ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
毎日更新しています。

宝塚歌劇にとっての平成とは何だったのか  4

2018-12-26 07:00:00 | 初心者の為の宝塚講座

 宙組誕生

平成10年、宙組が誕生しました。

かねてからの1組あたりの人数の多さ、若手が活躍できないこと、そして東京通年公演を行うための新組創設でした。

その前年には東京宝塚劇場が閉じて、そして宙組発足に向けておおがかりな組替えが行われ私達はびっくりしたり期待したり、がっかりしたりしたものです。

宙組のトップスターには姿月あさと(月組)娘役トップには花總まり(雪組)二番手には和央ようか(雪組)3番手には湖月わたる(星組)4番手には朝海ひかる(花組)という陣容。

じゃあ、これで何か他の組の陣容が大きく変わったのか?というそうでもなく。

花組 → 真矢みき・千ほさち・愛華みれ・匠ひびき・伊織直加

月組 → 真琴つばさ・檀れい・紫吹淳(星組)・初風緑(花組)

雪組 → 轟悠・月影瞳(星組)・香寿たつき(花組)・汐風幸(月組)

星組 → 麻路さき・星奈優里(雪組)・稔幸・絵麻緒ゆう

一番影響を受けたのは雪組で、こののち1年もたたないうちに朝海ひかるが宙組から組替えで来ることになり、月組の樹里咲穂が宙組みへ移動する。

宙組はトップから3番手までがめちゃくちゃ背が高く、1000days 劇場で見ると非常に映えるものでした。

けれど、プレお披露目の香港公演からして出来が悪く、発足したばかりで息がなかなか合わず、それぞれの組カラーがごっちゃになって、殺伐とした空気を出していたのも事実です。

姿月あさとは自分がトップになりたかったわけではなく、だから組を引っ張っていくというのがとっても重圧だったようですし、花總まりは肉食系というかどこまでも追求するタイプ。二人の間の温度差が激しかったというのはあるでしょう。

また、どういうわけか新人公演を経験主演を経験したり、組替えすると退団するみたいな流れが出来ていたり、才能ある娘役が活躍の場もないままに退団していく姿を多々見せ付けられ、20年経っても落ち着かない組だなと思います。

組にはそれぞれカラーがあり、

花組 → ダンスの花組(今や・・トップが踊らない花組)

月組 → 芝居の月組(トップが大根の組)

雪組 → 日本物が得意な組(万能すぎるトップに頼りすぎの組)

星組 → コスチュームの組(これだけは伝統として残っている)

当時はこんな感じですが、じゃあ宙組は20年経ってのカラーは?と聞かれて・・・何と答えたらいいかわからない。せいぜい「見た目の宙組」というところでしょうか。

いまだに生え抜きトップが出ない組です。

宙組誕生によって東京通年公演が実現したのですが、公演期間が1ヶ月から1ヶ月半に延びました。最初は嬉しいと思っていたんです。チケットが取り易いし。

でも、おかげで1年で1組が2公演しか出来なくなり、これはトップスターの寿命の短さを考えると大きな問題でした。

またパンフレットの表紙からジェンヌの顔が消えたのも悲しい出来事。これによって堂々とパンフレットを見せて歩けるという人もいたけど、やっぱり違和感が。

脚本掲載、特にショーの脚本掲載がなくなったのも大変悲しいことでした。

戦前のような脚本集があるわけでなし、一度、バウの脚本集が出たことがありましたがそれっきりでしたね。

平成10年から、様々な古きよきものが消えて行き、削減されていくのでした。

 

 音楽学校移転

音楽学校が移転したのもこの年。

宝塚音楽学校といえば、早朝に看板を出し、稽古場をガムテープで掃除する、廊下は直角歩きでというのが特徴のようですが、そんな風になったのも昭和の「ベルばら」以降の話。大昔は非常におおらかで先輩後輩の差もあまりなかったらしいです。

新しい音楽学校になって看板だしはなくなったようですが、この時、学校の目の前に建つマンションに反対運動が起きました。

宝塚という街は今も昔も、一定のカラーを大事にしようとしない傾向があります。

歌劇と温泉と競馬場が同居している稀有な街。だったらその情緒を守るべきだと思うのですが、そういう意識が全く無いんですね。今時、歴史ある街はそのムードを守ろうとして店構えなどもレトロにするものなのに、どんどんマンションを建てちゃって。

音楽学校の目の前に建つマンション建築反対運動が起きた原因は、マンションから教室が丸見えになることだったと思います。今はそういう問題は解決したのでしょうか?

宝塚駅はJRでも阪急電車でも新大阪からは結構遠いし(っていうか、今回は特急電車ばかり乗ったんですけど、座れないっ!)宿泊するホテルが少ないので、それが集客に大きな影響を与えていると思いますけど、いまだに改善されませんよね。

周りから浮いているのが今の宝塚大劇場です。平成は本拠地の風景をあっさり変えてしまいました。

 

 植田理事長の誕生

平成8年、初の演出家出身理事長が誕生。

それが植田紳爾氏です。演出家出身だからさぞや宝塚のことを考えていろいろやってくれるんだろうと思ったら、やったことは大掛かりなリストラとえこひいきたったと記憶してます。

とにかく大劇場の稼動率を上げることに力を入れて、それがファンにも伝わって来るというか、入り出にいるファンの人数、お茶会の人数で番手が決まるとか、修学旅行生の積極的な取り込みとか、今にいたるあらゆることをしています。

また大道具とか小道具にお金をかけることをやめて、1週間かかるものを3日に仕上げろとか無茶振りもやっていたんですよね。

えこひいき・・・という点に関しては見方も様々だと思うのですが、稔幸のあとに彩輝直をトップに据えようとあれこれ動いたけど結果的に駄目だったというのはあります。

また、トップの若返りをはかるための「1作退団」を断行したのも理事長で、その犠牲になったのが匠ひびきと絵麻緒ゆう、そして貴城けいでした。「天海祐希は研10でやめている」とかわけのわからないことを言って、「時代が違うだろ」と大ブーイングされてました。

でも平成10年あたりからというもの、理事長始め古参の演出家がヒット作を作れなくなっていました。この頃から平成20年くらいにかけて不作が続き、特にショー作品はなかなか新しい動きが出てきませんでした。

今でもスカイステージでその頃の作品を見ますがやっぱりひときわ冴えないですよね。

組子の人数も100人からいきなり60人程度になり、フィナーレが短くなりスカスカ状態で、ああ、宝塚ってやっぱり人海戦術なんだと思いました。

それがよくわかるのが平成9年花組の「サザンクロスレビュー」と平成13年星組の「サザンクロスレビューⅡ」の違い。真夏とクリスマスの違いはあっても人の少なさが星組では目立ちます。

次第に植田理事長は「宝塚らしさ」というものを連呼するようになります。

一体宝塚らしさとは何か。

徒弟制度がなくなり、若い演出家が自己流の主張を始めたことで、演出家たちも宝塚の意義を見失ってしまったのではないでしょうか?

記憶として、藤井大介のみが「宝塚はお祭り」といっててしっくり来てたかな。

それと、平成10年は真矢ミキと麻路さきが退団した年です。

二人とも4年に渡ってトップを張ってきたのですが、この二人だけが伝統的な男役の型を継承していました。

その二人の退団に植田理事長も危機感を覚えていたのではないでしょうか。

一方で若返りをはからなければならない、でも促成栽培するとろくなことにならない。このジレンマはすぐには解消せず、植田理事長は後世に残る悪政を執行したのした。

 

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宝塚歌劇にとっての平成とは何だったのか  3

2018-12-22 07:00:00 | 初心者の為の宝塚講座

 阪神大震災

平成7年1月17日に起きた阪神淡路大震災は日本にとって大災害に見舞われる日本の始まりのような出来事でした。私たち関東からみると、朝、関西で大きな地震があったと報道され、次に見たのは街が燃えているシーンでした。

真冬の寒い時期、早朝の大地震。本当に大災害でした。

宝塚は幸いにもこの震災の時も東日本大震災の時も上演中ではなかったので、誰かが直接被害にあうということはなかったかもしれませんが、それぞれ家族がどうなったかさぞや心配だったろうと思います。

星組トップに就任したての麻路さきが後年語っていましたが、こんなに大きな震災に見舞われているのに中日劇場での上演が中止にならなかったことに驚き、毎日「これをやっていいのか」と悩む日々だったといいます。

確かに、東日本大震災の時も休演しなかった宝塚に批判が起きたりしましたが、とにかく歌劇団のスタンスとしては「何があっても上演し続ける」というのは信条だったのでしょう。生徒たちはそれに従うしかないのです。

大劇場は出来たばかりで劇場そのものに傷はつかなかったけれど、スプリンクラーの故障で衣装が全部駄目になったとか、それでも細かい傷があって修復にはかなりお金がかかったといえます。

