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ラグビーをひもとく リスンイル
ラグビーのルールを、ラグビーという競技の誕生とその後の歴史を紐解きながら緻密かつ楽しく解説してくれる本書。副題は「反則でも笛を吹かない理由」。2016年の刊行とあるので、ちょうど日本代表が南アフリカに劇的な勝利を収めて日本でのラグビー人気が高まった直後に書かれたことになる。いわゆる自分のような「にわかファン」のための貴重な一冊だ。これを読むと、ラグビーのルールについてはとにかく驚かされることが多い。まずラグビーのルールはルールではなくロウ(法)だということ。しかもイギリス独特の慣習法の世界だという。ただし成文化しないと試合にならないので無理やり文章化しているので、見た目が恐ろしく複雑だ。TVで日本代表のラグビー選手が「自分のポジションでないところのルールは完全には理解していない」と言っているのを聞いてビックリしたことがあるが、本書に著者自身「最初にレフリーを務めた頃はルールを完全には理解していなかった」と書いてあってもっとびっくりした。タックルとは何か、オフサイドとは何か、タッチラインとは何か。まず言葉の定義からして恐ろしく複雑で、しかも毎年のように見直されて改訂されているというからレフリーは大変だろう。そもそもラグビーのレフリーは、プレーに関する判定を主な任務とする野球など他のスポーツのアンパイアとは違って、両チームの仲裁役として試合を安全かつスムーズに、かつ楽しくする役割の部分が大きいとのこと。確かに試合を観ていると、レフリーは選手に対して頻繁に声をかけたり色々ジェスチャーで何かを伝えたりしている。とここまで書いてきたが、以上の感想は本書の序章の感想だ。これからが本書の核心部分になるのだが、もう書ききれない。これだけ内容の詰まった新発見だらけの本には久し振りに出会った気がする。(「ラグビーをひもとく」 リスンイル、集英社新書)
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