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月夜に溺れる 長沢樹

何故か事件の重要人物と昵懇になってしまうという厄介な体質を持つシングルマザーの神奈川県警職員が主人公の連作短編集。主人公は、事件解決のための能力や意欲も十分だし、その厄介な体質も本人に責任があるわけではないので、上司もその扱いに困り、刑事課ではない部署に所属させ、事件のたびに応援要員として事件に関わらせるというやや複雑な設定。刑事課の人間にとっては、その体質の故、彼女のそばにいれば大きなヤマの解決に関わることができるということで、必ずしも嫌がられるわけでもないらしい。警察内部にも色々な人間関係があるんだろうなぁと思わせる内容だ。現代の病巣とも言える少年犯罪など事件関係者は総じて若者で、事件の内容は痛々しい。そうした事件の解決に向けた主人公の活躍もさることながら、それぞれの事件が横浜界隈を舞台にしていて、出てくる地名の多くが自分にとってお馴染みの地名だったり、いつも買い物をしている場所だったりして、読んでいて少しドキドキさせられた。(「月夜に溺れる」  長沢樹、光文社)

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