宝塚の衣装にはスパンコールやビーズがついているため、洗濯するのがとにかく大変で一ヶ月以上かかるんですよね。それにもろもろのセキュリティを考えるとやっぱりここは休演するしかなかったでしょう。

退団公演の安寿ミラは公演が出来なくなり、危ういところを歌手の細川たかしに救われ、梅田の劇場・飛天で続行。天海祐希もまた公演の変更を余儀なくされました。

それでも3月31日、星組、麻路さきトップお披露目公演「国境のない地図」は幕を開け、81期生が初舞台を踏んだのでした。

今、ビデオで見ると衣装が地味というか、ありあわせのもので何とかしました感が強いのですが、ベルリンの壁を取り扱った作品は、復活アピールにはちょうど良かったのかもしれません。

観客動員数は大幅に落ち、客席に赤が目立つようになっても宝塚は回り続けなくてはなりません。

けれど、やっぱりどこかで「赤字解消」の秘策を打ち出さねばと思っていたんでしょう。

 問題になり始めた組子の数と上級生の頭打ち

震災が始まるちょっと前から宝塚ファンの間では「トップ・二番手・3番手の間がなくなってきている」というのは囁かれていました。

昔は宝塚というのはファンも組子も青春の1ページを彩るところで、ある程度の学年まで行けば見せ場を与えられて綺麗に退団し、芸能界へいくか、奥様になるか・・そんな道だったのです。

トップにならなかったからといって、その生徒の価値が過小評価されることはなかったと思います。

例えば・・・ものすごく古い話ですけど水穂葉子さんという女役がいらっしゃいまして。「ベルサイユのばら」でランバル公爵夫人を演じていた人ですが、この方の「悶絶しそう」が大評判になって、最後は「モンゼット夫人という役名になったのですが、この人など別にトップになったわけでもないけど強い印象を残してくれています。

昭和の「誰がために鐘はなる」なんてほとんどが専科ばかりで二番手は峰さお理だったくらいです。

が、段々と男役至上主義になるにつれて「入団した以上はトップを目指さないと意味が無い」と考えるようになったのでしょうか。いわゆる「路線」に乗ると誰も退団しなくなっていくのです。しかもトップと二番手の差が1学年とか2学年になると、次のトップの学年が上ということになりますよね。天海祐希のように突如上級生を飛び越えて・・というのはなかなか出来るようで出来ないのです。

実際、麻路さきと二番手稔幸の学年差は2学年ですが、実際は稔の方が年上だったりしますし。一方で「娘役は若い方がいい」とばかりに、やたら早い抜擢による弊害も起きていました。

また、「青春の1ページ」の宝塚ではなく「職業」としての宝塚、芸能界へいくステップとしての宝塚を考え、昔のように「寿退団」が少なくなると、組子が増えてきます。

宝塚は年功序列の世界ですから、どんなに実力がある若手も上級生よりも上にはいけない、そういうしきたりが若手の成長を邪魔するようになっていたのです。

歌劇団は本気で「生徒の若返り」を図ろうと思っていました。

 恋愛ではない作品を書きはじめた作家たち

昭和の宝塚の2大演出家は植田紳爾と柴田侑宏でおおがかりな恋愛ストーリーを描いていました。外部の作家を起用したりしたことも多々あります。

が、平成に入ると2大巨頭はお披露目やさよならに周り、若い作家たちが台頭してきます。

その代表格が小池修一郎と正塚晴彦の2人です。

この二人の芸術性の高さはコアな宝塚ファン、作品から宝塚を分析しようという人たちには多いにうけました。「誰も死なない作品を作る」稀有な作家たちだと。

テーマが「罪と罰」だったりエコ問題だったり、生き様だったり、いわゆる「ベルばら」に象徴されるような歴史的な大恋愛ドラマはこの二人は不得手でした。

特に正塚晴彦は大劇場よりもバウ作品に定評があり、久世星佳という演じ手を得て独特の世界観を打ち出します。小池修一郎はあて書きは得意なんですけど、今ひとつストーリーが浅薄で内容があるようでないというのが一般的な見方だったと思います。

しかし、宝塚の世界から見事に濃厚な愛のシーンを抜き取った作品は斬新でもあり、たまにはこういうのもいいかな・・・と思われるものだったのです。

が!

そういう先輩の後を追う後輩たちが続出しました。木村信司・植田景子・児玉明子・斉藤吉正らです。彼らは大昔の宝塚のような徒弟制度の中で生きてきたわけではなく、大学卒業と同時に歌劇団に就職し演出助手を務めながら腕を磨いてきた人たちです。彼らには確固たる描きたいテーマや世界観があり、宝塚の生徒は二の次というか、本来、座付き作家はトップや組カラーに合わせて作品を書くものですが、その逆をやり始めたんですね。

気がつけば、男は自分の夢をおいかけ、女はそれを見守るだけの話が多数出来てしまい、平成の初めから中盤までは駄作しか生まれておりません。

きちんとしたオリジナル作品が書けない作家たちが増えてしまったのです。

 エリザベートが宝塚を救った

昭和・平成を通して宝塚では沢山の海外ミュージカルが上演されています。剣幸「ミーマイ」涼風真世の「グランドホテル」など、これらはみなブロードウエイミュージカルでした。

ブロードウエイミュージカルは上演するのが大変です。東宝が版権を得る時にオフ・ブロードウエイ作品を一緒に買わされたり、宝塚風のアレンジを許さなかったり。

私が聞いたことがある話しでは平成10年の1000days劇場こけら落とし公演として上演された月組・真琴つばさの「ウエストサイドストーリー」はフィナーレがなかったのです。

でも翌年、稔幸のお披露目として上演された同作品にはフィナーレがついていました。最初は全員シャンシャンを持たずに降りてきて・・最後は持っていた?ような大階段降りでしたが、トップお披露目だから何とかここは見逃して欲しい、とあちらさんを説得した結果だったような。

でも結局、今に至るまでビデオ化はされていませんね。

グランドホテル」も涼風版はビデオになりませんでした。

というように宝塚にはあまりそぐわないだろう作品をそのまま上演する・・・海外ミュージカル。

ところが、小池修一郎がずっと温めてきたウイーンミュージカル「エリザベート」に関しては、小池が積極的に宝塚歌劇団の特徴を理解させ、ゆえに主役がエリザベートではなくトートにすることが出来たのです。多分、ヨーロッパにおけるミュージカルはなかなかアジア圏まで広げることが出来ていなかった為、マーケットの拡大という意味で両者の利害が一致したものと思います。

小池修一郎はこれにより雪組、一路真輝のさよなら公演として平成8年に「エリザベート」を上演することにこぎつけました。

当時、全編歌ばかりのミュージカルは「レ・ミゼラブル」くらいで、宝塚では未経験。それゆえに組子達の緊張度も高く、もし一路の声が駄目に鳴ったときのために二番手以下全員が役代わりできるようにしたといいます。

宝塚独特の「エリザベート」は大ヒットし、やがてそれがウイーンでも上演され始めます。

なぜエリザベートがヒットしたか・・・・それは当時の世相と関係があると思っています。

男女雇用均等法の中、女性たちは家事も育児も仕事も頑張る綱渡りの状態で生きていました。今以上に「女性らしさ」「妻らしさ」「母親らしさ」を求められる一方で「自由」がないと思っていた人もいるのです。

嫌なものを嫌だと真っ向から拒否できるエリザベートがうらやましい、自分の殻に引きこもることで我を通していく彼女は自分のようだ、フランツ・ヨーゼフがもっと理解ある夫だったら私だってこうはなっていないのに。というまさに「ME TOO」運動です。

今思えばエリザベートの生き様は身勝手ですし、誰がどうみても皇帝陛下はいい人だとわかるのですがね。

それでも楽曲のよさで往年の大ヒット作品として今も上演され続けています。

つまり、宝塚にとってドル箱になったのです。困った時には「ベルばら」「エリザベート」ってことになったのではないでしょうか。

 高いレベルを求められるジェンヌたち

「エリザベート」のヒットで、宝塚は大きく変わりました。

歌唱力にしてもダンス力にしても、衣装の着こなし、メイク、かつら全てにおいて高いレベルを求められるようになりました。

衣装では美しい色合いとレースや刺繍が綺麗な任田幾英から有村淳が台頭してきます。

有村淳の衣装は濃い色が多く、上品さが売りの任田よりさらにバージョンアップしています。

「エリザベート」が上演されるたびにその時のトップに合わせた衣装を作り続けています。

衣装がより豪華になればかつらやメイクも変わる必要があり、生徒達はより努力しなければならなくなりました。

「エリザベート」一つで宝塚は世界の宝塚になっていったのです。

 

しかし、トップスター制度も過渡期に入り、4組制も限界に来てましたし、新しい東京宝塚劇場の建設も視野に入って来ました。

小池修一郎による「華やかな宝塚」の具現がある一方、自己主張に終始する作家たちに翻弄される生徒たちの姿がそこにはありました。

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宝塚歌劇にとっての平成とは何だったのか  2

2018-12-20 07:00:00 | 初心者の為の宝塚講座

昭和の後半において「ベルサイユのばら」という大ヒットを飛ばした宝塚歌劇団は昭和が終わるまでその幻影を利用し続けました。

巷の人たちは「宝塚」をきけば「金髪のかつらを被って目の周りが真っ青で軍服着てる」みたいなイメージとともに「♪ 愛 それは甘く ♪」と歌いだす。全く「ベルサイユのばら」を見たことの無い人でもこのフレーズだけは歌えるというほど有名になり、たびたびパロディも作られたりして。

でも、その効力も昭和が終わる頃にはかなり陰りが見えてきました。

 平成最後のと言われた「ベルサイユのばら」

平成元年、長い間封印されてきた「ベルサイユのばら」が再演されます。

最初は雪組、杜けあき・一路真輝主演の「アンドレとオスカル」編、そして星組では日向薫と毬藻えり、紫苑ゆうらの「フェルゼンとアントワネット編」です。

私は生で見ることは出来なかったのですが、後年、ビデオでこの二つを見る限り、昭和編に比べると本当の主役であるオスカルの影が薄くなっていったり、やたら女性的だったり、衣装のセンスが悪いなと思ったり。様々した。

やっぱり長谷川一夫演出ではない「ベルサイユのばら」ってこんなに中身がないものなのかと実感しました。

でもこれで「ベルばら」ブーム再びの歌劇団はさらに平成2年に花組の大浦みずき主演の「フェルゼン」編をつくり翌年には月組・涼風真世主演の「オスカル」編を作成。この月組を皇太子が観劇したんですね。

「平成最後の」っていったけど、色々なバージョンを一巡する植田先生やりたい放題でしたね。

けれど、今回の「ベルばら」ブームは本当に一過性のものでした。

 宝塚大劇場が新しくなった

平成3年、雪組の杜けあき主演でさよなら公演の「忠臣蔵」で宝塚大劇場は閉場しました。

そして平成4年、新宝塚大劇場が誕生し、こけら落としは星組「宝寿頌」「パルファン・ド・パリ」

ここでは高田賢三デザインの衣装と各組からの特出が売りでしたが・・・・KENZOデザインの衣装が宝塚には合わないと結構批判を受けましたよね。後年、ゴルチェの衣装を使った時もそうですが、ファッションとしてどんなに鮮やかな生地を使ってもほとんどスパンコールもビーズも使わなかったので地味というか、ヅカ的じゃないと思われたんでしょう。天海祐希的なナチュラルさが今ひとつぴんとこないというか。

 平成が作り出した大スター

平成がスタートした時、

花組・・・大浦みずき → 安寿ミラ に繋がる「ダンスの花組」で一世を風靡。大浦退団後は「ヤン・ミキ」安寿ミラ&真矢ミキコンビでんんきを博す。

月組・・・昭和の大スター・大地真央の退団後、組を引っ張って来た剣幸が惜しまれて退団後、涼風真世がトップ就任。けれど「グランドホテル」初演で退団し、天海祐希が研7でトップ就任の快挙。

雪組・・・宝塚最大の歌唱力を持つ一路真輝の時代。

星組・・・白馬の王子・紫苑ゆうの時代

天海祐希に関していえば植田紳爾いわく「お母さん、よくぞ産んで下さった」という言葉が残っているということで入団当初から人気がしかけられていたような気がします。

宝塚を見ない人でも天海祐希の名前は浸透していたし、天海祐希時代のみヅカファンだった人もいるほどでした。

研7でトップに就任するというのは本人にとってどれだけプレッシャーだったことかと。新人公演の最終学年でトップ就任ということは今の98期がずらりとトップになるようなもの。

年功序列の宝塚において上級生を2番手3番手においてのトップスター。その心情は察してあまりあります。

男役10年という言葉は伊達にあるものではありません。最低でも10年かけなければ「男役の型」は完成しないという意味なんです。

新人公演最高学年程度ではまだまだ・・・のはず。

そこで天海祐希がとった行動はいわゆる「ナチュラル派」と呼ばれるもので薄いメイクに普通の衣装・・・正塚先生が好みそうな作品ですね。

天海祐希というのは男役としては未完成だったし、トップとして何も功績を残していません。名作に恵まれたわけでもないし、何か一つ秀でたものがあったわけでもない。だけど人気抜群。観客動員ナンバーワン。さよなら公演の時は東京宝塚劇場の入り口にすらりと当日券に並ぶ人々が。

そしてまた彼女は「宝塚的なものが嫌い」な人でした。ストーカーなどの被害にあっていたからかもしれないけど、差し入れやプレゼントは断固拒否の姿勢を貫く。今ならそんな人は絶対にトップにはなれないけど、天海祐希にはそれが許されていたんでしょうね。

現在、「天海祐希に憧れて宝塚に入りました」という人が何人も上級生になってトップになって・・という現実をみれば彼女の功績は「宝塚に入りたい」人を増やしたことだったと思います。

私は「ミーマイ」の天海祐希しか見たことがなく、あとは全部ビデオだけですけど、唯一評価できる作品としては「エールの残照」「エキゾティカ」くらいですか。だけどそれは天海祐希がいいというよりは、久世星佳・真琴つばさなどがきっちりと脇を固めていたからだったと思います。

じゃあ、天海祐希の魅力とはなんだったのか?それは「かっこよかった」につきます。要するに宝塚始まって以来のアイドル、それが天海祐希だったのです。

今思えば、どうしてこんなに促成栽培してトップスターにしなければいけなかったのかわかりませんよね。せめて研10まで待ってくれたらもう少しいいトップになったと思うのですが。

ただ多分ですけど、その裏には宝塚の母体である阪急電鉄の衰退があったと思います。

創業者一族で頑張ってきた阪急がどんどん衰退して、やがて宝塚も阪急の「ドラ娘」から歌劇事業部という一種の独立採算制をとらなくてはならない組織になっていきます。

今まではどんなにお金がかかろうとも、客席が真っ赤だろうと気にせずよい作品を生めばいいと思っていたのに、予算があり、限界があり・・特にスタッフの一掃が激しく、宝塚は一時的にでも大劇場稼働率を上げなくてはならなかった。

その象徴が天海祐希だったのだろうと思っています。

「昭和はよかった」「昭和は遠くなる」と最初に考えていたのは宝塚歌劇団だったのかもしれませんね。

「ダンスの花組」の残像とアイドルスター天海祐希で宝塚は迷路に迷い込んでいくのです。

 

 

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宝塚歌劇にとっての平成とは何だったのか  1

2018-12-18 07:00:00 | 初心者の為の宝塚講座

宝塚歌劇が発祥して今年で104年。それも歳が変われば105年目に突入します。

常に西暦とともに語ることの多かった宝塚ですが、大正・昭和・平成と続いてきた歴史を紐解き、宝塚歌劇団にとって平成とはどんな時代だったのか考察してみたいと思います。(壮大や)

 

 国民劇として発祥した宝塚歌劇

創始者の小林一三の理想は「国民劇」としての宝塚でした。

誕生したのは大正3年のこと。小さな宝塚温泉の使い道を考えて作り出したのが「少女歌劇」でした。

大正時代はまだ男役とか女役などの区別はなく、脚本も小林一三が書いたりして結構大変でした。

三越の少年合唱団を見てひらめいた「少女」だけの歌や踊りをみせようと思ったんですね。

大正8年には音楽学校が出来ました。当時としては画期的にモダンだった制服と緑の袴。

でも明治から大正にかけて、女の子が歌ったり踊ったりすることはあまり育ちのいい人がすることではなくて、希望者を募るのが大変。そこで「お嬢様をお預かりして行儀見習いをさせる」とかいう名目を設けて音楽学校は成り立っていったんですね。

小林一三の考える「国民劇」というのは、日本人全てが理解できて楽しむことが出来る演劇のことなのです。

今では当たり前のことですが、江戸時代に隆盛を誇った歌舞伎が高尚なものに変化し、外国からシェイクスピアなど難しい演劇が入ってきて、「一部の人が楽しむもの」になっていきました。

言葉も難しいし、振りもよくわからないし、外国の風俗もさっぱり。

そんな日本人の老若男女全ての人が楽しむことが出来る「国民劇」を小林一三は作りたかったのです。

宝塚歌劇団は少しずつ規模が大きくなり、花組と月組が出来ました。

大正13年には宝塚大劇場が誕生。それと同時に雪組が誕生。着々と基礎が固められていきました。

 昭和の前半は男役スターの誕生

昭和2年、岸田辰彌が本場パリから持ち帰ってきた「モン・パリ」が大ヒット。大階段もどきも誕生。

昭和4年、白井鐡造が「パリ・ゼット」を発表。単なるお遊戯会からヨーロッパのレビューを取り入れることにより日本に歌って踊ることの楽しさを教えました。

昭和5年には「ローズ・パリ」で宝塚ならではの銀橋が誕生。

そして日本には宝塚だけでなく松竹などの歌劇団が次々と登場します。当時のレビューは、私たち日本人にとってはまさにスペクタクルだったでしょう。

ショーもレビューもまさに驚きと喜びで一杯のスペクタクルだったのです。

昭和8年。星組誕生。専科誕生。「花詩集」発表

昭和9年。東京宝塚劇場開場。杮落としは「花詩集」

当時、人気を二分していた男役スターは星組の葦原邦子と月組の小夜福子。

もし私がその当時、宝塚を見ていたらきっと葦原さんのファンになったと思うんですけど。でもフェアリーな小夜福子は今の稔幸に顔の形が似ているなと思います。

私の好きな楠かほるは星組 → 花組で、星組は春日野八千代のために発展していくのです。

後に葦原さんがケンちゃんのおばあちゃんだって知った時はびっくりしたし、小夜さんが「おやじ太鼓」に出演してすごい迫力のおばあちゃんになっていた時も驚きでしたね。

この頃は戦前の最盛期。東京にもファンが増えましたが当時のファン層の半分は男子。彼らがまじめに宝塚に対して「これからの宝塚は少女歌劇を維持していくか、高尚な演劇集団になっていくべきか」と議論していたんです。

それもこれも戦前の小池修一郎こと、中西武夫が「モンテ・クリスト伯」を上演して、それが結構少女歌劇とは一線を画す作品だったんですよね。また戦前の正塚晴彦こと東郷静男が「ゴンドリア」を発表するなど、いわゆる芸術性の高い作品が出てきて、白井先生なんか古いわといわれるようになります。ここらへんが今とよく似ている部分ですね。

違うのは、まじめに宝塚を語っていたのが男子学生だったということ。女性は作品そのものを語るいうより、生徒の技術的な部分を語っていたような気がします。

やがて戦争が始まると、様々な劇団が活動を停止していく中、軍と組むことで昭和19年まで存続したのです。

 関西の劇団から日本の歌劇団に

戦後の宝塚を支えたのは春日野八千代ではないかと思います。また神代錦などの専科陣も充実。

芝居もさることながらショーの分野において新しい試みが色々なされるようになりました。

「ノバ・ボサ・ノバ」「シャンゴ」「華麗なる千拍子」など。

けれど、テレビの登場により次第に低迷期がやってきます。

昭和までの舞台鑑賞の仕方というのは歌舞伎と同様、ほぼ1日を劇場の中ですごすんですね。

芝居も3幕まであったり、お昼はお店を予約して食べてまた鑑賞・・・というような。

とても贅沢な時代です。宝塚の場合は上演日程が好評であれば延長されたり、芝居とショーと別々にチケットが買えたり、おうような時代です。

しかしながら、テレビの普及とともにショーやレビューがすたれていくわけで日劇の終焉は象徴的でした。

そんな中宝塚が生き残ることが出来たのはまさに昭和51年の「ベルサイユのばら」の大ヒットでした。

無論、本拠地では最初から人気だったのかもしれませんがNHKが放送してくれなかったらわたしなどは一生知らなかったんじゃないでしょうか?

NHKの地上波では毎日、本当に色々な芸能を放送してました。文楽・落語・歌舞伎・帝劇・・当時の帝劇は和物が中心で硬くて渋い芝居ばかり放送されていました。

落語などは面白いけど歌舞伎や帝劇などは小学生にはかなり難しかったんですね。z(今、思えばちゃんとみとけばよかったと思いますが)

そんなある日、テレビをつけたらドレスを着た大勢の貴族たちが「まるでニンフのよう」といって、舞台端からドレスのオスカル様が登場したんです。思わず見入った私は最後は感動して大泣き。それからは寝てもさめても「べるばら」の世界に浸り、原作を読み写真集を買い・・そしてテレビの前にテープレコーダーを置いて録音して何度も何度も楽しんだのです。

全国的にそういう人が増えたおかげで宝塚は全盛期を迎えます。

ただ、一言付け加えさせて頂ければ「べるばら」のヒットは植田先生の功績ではなく長谷川一夫の功績でしたが。

それまでは宝塚の序列は完璧に学年順で男役も娘役もありませんでした。が、この頃から次第に男役至上主義になっていきます。つまり世の中が男女雇用均等法の時代になるにつれて、宝塚は真逆の男尊女卑になっていったのです。

それはフィナーレの階段降りに如実に現れましたし、歌が得意な人、ダンスが得意な人、それぞれに見せ場が与えられていたのに、どんどんトップコンビに視線が集中するようになっていきました。

戦後の「ベルばら4強」の榛名由梨・鳳蘭・汀夏子・安奈淳は作品のおかげでスターになりましたけど、10年に一人の逸材と言われた大地真央は劇団がしかけたスターであったと思います。

昭和の時代、栄枯盛衰を経験した宝塚。それでもまだ阪急電鉄のドラ娘の時代はよかった。

どんなにスター不足でもいい作品は生まれたし、お金もかけることが出来たし。普通の演劇集団のように予算に縛られることがなかったので。

でも平成になると歌劇団の運命は大きく変わっていきます。と、同時に歌劇の質も変わっていくのです。

 

 

 

 

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DVDで見るファントムー花組

2018-11-16 07:00:00 | 初心者の為の宝塚講座

 花組  2006年

エリック・・・春野寿美礼

クリスティーヌ・・・桜乃彩音

キャリエール・・・彩吹真央

シャンドン伯爵・・・真飛聖

カルロッタ・・・出雲彩

アラン・ショレ・・・夏美よう

若かりし頃のキャリエール・・・愛音羽麗

ベラドーヴァ・・・花咲りりか

小さいエリック・・・野々すみ花

春野寿美礼と桜乃彩音コンビのお披露目作品になったのが「ファントム」春野寿美礼はともかく桜乃彩音が大丈夫なのか?と色々心配されましたね。なんせ相手が花總まりでしたから。きっと衣装もしょぼいんだろうなあとかね。

また春野寿美礼は歌えるけどエリック向きなのか?という問題もありました。

 オープニングは白い三日月に黒づくめのエリック

 エリックの従者は身寄りのない子供達を引き取ったものとエリックが言う。

 エリックはジョセフ・ブケーを偶然死なせてしまう

 「メロディメロディ」のクリスティーヌの衣装はピンク、「パリの歌」の衣装は黄色。

 キャリエールの語りの後のダンスではクリスティーヌが踊り、セリ下がっていくのが小さなエリックとベラドーヴァ

エリックを生け捕りにするのは鎖

ラストシーンでクリスティーヌは銀橋を渡ったあとにピアノを奏で、エリックを思い出して楽譜を抱きしめる

一言でいうと春野エリックは本物の音楽の先生みたいでちょっと怖いです。和央エリックが一目でクリスティーヌに恋をしたのに比べると、恋というより「興味を持った」程度。それが回を重ねる毎に愛情に変わっていったというような感じ。キャリエールはパリの歌のシーンでクリスティーヌの声を聴いた途端に、それがエリックの母親の声にそっくりと気づいて懐かしくてしょうがない。そういう彩吹真央の細かい演技が好きでした。

出雲綾のカルロッタはパワーアップしていますが、その原因は相手役が夏美ようで二人は元星組コンビ。真飛と合わせれば3人が元星組ということで、どこかで笑いをとらないといけないみたいな?そういうおかしさを感じました。

春野エリックは和央エリックに比べると孤独感がなく、むしろ甘やかされたおぼっちゃん風です。ああいう顔に生まれついたからひねくれたのか?自己愛の強いエリックです。

それにピタッとはまったのが「甘やかしの張本人」のキャリエール。そう、彩吹キャリエールはエリックが大事で大事でついつい言いなりになってしまい、結果があれだった・・・まさに息子がいなくなったら生きていけないタイプの父親です。

 

クリスティーヌは初々しくて、多分こちらが本来のクリスティーヌなんだろうなと思いました。

甘やかしの張本人。彩吹真央にとっては花組二番手から雪組にスライドする最後の作品。真飛聖が次期トップであることが確定していましたので、ファンとしては切なかったですね。

特筆すべきはシャンドン伯爵で真飛聖は元々コスチュームが似合いますが、本当に伯爵さまという感じで、しかもかっこよくて紳士です。

 

最終的に花組の「ファントム」はキャリエールに泣かされてしまった作品です。

 

 DVDのみどころ 

 演技と歌で別人のようになる春野寿美礼

 怪我をして瀕死の筈のエリックがすたすたと銀橋を渡り、にこにこ笑いながらしゃべる

 カルロッタの機嫌をとるアラン・ショレの動きが面白すぎる

 「クリスティーヌは僕のものだ」と言い募るエリックに真飛シャンドンは1回目は「ううん」と首を振り、2回目はさらに「絶対ダメっ」というように首を振る

 

これは好みだと思うのですが、やっぱり宙組の方が出来がよかったかもしれません。

 

 

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DVDで見るファントム  宙組

2018-11-14 07:00:00 | 初心者の為の宝塚講座

 ファントム初演から14年ですか。最近、スマホに入って来るネット情報やブログで「私、ファントムの初演を見た事ないので当時の配役にびっくり」みたいなことが書かれてあって、自分の歳を痛感しちゃったというか、そっか、そういう人もいるんだよねーー

見た事ない人もいるだろうし。ありがたい事に初演と花組(春野寿美礼)を見た事があり、色々語れるかと思い、まさにこの機会にDVDで見直しをしてみようという事になりました。

まずは宙組編です。

宙組 「ファントム」2004年初演

・エリック・・・和央ようか

・クリスティーヌ・・・花總まり

・キャリエール・・・樹里咲穂

・シャンドン伯爵・・・安蘭けい

・カルロッタ・・・出雲綾

・アラン・ショレ・・・鈴鹿照

・ソレリ…彩乃かなみ

・若い頃のキャリエール・・・初嶺磨代

・ベラドーヴァ・・・音乃いづみ

・小さい頃のエリック・・・和音美桜

和央ようかと花總まりがトップコンビになって以来、正直、駄作が続いていました。なんせお披露目が「望郷は海を越えて」だし、呪いのような駄作の連続に呆れていたんですが、やっと面白そうな演目が来たなと思ったのが「ファントム」でした。

海外ミュージカルといえば「エリザベート」ですが、二番煎じを狙ったのか?という感じがしなくもなかった中村一徳演出です。

初演の1回目を見た限りでまさかこれが再演を重ねるとは思えなかったんです。それというのも、「ファントム」といえばやっぱり「オペラ座の怪人」だったし、あの有名なシャンデリアが落ちるシーンをどう描くのか、そればかり気になっていたからです。(やっぱりちゃちだった)

まさか、樹里咲穂演じるキャリエールがエリックの父親なんて露ほどにも思わす。これまた樹里咲穂が若すぎてかっこよすぎて、「え?パパ?うそーー」ってな感じだったんですよ。

 オープニングは三日月に黒づくめのエリックのソロ

 エリックの従者は黒天使のよう

 エリックはジョセフ・ブケーを故意に殺している

 「メロディメロディ」の花總の衣装は緑。「パリの歌」の時は純白のドレス

 キャリエールの語りの後のダンスではクリスティーヌとヴベラドーヴァが向かいあうシーンあり

 エリックを生け捕りにするのは紐

 「マリアさまお救い下さい」のラストは小さいエリックと大きいエリックがせりに下がっていく

 エリックの死後、クリスティーヌは一人歌いながら銀橋を渡り、舞台上に現れたエリックと抱き合って幕

 著作権の関係か、フィナーレは大階段の燕尾から始まり全く意味不明の歌とダンスでしめくくられている。

 DVDで注目すべきはこんな点ですが、私は初演を見た時にヨンジュナを妊娠中で、オーバーチュアでヨンジュナが大暴れしておりました。ファントム・・好きだったのかも。

 最初見た時、エリックとクリスティーヌの恋愛話なのか、エリックとキャリエールの親子話なのかわからずに、中途半端なイメージを持ってしまった事も事実。母を亡くしたマザコンエリックの恋愛とその背景と思ってみればいいわけですね。

 音乃いづみの歌があまりに素晴らしくて、その後の和央のせつない姿をみてたら可哀想で可哀想で号泣しました。母から見れば子がどんな姿でも可愛いに決まっている。そんな母の愛を知っているのにクリスティーヌに拒否されたエリックが哀れで、和央ようかの当たり役でしたね。

 一言でいうと和央エリックは孤独でひねくれ者だけどそのくせ人を信じやすくて傷つきやすい、守ってあげたくなるようなエリックでした。上目づかいにキャリエールを見て「それで・・どうみえる?自分の子供の顔さ」なんて言うとキュンってしてしまいます。

なのにクリスティーヌときたら「お顔を見せて下さい」なんていうでしょ?挙句にびっくりして叫んでいなくなる。その時のエリックの低い叫びが悲しすぎました。

 花總まりのクリスティーヌは完璧すぎて言う事がないのですが、とても農家の娘には見えない衣装の豪華さ。

 設定ではクリスティーヌは12歳でしたっけ?その点が・・・・自信たっぷりに「みせて」って歌ったあとに「きゃあーー」ですから。ちょっと身勝手なんじゃないの?みたいな感じでした。

 初演から見ている人は樹里咲穂のキャリエールが一番好きという人が多いです。それというのも若くてかっこよくて歌が上手だから。優しくも厳しくエリックを育てて来た誠実さが現れ、最後、エリックを撃つシーンも、「生け捕りにされて屈辱を受けるくらいならいっそ」みたいな感情は伝わって来たのですが、今回DVDを見てて一瞬「でもエリックが生きたまま捕まったらキャリエールの息子だってばれちゃうよね。それってまずくない?」なんて思ってしまい・・・つまりそれ程冷静に見えたということです。

  シャンドン伯爵が安蘭けいなので驚いている人もいるらしいですが、この年は各組の2番手が総特出で、本来の2番手である水夏希は花組に出演中。一時、宙組に特出が続いた安蘭けいは宙でトップになるんじゃないか?なんて言われた事もあったんですが。安蘭と花總は同期ですからさぞや楽しかったんじゃないですか?

 カルロッタといえば出雲綾と言う程の当たり役になりましたが、意地悪な役がこんなに似合うなんて。しかも歌えるし。でも宙組ではまだセーブしていた部分があったのかな。夫役の鈴鹿照がかなり上級生ですからね。

 

 DVDのここに注目 

 和央ようかのあまりに自然な髪型

 花總まりの袖に豪華な刺繍が入っているドレスとフィナーレの真っピンクドレス。さすがにあのピンクはやりすぎじゃないか?と思いました。

 遼河はるひと悠未ひろの背が高いコンビ

 探せばいる十輝いりす

 チビエリックの和音美桜のかわいらしさ

 地下でクリスティーヌに詩のことを朗々と嬉しそうに語るエリック

 銀橋でエリックVSキャリエールの時のエリックの子犬のような表情

つまりこの宙組版というのは和央ようかに泣かされる作品ですね。

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初心者の為の宝塚講座 今旬のジェンヌで遊んじゃおう2

2018-11-06 07:00:00 | 初心者の為の宝塚講座

目下、ジェンヌの健康問題が取りざたされる月組です。某ブログで美弥るりかと珠城りょうの体調が幕が開くまえから悪く、特に美弥るりかは「アンナ・カレーニナ」のポスター撮りが夜中までかかってしまい・・なんて話をきくと今回の休演はやむを得なかったことと思います。

月組は例えば、紫吹淳の怪我、ベルリン公演後の体調不良から全く踊れなくなってしまったり、力いっぱい演技をすることが出来なくなったりというようなことが起きてますし、勿論霧矢大夢の病気のこともあり、どんなに若くても女性は女性。無理しすぎれば一生の傷になりかねないということを歌劇団は考えるべきと思います。

ジェンヌが訴訟を起こしたり訴えたりしないからといって、好き勝手やっていいわけじゃないですよね。

それと、彩輝直の時代から月組と「エリザベート」は相性が悪いんだと思います。なんせ瀬奈じゅんのエリザだ凪七瑠海のエリザだって色々ありすぎましたよ。それにみんなが思っている通り、海外ミュージカルは音程が女性のものではないから、非常に大変な部分が多いのです。それを次々上演することになんの意義があるでしょう?

かえって今まで見えなかった欠点が見えちゃうだけじゃないんでしょうか?ヅカファンとしてはトップの最も得意で素晴らしい部分がみたいわけですし、無理やり合わない声を出してほしいなんて思いません。

結局、5組になっても忙しさはそのまま、いや、加速している。もはや働き方改革どころの騒ぎじゃなく「女工哀史」に近いのでは?

