偶然なんですけど、寅に翼ファンの少年犯罪を研究している大学教授の講演を聞きにいく機会がありまして。
なるほどなあと思った事がありました。
私、五輪には興味がなくて、だから女子体操の宮田笙子氏が喫煙で「五輪出場辞退」となった事に関しては、あまり何も感じなかったんですね。
テレビでもネットでも「たかが喫煙くらいで」という人がいる一方「法律違反したんだからダメ」と意見が分かれ、宮田擁護をする人ががんがん誹謗中傷を受けるという事が起きていました。
「許せない社会」それが今の日本と言う事で、「1度の失敗がその人の人生を閉ざす」ような結果になっているんですよね。
例えば、伊藤健太郎の事件をとってみても、私がブログで振れれば荒らしがやってきて「あんな奴は死ね」とかすごい書き込みがあって、そのイメージが一生ついて回るのかと暗たんたる気持ちになりました。
昭和の頃、覚せい剤などに手を出した芸能人は多々いましたけど、立派に更生した人もいますし、復帰しても過去をほじくらないのがよしとされていたのですが、今は一度過ちを侵すと一生叩かれ続ける、ひどい社会です。
「寅に翼」でも数多くの少年犯罪を犯した少年に対する「こいつは」と言うクネ男の言葉や、結局寅子は袱紗雑な思いのまま裁判を進めていくのです。
「不良少年たちを更生させる為にはどうしたらいいのか」と悩む寅子なんですよね。
しかし、まさかその少年犯罪に黒幕がいたとは。
この美佐江ちゃんは優等生で、法律を学びたいと勉強している女の子です。お父さんは官僚ですよね。
美佐江が寅子にくれた赤いプレスレット。
これは「先生は私の特別」という意味なんだそうです。
しかし、不良少年たちも同じものを身に着けていた事で、疑惑が。
少年の一人が「彼女がすっきりするなら」と暴力を振るっていたことが発覚。
本人に「特別ってどういう意味なの?他にもいるの?」と聞く寅子に
「あら、嫉妬ですか?」と答える美佐江の異常さ。
この問題は後を引きそうで、今後この少女は誰によって裁かれ、誰が責任を取るのでしょうか。
宮田氏について教授が語っていた事は
民法上19歳は成人である
少年法上では未成年である
ゆえに、成人であっても20歳までは煙草やお酒はダメという事になっている。
彼女が成人として裁かれたのか未成年として裁かれたのか、そこが問題。
もし、未成年であれば、懲罰委員会などが開かれ、本人に罪を自覚させて、そんな彼女を育てた大人も責任を取らなくてはいけない。
そうでないと更生への道がないのだと。
今回、本人は一切人前に出る事無く「身内の告発」で発覚し、本人の言葉は一切なく、ただただ「辞退」を早めただけですが、それが本人の意思なのか、回りが勝手にそうしたのかわからない。
で、私はその時「そっか~~そう言えば、本人が何と釈明しているかが一切出てこないし、辞退が本人の意志なのか、本人がその罪を自覚しているかどうかが不明」だと思ったのです。
そこで教授は「寅に翼」に出てきた暴力を振るった職員の話をされました。
彼が暴力を振るった事は悪い事なのに、地縁と血縁で結ばれた村社会の中では「まあまあ、もう怒ってないから穏便に」という意見が多数。
寅子はそれをあえて「いえ、罰します。彼を今の環境から自由にする為に」と言います。
きちんと罰を受けずになあなあで済ませると、本人は今後、自由にものが言えなくなるという事です。
これにひっかけたのが宮田笙子氏の問題で、果たして本人が「喫煙」を悪い事と認め、自ら辞退したのだろうか。それがなければまた同じ事を繰り返すのではないかと。
体操協会などは、事を大げさにしたくないし、マスコミに19歳の少女をさらしたくないから、「事実」のみで「五輪を辞退させることが罰」と思っているのだろうけど、果たしてそうでしょうか?
早速週刊誌などでは彼女への誹謗中傷が出ているし、憶測も多い。体操界自体が喫煙や飲酒が蔓延しているとすら言われています。
だとしたら、彼女は単なるスケープゴートだったのでは?と。
それにしては重すぎるし、この事が他のメンバーへの戒めとなるのだろうかと。
深い問題だったんだなと今は思うようになりました。
10代の選手が活躍する時代に、彼らをきちんと大人にする事が出来ないなら、それは意味がないと私は思います。
安倍詩の号泣は、小さな子供のようで、「ああ、本当にこの子は大人ではなかった」と思いました。心が子供のままで五輪に出ると言うのはリスクもあるなと感じました。