毎年の遊びのようなものですからお気になさらず。
東京公演を主として考えているので「ファントム」は東京です。「イスパニア」は来年度になります。
最優秀作品賞(芝居) →「ファントム」(雪組)
ぶっちぎりで「ファントム」です。初演に比べて演出やフィナーレ処理が本当によくなっていました。外部のどこで上演されようとも雪組にかなう人はいないでしょう。
「食聖ーGOD OF STARS」
オリジナル作品として最高によい出来でした。星組と紅ゆずる・綺咲愛里への愛を感じる作品で、観客も大いに楽しませて頂きました。
(ショー)→ 「エクレールブリアン」(星組)
今年はショー作品が少ない中でmやっぱりこれかなと。「ボレロ」シーンが決めてです。
優秀作品賞(芝居) → 「CASANOVA」(花組)
本当は最優秀作品でもいいかなと思う程の出来でしたが、作曲がフランス人であること、ラストが水戸黄門的になってしまった部分で優秀賞にしました。
(ショー)→ 「クルンテープ」(月組)
月組のトップコンビには合わない作品だと思いますけど。久しぶりのアジアンなショーに酔いしれました。
最優秀男役賞 → 望海風斗
紅ゆずる
本当は全ての賞を望海風斗が独占してもいいというくらい、何ていうか全てにおいてパーフェクトな人です。「ファントム」のエリックも、「壬生義士伝」の吉村も、性格の違うキャラを丁寧にしかも間違えずに演じる。これは天才と言ってもいいのではないでしょうか?
紅ゆずるの方は望海の対極にいて、宝塚史上最もコメディに優れた男役でした。観客を大事にして、その反応を見ながら演技する。これは下町の芝居に共通するものです。望海風斗が高尚なオペラなら紅は狂言というように、色が違います。
最優秀娘役賞 → 綺咲愛里
「霧深きエルベのほとり」のマルギットを今時自然に演じてしまう人は綺咲愛里以外にいないでしょう。本当に世間知らずなお嬢様ぶりが似合っていました。だからより物語が感動的になりました。また「GOD OF STARS」のアイリーンは男っぽくてそれでいてキュート。七変化に見せてくれるその姿に感動しました。
最優秀助演男役賞 → 鳳月杏
「CASANOVA」のコンヂュルメル夫人は彼女の代表作じゃないか?という程素晴らしい出来でした。姿も演技も完璧。高音から低音まで出せる音域の広さも素晴らしい。月組に来てからも包容力がありダンディなパパを演じてくれました。またファンが増えたかな。
最優秀助演娘役賞 → 舞咲りん
海乃美月
「ファントム」のマダム・カルロッタは今までの中で一番面白くて聞き応えがあり、素晴らしい演技でした。舞咲りんここにあり!というものでした。
海乃美月は「無限無双」の芸者さんと「I AM FROM AUSTRIA」のロミーです。老け役が初めてだと思うのですが、しっかり演じてくれましたし、その美しさは群を抜いていました。
最優秀歌唱賞(男役) → 望海風斗
(娘役) → 真彩希帆
ここはもう「ファントム」コンビしかないでしょうね。
最優秀ダンサー賞(男役)→ 暁千星
「クルンテープ」の女性役のダンス、そして「I AM FROM AUSTRIA」のパブロのダンスに関して。
(娘役) → 沙月愛奈
「ファントム」の従者としてのダンスは引き付けられ、目が離せなくなりました。
ダンサー賞・・・和希そら・礼真琴
和希そらは「オーシャンズ11」のダンスに対して。礼真琴は「エストレージャス」のBUCKのダンスに関して。
新人賞 → 彩海せら
「壬生義士伝」で吉村の息子を演じた彩海せら。彼女はこれから活躍していくでしょう。
最優秀脚本賞 → 小柳奈穂子
「GOD OF STARS」「群盗」の脚本に対して。オリジナル性が高く観客目線で脚本を書く事が出来る人です。
