goo

ナポリタンの不思議 田中健介

全国のレストランや喫茶店での実食、古いレシピ本などを頼りに「ナポリタンスパゲティ」のあれこれを教えてくれる一冊。横浜が発祥の地らしいとか、同じ料理が名古屋や関西では「イタリアン」と呼ばれているとか、店によって味付けに工夫があるとか、よく言えば緻密、悪く言えば知っていてもどうということのないトリビアが満載で結構楽しい。トマト味のパスタがレストランのコース料理の付け合わせではなくアラカルトの一品として供されるようになり、さらに一般家庭で普通に食べられるようになったのはそう古い話ではないというのにはちょっと驚いた。著者については、巻末略歴に「日本ナポリタン学会」の会長とだけ書かれていて本職などは不明だが、横浜出身の横浜育ちとあり、横浜の人の「発祥地自慢」が随所に見られたり、日本ナポリタン学会認定のお店のほとんどが横浜の店だったりでなんとも微笑ましい感じ。また、本書を読んでいて、昔よく通った浜松町駅内のナポリタンの店が美味しかったなぁと思い出してネット検索したら閉店になっていた。著者の「ナポリタンが危機にある」という記述、もしかしたら本当なのかもしれないと思った。(「ナポリタンの不思議」 田中健介、マイナビ新書)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )