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滅びの前のシャングリラ 凪良ゆう

著者の本は3冊目だが、どれも深く考えさせられる内容で著者の力量に圧倒される。ややSF的な設定を軸に物語が進行するスタイル、登場人物それぞれが抱える重たいテーマといった特徴は前作と同じで、それが著者の持ち味ということだろうが、文章から立ち上ってくるニュアンスやメッセージ性のようなものは本当に唯一無二、これまでに読んだことのないような独自の世界だ。本書は四部構成で、それぞれの章が単独で読ませると同時に章と章のつながりも本当に見事としか言いようのない作品。大きな文学賞受賞後第1作という高めのハードルを軽々と超える一冊だった。(「滅びの前のシャングリラ」 凪良ゆう、中央公論新社)
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