 月組 

 美弥るりか(みやるりか)・・・2003年入団の89期生 星組 → 月組

         同期には七海ひろき、望海風斗

姫ちゃんが考えたみやるりのキャッチフレーズ

月組一の美貌で観客を魅了する

姫ちゃんがみやるりの代表作だと思う作品

「メイちゃんの執事」柴田健人

「めぐり合いは再び」アジス王子

「1789」アルトア伯爵

「all for one」アラミス

 

 紫門ゆりや(しもんゆりや)・・・2005年入団91期 月組配属

                同期には天寿光希・音波みのり

姫ちゃんが考えた紫門ゆりやのキャッチフレーズ

百合のように気品あふれる月の貴族

姫ちゃんがみやるりの代表作だと思う作品

「アリスの恋人」帽子屋

「ロミオとジュリエット」パリス伯爵

「1789」ラマール

 月城かなと(つきしろかなと)・・・2009年入団95期生 雪組→月組

同期には朝美絢・晴音アキ

姫ちゃんが考えた月城かなとのキャッチフレーズ

雪の静けさを持ちながら月の光で輝く

姫ちゃんが月城かなとの代表作だと思う作品

「銀ニ貫」松吉

「るろうに剣心」四乃森蒼紫

 

 輝月ゆうま(きづきゆうま)・・・2009年入団 95期 月組配属

   同期には朝美絢・愛希れいか

姫ちゃんが考えた輝月ゆうまのキャッチフレーズ

困った時には輝月ゆうま」

姫ちゃんが輝月ゆうまの代表作だと思う作品

「月雲の皇子」博徳

「アリスの恋人」トランプの騎士

「雨に唄えば」リナ

「エリザベート」マックス公爵

 

 連つかさ(れんつかさ)・・・2011年入団97期 月組配属

同期には海乃美月

姫ちゃんが考えた連つかさのキャッチフレーズ

東北魂胸に秘め男役の「形」で魅せる」

姫ちゃんが連つかさの代表作だと思う作品

「1789」新人公演 ロベスピエール

「NOBUNAGA」織田信行

「雨に唄えば」デクスター

 暁千星(あかつきちせい)・・・2012年入団 98期生 月組配属

同期には天華えま・真彩希帆

姫ちゃんが考えた暁千星のキャッチフレーズ

一番星目指して邁進中

姫ちゃんが暁千星の代表作だと思う作品

「1789」フェルゼン

「1789」新人公演 ロナン

「A-EN」アリエル

 風間柚乃(かざまゆの)・・・2014年入団100期生 月組配属

同期には蘭尚樹・天彩峰里

姫ちゃんが考えた風間柚乃のキャッチフレーズ

トップ路線の階段上る為修行中

姫ちゃんが風間柚乃の代表作だと思う作品

「グランドホテル」新人公演 オットー

「ALL for one」ジョルジュ

「カンパニー」青柳

クラブ「BADDY」は黒を基調に黄色が入った店内は木目調。

マネージャー:ゆうま

NO1ホスト:タマキ

NO2ホスト:ルリカ

3番手:カナト

ヘルプ:レン・アリ・ユノ

店内では酔っ払いながら泣いてる女の子達を優しくタマキが慰めている。

女の子1:だからね・・たまくん。私、すっごく悔しくて・・・

タマキ:うんうん。わかってる。可哀想に。

女の子2:そっちより私の方が可哀想だもん。

タマキ:わかってるけど、どっちがとか言っちゃいけないよ。

女の子1:だからね・・・

おばさん1:ちょっとタマキーーいつになったら私の所に来てくれるの?そんなに泣き虫が好きならもうシャンパン入れて上げないわよ。

ルリカ:タマキさん。こっちは任せて。はーい。子猫ちゃんたち。あんまり泣くと目玉がこぼれ落ちるよ。

女の子達:なにそれールリカったら面白い。

笑いに包まれる女の子達。

タマキ:お待たせしました。奥様。シャンパンコール行きますか?

おばさん1:私が出来るのはお酒を入れることくらいよね。若い子にはかなわないってことよ。どうせ金づるよ。

タマキ:どうしたんです?今日は悪い酒だなあ。かなと、こっちへ来い。俺の大事な奥様だ。今日は心行くまで楽しんでもらおう。

カナト:はい。

おばさん1:あら、かっこいい。タマキの落ち着きもいいけどこっちの危うさもいいわーールリカみたいに綺麗すぎない所がいいのよ。正直そうで。

ルリカ:聞こえてまーーす。

どっと笑い声。そこに姫ちゃんが帳簿持って入って来る。出迎えをするゆうま。

 

ゆうま:ご苦労様です。お嬢様。今日はお母さまの代わりですか?

姫ちゃん:そう。ええっと・・売り上げはそこそこかあ。何だかお悩み相談所みたいになってるけど。

ゆうま:全ての方を癒すのがBADDYの売りですから。

姫ちゃん:そう。タマキの売り上げはいつも通り。ルリカの風邪は?治ったの?お酒飲んで大丈夫?

ルリカ:姫に心配して頂けるならもっと風邪ひいちゃおう

姫ちゃん:そういう事言わないの。あなたは大事な戦力なんだから。株を上げてるのはカナトね。ママの見立て通りかあ。

ゆうま:まあ、一杯どうです?姫ちゃんの好きなカシオレ。ついでに新しいのを紹介します。ユノ。お嬢様に挨拶を。

 

ユノ、いきなり跪いて手の甲にキスする。茫然とする姫ちゃん。

 

ユノ:ユノです。よろしくお願いします。俺、絶対この店で一番になって見せますから。

姫ちゃん:う・・うん。頑張ってね。

ユノ:もし俺がナンバーワンになったらつきあってくれますか?

姫ちゃん:え?

ゆうま:ばか。いきなり何を言い出すんだ。そういう事は客に言え。失礼しました。

姫ちゃん:ははh・・印象強いわ。とにかく二重丸つけとく。

ゆうま:今のBADDYはタマキの性格もあって静かな雰囲気ですけど、ああいう爆発的なのも必要かなと思います。

姫ちゃん:そうね。でも「SANTE」の華やかさも欲しいし、オレオレ系があまりいないもんね。でもカナトは風邪ひいたるりかの代わりが出来たし、あとは若手ねえ。

アリ:こんにちは姫ちゃん。今日も歌いましょうか?

姫ちゃん:え?ほんと?じゃあ、えーーっとレンと一緒に「オペラ座の怪人」歌って。それから得意のピルエットも見せてよ。

アリ:かしこまりました。(お辞儀をして歌い出す)

 

店は一時アリの声に包まれる。

 

姫ちゃん:よーし、お仕事頑張るぞ!!

ゆうま:なんだかんだいってアリがカンフル剤ですか

姫ちゃん:そういうこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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初心者の為の宝塚講座 今旬のジェンヌで楽しんじゃう 1

2018-10-22 07:00:00 | 初心者の為の宝塚講座

 各組トップスターの事は色々おわかりと思いますので、今度は二番手以下の若手スターについてご紹介します。この記事をまとめたのは我が家の姫で・・・というのも私、若手は苦手で・・・・

 

 花組 

 柚香光(ゆずかれい)・・・200年入団の95期生。花組配属

同期は水美舞斗・礼真琴

姫ちゃんが作った柚香光のキャッチフレーズ&彼女の代表作

2番手の香り放つ現花組の御曹司

 六条御息所(新源氏物語)

 伊集院忍(はいからさんが通る)

 アラン・トワイライト(ポーの一族)

ふぶきさんが作るとこうなる

華も香りもあるけれど味がない柚」・・・ごめんなさいっ!

 容姿に恵まれ才能に恵まれ運にも恵まれ・・なのに成長しないのが柚香光です。なぜってまだ「演じる」ってことがよくわかってないのね。キザってりゃいいと思ってる節あり。しょうがないか。背中を見て育つ上級生がいないので。

 

 瀬戸かずや(せとかずや)・・・2004年入団90期生 花組配属。同期には如月蓮など

姫ちゃんが作った柚香光のキャッチフレーズ&彼女の代表作

男役の色気で魅了するダンディな男役

・遠山金四郎(風の次郎吉)

・フランク・ポーツネル男爵(ポーの一族)

ふぶきが作るとこうなる

花組ただ一人の大人の男はトップ娘役を奪い去る

 トップからして自信なさげな花組の中で落ちついた雰囲気は貴重です。「ポーの一族」の男爵は非常によかった・・というか仙名彩世と一緒に組んでこんなにしっくりくる男役はいません。夫を選び間違えたのね・・・

 

 鳳月杏(ほうづきあん)・・・2006年入団92期生

 月組 → 花組

同期には真風涼帆・彩凪翔など。

姫ちゃんが作った柚香光のキャッチフレーズ&彼女の代表作

月のような輝きと包容力の持ち主」

・穴穂皇子(月雲の皇子)

・王ジャハンギール(金色の砂漠)

・青江冬星(はいからさんが通る)

ふぶきが作るとこうなる

ついに姿を現した切れ長瞳のスナイパーが場をさらう

 全て努力と力で這い上がって来た鳳月杏はただものではありません。あとは前に出て自己アピールのみ。

 

