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ポースケ 津村記久子

芥川賞受賞作「ポトスライムの舟」の続編ということで読んでみた。色々読んだ著者の作品を書かれた順番に頭の中で並べてみると、その作風の変化がはっきりと読み取れるし、特に芥川賞の受賞前と後には小さな断絶すら感じられる。本書は、当然その断絶の後の作品ということになるが、色々悩んだり苦労したりしながらも登場人物たちにそこはかとない明るさを感じるのは紛れもなくその断絶の後の作品の特徴だ。ポースケの晩に集う人々と、主人公が彼らに振る舞う晩餐の意味。著者の多くの作品の中で最も感動的な一場面だ。(「ポースケ」 津村記久子、中公文庫)

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