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ヘビ学 ジャパンスネークセンター

ヘビに関するびっくりするようなことを教えてくれる解説書。ジャパンスネークセンターという研究機関の研究員4名による共著で、ヘビの生態、ヘビ毒、ヘビの行動学などの専門家として最新の研究成果を教えてくれる。ヘビは世界に約4100種いるが、そのうち日本に生息しているのは43種だけでその大半が日本の固有種だそうだ。ヘビの特徴は、脚がない、瞼がない、耳孔がない、下顎が左右独立していて上顎との間に関節が複数あるなど。また地中棲、地上棲、水中棲、樹上棲など生息場所が多様、10数cmから10mと大きさも様々、卵生も胎生もあるとのこと。この辺りまでは、「へぇそうなのか」という程度だが、読み進めていくと、ヘビには聴覚がない、舌で嗅覚を感じている、脊椎が150〜350ある、0.003°Cの温度差を感知する、食事は週1回でOKなどなど、びっくりする記述の連続だ。インドのコブラ使いが笛を吹いているが、音を聴いてクネクネしているのではないというのが笑える。一方、ヘビ毒については、血液を凝固させて血管を破壊し出血をもたらす出血毒、神経の刺激伝達を阻害する神経毒など沢山の種類があり、それがヘビの種類によって違ったり、複数の毒が混ざっていたりしているとのこと。ヘビに噛まれた時の対処には、どういうヘビに噛まれたかを特定することが困難、山奥なので病院が遠い、薬の常備が困難、症例が少ないので医師も判断できず「虫刺され」と診断しがち、といった問題があるとのこと。「おわりに」を読むと、編集者から2024年10月までに書き終えるようにとの依頼があった書かれていて、今年がヘビ年だったと思い出した。とにかく面白いトリビア満載の一冊だった。(「ヘビ学」 ジャパンスネークセンター、小学館新書)
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