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マルセル・デュシャンとは何か 平芳幸浩
一昨年、上野で開催された「マルセルデュシャン展」の売店で購入した一冊。なぜか今までずっと積読になっていたのだが、急に読みたくなって読んでみた。マルセルデュシャンの解説本は、大昔に一冊読んだ記憶がある。誰の何という本だったのか覚えていないが、多分学生時代のこと、40年近く前だったような気がする。その本は「泉」「大ガラス」「遺作」などの代表作の解説が中心だったと思うが、本書を読むと、それ以降デュシャンの研究や捉え方が如何に多様化してきたかが分かって驚かされる。40年近く前と言えば、まだデュシャン本人が死去してから10年といったところだから、彼の死後に「遺作」が発見された時の衝撃の余波が残っているような内容だった。それから40年、デュシャンの評価がその間のアートシーンの変化の中でさらに高まっていったことを本書は教えてくれる。本書は色々面白い話が満載だが、特にデュシャンが自分の過去の作品のミニチュアを箱詰めにして売り出した話にはアートと美術館の関係を考えさせられた。(「マルセル・デュシャンとは何か」 平芳幸浩、河出書房新社)
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