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神のダイスを見上げて 知念実希人

「5日後に人類が滅亡してしまうかもしれない」という極限状態のなかで、唯一の肉親である姉を殺された少年がその犯人を捜すというタイムリミットサスペンス。これまでに読んだ著者の医療ミステリーとは趣きの異なる作品だが、人間にとっての死とは何かを訴えかける真面目な一冊。文句なく面白いのだが、著者の真骨頂である医療現場に関わるミステリーのような医療知識に基づく意外性がないので、それが少しだけ残念だった。(「神のダイスを見上げて」  知念実希人、光文社)

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演劇 なのはな

東日本大震災を扱った演劇。完全に満席でお客さんの9割以上が女性だった。俳優さんの演技も良かったし劇中歌も良かった。上映時間60分、ダラダラとしたところが全くない凝縮された内容で、高齢者にはこのくらいの時間の方が有り難い。ただし、題名やクライマックスの「なのはな」に関するエピソードがもう少しあっても良かった気がした。

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展示 東京空襲資料展

観劇までに時間があったので、隣でやっていた展示会を見学。小さな会場に戦前戦中の配給生活、戦時下の疎開に関する資料、空襲の写真が展示されていた。終戦直前にアメリカによってばら撒かれた「反戦ビラ」の現物を見たのは初めてだった。

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読むトポロジー 瀬山士郎

メビウスの帯、クラインの壺といった言葉と共に何となくどういうものかだけは知っているつもりになっている「トポロジー」という概念、もしかしたら安直に理解を深めることができるのではないかと思って読んでみた。最初の読み始めのところはスムーズに読めてこれは期待できるぞと思い、次の一筆書きの部分もじっくり読むことでなるほどそういうことかとすごく面白かったのだが、肝心の「トポロジー」のところにきて急にやはり頭に入ってこなくなってしまった。このままではこれまで通りの挫折だと思い読む速度を落としてみたりしたのだが、どうしても頭の中でイメージできない。おそらく著者は「これ以上簡単には書けません」というレベルで書いてくれているのだろうが、申し訳ないと思いつつ、文字面だけを追うこと数十ページ。何となく分かったつもりというところからほとんど抜け出せなかったけれど、読んでいて知的好奇心が今より少しだけ旺盛だった頃のことを思い出した。収穫としては、また頭の回転の限界を試す意味でこうした本も時々読むようにしたいと思ったことが大きい。(「読むトポロジー」 瀬山士郎、角川文庫)

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カササギ殺人事件(上・下) アンソニー・ホロビッツ

昨年から今年にかけて色々な賞やベスト10のトップを獲得している話題作。「今世紀最高のミステリー」「アガサ・クリスティへの究極のオマージュ」といった賛辞が寄せられている一冊だ。読んだ感想は期待以上。上巻の最後と下巻の始まりのところで、あまりに意外な展開に度肝をぬかれ、これで本当に綺麗な着地点があるのだろうかと心配になり、そもそもクリスティへのオマージュって何なのかも分からないまま終盤に。最後の最後に全ての謎が解かれると、モヤモヤした気持ちが全て著者のアイデアの奇抜さに対する賛辞に変化、当然もう一度読み返してみたくなったが、どうせフェアに書かれているんだろうと思いやめておく。海外翻訳ミステリーで味わう久し振りの満足感だった。(「カササギ殺人事件(上・下)」 アンソニー・ホロビッツ、創元推理文庫)

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