 水美舞斗(みなみまいと)・・・2009年入団 95期生

姫ちゃんが作った柚香光のキャッチフレーズ&彼女の代表作

花のように舞い踊るイケメンフェイス」

トーマス(アイラブアインシュタイン)

・鬼島森吾(はいからさんが通る)

ふぶきが作るとこうなる

花組の太陽はついに朝を迎えた」

 柚香光の同期だったことが仇になったのか?あれだけのイケメンで踊れるのに長い間冬の時代でしたが、やっと光が差してきた感じ。花でこんんな扱いを受けるならよそにご栄転した方がよっぽど彼女の為になるんじゃないか?と。

 

 飛龍つかさ(ひりゅうつかさ)・・・2012年入団。98期生 花組配属 同期は暁千星・天華えま

姫ちゃんが作った柚香光のキャッチフレーズ&彼女の代表作

元気な花組男子

・タケヒコ(邪馬台国の風」新人公演

・アラン・トワイライト(ポーの一族)新人公演

 すみません・・・ほんと、よくわからないです。まだ。

 

 聖乃あすか(せいのあすか)・・・2014年入団 100期生 花組配属。同期には音くり寿・花優希など

姫ちゃんが作った柚香光のキャッチフレーズ&彼女の代表作

花娘より儚く見える男役」

・藤枝蘭丸(はいからさんが通る)

・エドガー・ポーツネル(ポーの一族)新人公演

 花組の男役にしては華奢というかおとなしめというか?両性具有というか?ただ演技力はありそうなので今後に期待です。

ここは都内一等地に立つ高層ビル。中は全ての階にホストクラブとキャバクラがあり、毎日おじさま・おばさまから若い人たちまで吸い込まれるように入っていきます。

オーナーはふぶき。毎日後継ぎの姫を引き連れて各店を回って帳簿を見て叱咤激励しています。今日はホストクラブ「SANTE」に来ました。

店内は都会的で夜景のようにキラキラしています。ピンクと黒を基調とした調度品は乙女チック。

マネージャー:カズヤ

NO1ホスト:リオ

二番手:レイ

3番手:チナツ

ヘルプ:マイティ

ふぶき:カズヤ帳簿見せて。

カズヤ:はい。今月も売り上げはいいですよ。全員一丸となって頑張ってますから。

ふぶき:そうはいってもシャンパンの出が少ないじゃないの。客も毎回同じ人ばかりで新規開拓してるんでしょうね?

カズヤ:はい。勿論。

レイ:チーッス。オーナー久しぶりっす。姫様ごきげんよう。

姫 :いやーん。やっぱりレイって嫌いになれない。

ふぶき:レイ、あんた今月何回遅刻したか知ってる?

レイ:・・・

ふぶき:人気があって売ればなんでもいいってわけじゃない。真心が大事。そんなんじゃいつまでも固定客が付かないわよ。

レイ:はーい。

姫 :ねえママ、レイとカクテル飲んでもいいでしょ?ほんの少し。

ふぶき:自分で払いなさいよ。

姫  :ケチ。

レイ:姫様、どうぞこちらのカウンターに。美味しいカルーアミルクがあるんだよ。俺、姫様の為に色々研究してるんだーー

ふぶき:頭痛い。

カズヤ:レイは自己アピールがうまいですから。そのうちリオを抜かすんじゃないかと。

ふぶき:リオねえ・・・リオ。

リオ;あ・・はい。

ふぶき:あんた、自分の事で精一杯かもしれないけどそろそろ下を統率していかないとダメでしょ。

リオ:でもそれはカズヤさんがやってくれてるし、僕はそういうキャラじゃないし、っていうか、僕なんかがNO1やらせてもらってるのがそもそも場違いで・・

ふぶき;馬鹿言ってんじゃないわよ。あんたにはどんだけごひいきがついていると 思ってるの?でもそういう人も大事だけど、自分で新規の客を開拓していかないとその地位は維持できないよって言ってるの。もうちょっと気をきかせないと。

リオ;はい・・やっぱり僕って何だか・・

ふぶき:ああもう!チナツ!チナツ!

チナツ;はいっ!オーナー。お呼びになりましたか?

ふぶき:このどうしようもないNO1ホストを盛り立ててやってくれる?そういうの、不本意なのはわかってる。わかってるけど店全体のバランスを考えると今、リオを下げるとか辞めさせるとか出来ないの。あんたは気が利くし接客態度も抜群にいいし常に自己アピールも忘れない。そういう所、ちゃんと評価してるんだからね。

カズヤ;よかったな。チナツ。

チナツ:はい。ありがとうございます。僕はリオさん大好きですから。リオさんは前の店でくすぶってた俺をここに誘ってくれた恩人なんです。だからリオさんを支えます。約束します。

ふぶき;うん。姫、そろそろ帰るわよ。

姫  ;えーー今、レイとマイティと楽しくやってるのにーー

ふぶき:オーナーの娘がホストにはまってどうするっ!

姫  :だってーレイはかっこいいもん。壁ドンしてくれたり、「姫様、好きですよ」なんて言ってくれるしーマイティは私の愚痴を何でも聞いてくれるし、気分いいんだもん。もうちょっといちゃ駄目?

ふぶき;マイティ、テーブルから姫をひっぺがしなさい。

マイティ:姫様、僕達はいつも待ってますから今日はオーナーのいう事を聞いた方がいいですよ。

レイ:オーナーは怖いっすから言う通りにしとかないと

姫;わかった・・・また来る。

ふぶき;カズヤ。扱いづらいだろうけどよろしく頼むわ。それとマイティ。

マイティ:はい。なんでしょう?

ふぶき:今月からヘルプ卒業。頑張ってNO1になれるようになさい。

姫:よかったねーーマイティ。私の大好きなマイティ。

レイ:姫様、俺のことは?

姫  :レイは気が多いからどうしようかなあ。

レイ:そんなことないって。いつだって姫様が一番だって。

ふぶき:私の娘を口説くんじゃないっ!

 

 

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初心者の為の宝塚講座娘役編6-2

2018-09-06 07:00:00 | 初心者の為の宝塚講座

 野々すみ花

 2005年 91期として入団。同期には天寿光希

 花組配属

 2009年宙組に組替え。大空祐飛の相手役として娘役トップに就任

 2012年退団

正直、在団当時の野々すみ花ってあまり好きなタイプの娘役ではなかったんです。花組時代も将来有望とは言われていたし、「あの子よ」とも言われたけど、あまり印象に残らなくて(すみません)

太王四神記」のタルビくらいから「ああ・・じゃあ、あれはお見合い?」って思ったくらいで。

あまりに大人っぽい大空祐飛の相手役としてはかなり心もとない感じでした。一生懸命についていこうとしたけど、結果的にかみ合わなかったような?

いや、それよりも野々すみ花にとって気の毒だったのは、「カサブランカ」「誰がために鐘はなる」という大作2本、それもイングリッド・バーグマンが演じた役を2人もやってしまったこと。

多分「凱旋門」の初演を見た時も「え?イングリッド・バーグマン」って思ったのと同じ、やっぱりある一定の年齢以上の人には違和感ありあり。さらに「誰がために・・」は遥くららという名娘役の当たり役でもあったわけだし。気の毒すぎて言葉も出ませんでした。

そうかと思えば「クラシコ・イタリアーノ」では植田景子らしく、完璧にドジで意味ない娘を演じさせられるし。可哀想でしたよね。

でも、そんな野々すみ花が退団後、NHKで大ブレイクを果たすとは一体誰が予想したでしょうか?

吉原裏同心」の花魁の役は本当に美しく、そして所作もしっかり、色気まであって、これがあの・・野々すみ花なの?(小出恵介は全くもうっ!続編が出来ないじゃないかっ)

さらにこの流れで朝ドラに出たかと思えば「鳴門秘帖」では見返りお綱ですから。

多分、とってもテレビ向きの顔だったんだろうなと思います。これからもずっとNHKで活躍するのかなーーなんてね。

 

 実咲凛音

 2009年 95期生として入団。同期には愛希れいか、朝美絢

 花組配属

 2012年宙組へ組替え。凰稀かなめの相手役としてトップ娘役に就任

 2015年 朝夏まなとの相手役になる

 2017年 退団

花組時代を全く知らないのですが、野々すみ花に続いて花組からの落下傘という事で、何でかなーーなんて。

でも凰稀かなめとの相性の悪さは天下一品で・・・龍真咲&愛希れいかと同等、あるいはそれ以上だったかもしれません。北川景子には「みりおんさま」と呼ばれていたけど、トップ娘役になった時からそういう扱いをほとんど受けなかったのではないでしょうか?