最優秀演出家賞 → 上田久美子
やはり「霧深きエルベのほとり」の演出が素晴らしい。彼女の大階段の使い方が好きです。
今年最も頑張った人 → 風間柚乃
「エリザベート」「無限無双」「クルンテープ」と代役が続いて、本当に大変な一年でしたね。
風間柚乃はこの学年にしては何をやらせても大丈夫、優等生。まるで香寿たつきや北翔海莉のような存在だなと思いました。
【今年の宝塚】
1年間、こんなにいい作品が揃った年はあまりなかったと思います。(90年代、あれは一体何だったんだ?)それぞれの作家が自分らしさを発揮出来たり、また「あて書き」が非常にうまくいったということなのでしょう。
でも、一番は作曲家ですよね。外部の作曲家を使うことでより作品が生きたということです。見る側からすればよい事なのですが、宝塚には座付き作曲家がいますので、彼らももっと頑張ってほしいなと思いますし、本当の宝塚らしさを表現するにはやはり座付き作家によるいかにも宝塚らしい楽曲が必要だと思います。
最優秀に入れた作品がみな外部の作曲家の手によるもの。今はいいけど長い目で見てどうなのか?という点を考えるべきでしょう。
ウイーンやフランスと提携を結ぶ事により、宝塚はより発展しました。今年はそんな集大成の一つであると思います。しかし、どうかお願いします。
今度は宝塚のオリジナル作品をウイーンやフランスに提供して欲しいのです。
韓国ミュージカルがいとも簡単に日本に入っている現状を見る時、なぜ日本を代表する歌劇団の作品が世界に発信されないのは不思議でなりません。
勿論、宝塚は歌舞伎や狂言のような伝統芸能の一つになっています。だから発信したとしても、あちらの人達が女性だけで演じるというのは無理かもしれません。でも、東宝版があるように、ウイーン版やフレンチタカラヅカがあっても別に構わないと思うんですよね。
東欧諸国・・・ロシアから独立した小さな国々では日本のアニメやコスプレが大きな癒しになっています。だからそういう所に宝塚を持って行ってもいいと思います。
残念なのは若手による「バウ」が減ったことで、東上する作品も減りました。バウは自主公演みたいなものだから仕方ないのかもしれないけど、98期から100期がもっと主役を張った舞台を行うことは必要でしょう。誰もが新人公演を見ることが出来るわけじゃないんだし。バウで代表作を持つことが出来ればスターの評価も変わる。今後の課題ですね。
今年は本当によく笑って泣いた一年でした。感動する事も多かったです。宝塚の歴史の中でも滅多にない充実した1年をありがとう。
【これからの花組】
柚香光と華優希のコンビは「はいからさん」に代表される花組にしては珍しくラブラブなカップルになりそうです。柚香光の同期である水美舞斗、なぜか大きな存在の瀬戸かずや、VISAがついた永久輝せあ、華やかで絢爛豪華な舞台を見せてくれるでしょう。
しかしながら柚香光には課題も多く、今後どれだけ成長していけるかがカギだと思います。
【これからの月組】
珠城りょう率いる月組は安定の一途。二番手の月城かなとは美しく、鳳月杏も海乃美月も近年まれにみる美形コンビ。下級生もよく育ちもっとも安定していると思います。が、元々珠城りょうは棒だし、男役の背中を見せるタイプではないので、今後、宝塚の「型」をきちんと持った下級生が出てくるのかちょい心配です。
【これからの雪組】
大物トップの望海風斗と真彩希帆を頂く雪組は、芝居も歌もダンスも安定していて作品にも恵まれ、非常にやりがいのある組であると思います。しかし、今後、彩風咲奈がトップになった時には随分とカラーが変わるだろうし、果たして望海風斗並のカリスマ性を持つことが出来るのか心配になります。朝美絢と綾鳳華のさらなる成長が雪組の今後を占う上で大事ではないでしょうか?
