに生えているのか」 稲垣栄洋、ちくまプリマー新書)

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