私的には「モンテ・クリスト伯」のメルセデスが一番いい役だったなと思いますが、それは相手役に憎まれるという役だったからなのかな・・・

凰稀かなめ自体が相手役不要、緒月当麻さえいればいいといった風情でしたしね。

だから朝夏まなとの相手役になって、「王家に捧ぐ歌」のアイーダ、「シェイクスピア」のアン、「エリザベート」のタイトルロール等を演じることが出来て本当によかったなと思っています。

とはいうものの、実咲凛音って果たしてトップ娘役としてのオーラがあったかどうかというのは疑問です。この点は野々すみ花も同じで大劇場という箱は彼女たちには大きすぎたのかもしれないと私は思います。

 美うらら

 2009年 95期生として入団

 2018年 退団

正確には彼女はトップ娘役ではありません。実咲凛音と同期という時点ですでにトップへの道は閉ざされていたのかもしれません。

でも、もし他の組であったらあるいは・・と思ってしまうんですよね。

確かに顔は可愛いと言えずじゃあ、目が覚めるような美人かと言われるそうでもないし、歌は下手だし演技も・・・「ロバート・キャパ」の時は「なんじゃこりゃ」状態だったし。

とはいっても、彼女程ドレスを着せて絵になる娘役も今は珍しく、特に人妻をさせたら宝塚一だったことは事実です。

翼ある人々」のクララ・シューマンの落ち着きと色気は半端なく、朝夏まなとの相手役にふさわしかった・・というか、そもそもまー様にはこんな年上風の相手役でもよかったんだよねーと思わせるところが。彼女なくして「神々の土地」は成り立たなかったと思いますし。

最初から路線ではなかったのか、スポンサーがつかなかったのか、本人にそこまでの意欲がなかったのかわかりませんが、なんとも寂しいさよならでした(花も貧弱でしたしね)

まるで源氏物語の夕顔みたいな彼女です。

 

 星風まどか

 2014年 100期生として入団 同期に天彩峰里、極慎、風間柚乃

 宙組配属

 2018年 真風涼帆の相手役としてトップ娘役就任

100期生にもなると未知の領域です。(だけど極慎は好き)

考えてみると生え抜きの娘役トップという事で、これは宙組発足以来初なんですね。

そういう意味では貴重であり、おめでたいことだし、心からよかったと思います。

「神々の土地」の皇女はとても可愛らしかったし「ヴァンパイア・サクセション」でも存在感がありました。真風との相性がいいのもめでたい事で。だけど今までずっとまー様とラブラブだった真風にいきなり女の子が来てもなあ・・・とへんな事を考えてしまう自分が嫌です。

 

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初心者の為の宝塚講座娘役編6-1

2018-08-30 07:00:00 | 初心者の為の宝塚講座

 宙組 

 花總まり(はなふさまり)

花總まりが宙組のトップでいた期間は1998年から2006年まで。その前、1994年に雪組の娘役トップに就任しているので、12年間娘役トップだったという事で、歴代最長記録です。

白城あやかが非常に女性的で色気もあり、男役を立てることに徹底したこだわりを見せつつ、自分がど真ん中にたった時は女王のような存在感を持っていたのに対し、花總まりは最初から最後まで自分の前に壁を作って一切誰も寄せ付けない孤高の美を持っていました。

彼女には相手役ですら必要なかったと思います。

1998年、ビジュアル的にピッタリ姿月あさとと組んで宙組に君臨してはみたけど、エリザベートのごとく、彼女の心にはいつも孤独の風が吹いて「本当の相手はこの人ではない」と言っているような印象がありました。

無論、仕事ですからきっちり役割は果たしていたんですけど、それ以上の関係にならないので、宝塚的には「よそよそしい」と感じることが多かったと思います。

姿月あさともまた包容力を発揮するタイプではなかったし、勝手に一本立ちしてくれる花總の存在は楽だったと感じていたかもしれません。でも花總としては相手にも自分と同様の努力を求めるタイプなので、少しも変って行かない相手に段々と冷めた視線を送るようになっていました。

次の相手役、和央ようかはまさに「初恋の相手」ですから、彼女からしたら理想の相手だったのかもしれませんけど、和央は完全に花總の陰になっていたけど、花總は少しもそれに気づかないからどんどん強く立派になっていく。その象徴が「トゥーランドット」ではなかったかと思います。

自分では添い遂げているつもりでも、完璧に「女帝の夫」化してる和央ようか。それでもまあ、「ファントム」以降は随分ましになったとは思うんですけど。同じ気の強い相手役でも遠野あすかだったら結構和央も生かされたのではないかと思います。

とにかく「エリザベート」以来、「女帝」の異名で宙組に君臨。彼女のおかげでトップ娘役の座を逃したジェンヌは幾星霜。彩乃かなみですら危ないと言われた程。

だけど花總まりなら集客力がばっちりだし、衣装は自前だし歌劇団への貢献度も高かったから、誰も文句は言えないでしょう。特に小池修一郎は花總を気に入っていたようですし。

そんな彼女を歌劇団に留めようという動きがあったのは確かのようで、和央が退団する時に一旦専科へ行き、次回、花組の「ファントム」のクリスティーヌを・・と言われていたのを蹴っ飛ばして退団。

ゆえにあの花總まりの退団公演「NEVER SAY GOODBYE」は衣装がしょぼい。フィナーレもしょぼい。 本来なら「女帝」の退団ですから、1年くらいかけて大掛かりにやってもおよかったと思うんですけどね。

退団後は暫く和央の付き人のような仕事をして、やがて満を持して復帰。

今やすっかり丸くなったお花様。

でも美しさはナンバーワンです。

 

 紫城るい(しじょうるい)

 1997年 83期生として入団。同期に彩乃かなみ・愛音羽麗

 月組に配属

 2002年男役 → 女役

 2005年 宙組に組替え

 2006年 貴城けいの相手役としてトップ娘役になる

 2007年 退団

紫城るいは男役としては線が細すぎるタイプだったので本来は最初から娘役になるべきだったのではないかと思います。男役としての紫城るいのイメージって残っていないです。

印象に残っているとすると1998年の「BLUE MOON BLUE」で可愛いピンクの衣装を着ていた娘役姿で、実は彼女、博多座の「LUNA」ではイレーネを演じ、TCAスペシャルではマリー・ヴェッツェラを演じるなど、何かと娘役としての起用が多かったんですね。そんなこんなで2002年の新人公演からはヒロインに抜擢。

通常性転換したジェンヌがトップになるケースは高くないと思うんですね。愛希れいかなどは特例で、下級生の頃ならいざ知らず途中からというのはなかなか難しい。

せいぜい天勢いづるどまりかなと思うのですが、紫城るいは貴城けいの相手役として宙組に組替えしトップまで上り詰めたのだから大したものです。

活動期間はわずか1年。作品は2作どまりだったし貴城・紫城コンビにとって似合っていたものとは言えないけど、彼女にしてみればよい結果であったと思います。

 

 陽月華(ひづきはな)

  2000年 86期生として入団。同期には凰稀かなめ・城咲あい・緒月遠麻

 星組配属

 2007年 宙組に組替え。大和悠河の相手役として娘役トップに就任

 2009年 退団

かえすがえすも何で陽月華を宙組へやってしまったのか・・・歌劇団に怒ってます。彼女には柚希礼音こそふさわしい相手だったのに。

陽月華はその見た目がくっきりとして綺麗。尚且つ物言いがちょっと生意気な所があったなという記憶が。相手が上級生だろうとなんだろうと天然で言いたい放題言う。そういえば最近バラエティに出ていたけど別人のようにおとなしくなってました。

歌はいつまでたっても上達しなかったけどダンスはピカ一。そして演技力も最高。どこか遠野あすかとかぶる部分もあり、ゆえに組替えさせられたのかと思ったりしたけど。それにしても大和悠河の相手役とは。

A/R」や「バレンシアの熱い花」でもひときわ光る演技力を発揮。次第に彼女が中心になっていって、いつしか大和の陰が薄くなるといった具合で。そうかといって花總まりのようにドドーンとしているわけにもいかず、一生懸命に相手役を立てようとする意欲はあったと思います。

思いますけど、何にせようますぎるんです。演技もダンスも。

こういう娘役は立樹遥などの、一歩引く男役に好き勝手に動かせてもらった方が伸びるし、男役としても包容力を発揮できると思うんですけど、大和悠河はどこかまだ幼いイメージがあったし、上級生らしくないところもあったし。

今だって陽月華として思い出すのは星組時代の「バビロン」のオープニングや「雨に唄えば」のキャシーだし、「フェット・アンペリアル」のエンマだし。

宙組時代の「宙FANTASISTA!!』でとにかく存在感とダンス力が半端ない事を再確認して、複雑な心境に。「Paradise Prince/ダンシング・フォー・ユー」でも、芝居で魅せてショーで思い切り。

退団してからドラマに出ても目立つし綺麗だし、吉田羊に似ているというならそのまま売れてくれたらいいのにと思いました。

もっともっとドラマに出てーーー!

 

 

 

 

コメント (5)
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