【これからの星組】
礼真琴と舞空瞳の優等生コンビは見ていて何も心配する事はないのですが、それだけに型にはまってつまらなくなってしまいそうな気がします。専科から2番手になった愛月ひかるがすんなりと星組の中に馴染んで伝統を引き継いでいけるのかどうか。また礼の同期、瀬央ゆりあを今後どうしていきたいのか。下級生は団子状態になってます。極美慎と天飛華音などの若手が成長していく事で面白さを出していけたらいいのではないかと思います。
【これからの宙組】
観劇回数が少なくて何も語る資格はないのですが、真風涼帆と星風まどかのコンビは失敗だったんじゃないかなと思う今日この頃。何が悪いって真風は若い娘役を引っ張って行くタイプではないのです。むしろ上級生が相手役だった方がよかったのではと思います。芹香斗亜・桜木みなとと路線は確定しているものの、今一つ「濃さ」が足りない。一体どうするつもりなんでしょうね。
【年末しか語れないふぶきの御贔屓さん】
一応、観劇評を書く時はご贔屓の事はあまり書かないようにしています。贔屓していると思われるのは困るので。
でも年末くらいは思い切り語ってもいいよね。
暁千星
実は「エリザベート」の時、回りの人に「ありちゃんはイマイチよ」って言われたんです。それも一人二人じゃありませんでした。その代わり評価が爆上がりしたのが風間柚乃。代役がとにかく素晴らしかったと言われました。美弥るりかも月城かなともとても綺麗。そして風間柚乃は貫禄があるとか何とか。私も暁のルドルフは「史上最高のヘタレ皇太子」と思ったけど。でも、そういう解釈もあるんだと思い直しました。
で「無限無双」を見た時にびっくりしちゃって。え?ありちゃん、いつの間にこんな色香漂うすごい男役になっていたの?
京言葉は本当にお似合いで着流しで髪が長いのも素敵。好きな女をわざと振る仕草も最高。私だったら嫌でもついていくのに・・・と思った程。
でもそれ以上に驚いたのは「クルンテープ」で、オープニングの歌詞に「あなたがいないと眠りにつけない」というのがあり、この言葉が聞きたくてずっと音楽を聴いているという感じです。(東京では風間柚乃だったので)
「クルンテープ」の中の女性役も足の長さ、色気、いじらしさ、どれをとってもすごい成長ぶりで、おばさん、すっかり嬉しくなってしまいました。
今回の「I AM FROM AUSTRIA」のパブロは、「あなたはとてもキュートだ」というセリフがあり、同じセリフを言う珠城りょうよりずっと上手。さらに歌詞の中では「君の汗の光はダイヤより美しい」でキュンキュンしています。
新人公演を卒業したら急に成長して嬉しすぎる。まるで中学生がいきなり背丈が伸びるような感じですよね。華やかさや貫禄もついて、いつでも羽根をしょって立てるよなあ・・でもその前にバウで代表作を1本お願い!あなたがトップになったらまた「1789」がみたいです。
笑顔が可愛いのにマッチョも似合う、相手から視線を離さないしぐさ。手の美しさ。ああかつて私の一番目の夫を思い出すわ。甘えん坊で泣き虫だけど妙に頼りがいがある。これが暁千星のキャラなら、小池先生、ぜひこの路線で1本お願いします。
要するに、今年は暁にとって第二のブレイクになったということですね。
極美慎
一年間、極美慎の目がなくなっちゃう笑顔で癒されました。背が高くて素直でまっすぐすくすく伸びている感じが大好きです。「GOD OF STARS」のパラダイスプリンスのかつらの色は似合わなかったけど、でも「エルベ」の貴族も「エストレージャス」のダンサーも素敵でそっちばかり見ていましたよ。
「悪役をやりたいです」って笑ったら目がなくなっちゃって思わず「無理無理」って笑ってしまいました。まさに極美慎は白馬に乗った皇子様がよく似合う人です。
また、天華えまとのコンビも素晴らしくて、今後、この二人が組むのをみたいと思いました。
来年はぜひ「当たり役」を!!
今週は月曜日・火曜日・金曜日・土曜日と劇場に通い続けました。つまり月組を合計5回くらい見た計算になりました。全然ご縁のない組もあればこんな風に突如立て続けてしまい、貯金を全部失う月もある。夏には兵庫県まで出向き、その結果、またも貯金を使い果たし。
一体私、何の為にコツコツ毎日貯蓄しているのか?と悩むこともありました。
でも、宝塚は私にとって大事な分野です。さらっと使いきってまた来年ゼロからスタートすればいいっかと(思うしかないです)
とはいえ、来年こそ仕事にまい進し劇場通いは抑えらえる。そう信じています(笑)貧乏人には宝塚は贅沢すぎるのよねーーーと。