サン・ジョルディの日とその前日の2回見ました。
2日間、とにかく脳裏に浮かぶのは和央ようかの声ばかりで真風涼帆の声に重なって聞こえてくるので大変でした。
初演を見ているので、その記憶を辿ろうとブログを探したけど、結局、和央ようかと花總まりの退団の話だけ書いていたのでとりあえずそれを再掲載しますね。
https://blog.goo.ne.jp/yonyon4009/e/338de147a2d0f308c85cafa079616f5a
https://blog.goo.ne.jp/yonyon4009/e/49d653c5027422435c7d56223c024fff
https://blog.goo.ne.jp/yonyon4009/e/664df821e66f6e9dcf6a79929f547a3b
パンフレットに小池修一郎が書いているように和央ようかは退団を前にして「W-WING」の舞台上にて大けがをしてしまい、ちゃんと出演出来るのだろうかという大いなる不安が歌劇団関係者やファンの間に広がっていた時代でした。
和央が怪我をしたというのは公式に発表されたっけ?と。
当時、ネットで「大けがして大変な状態だ」というのを知った覚えが。
吊り状態から転落したんだっけ?斎藤吉正演出だったような?
で、普通の劇団だったらすぐに警察が入ったり現場検証されたりする筈なのに誰も責任を取ろうとしなかった・・・という批判を見た覚えがあります。
花總まりに関しては、劇団側から「専科」として残って欲しい、次回上演する「ファントム」だか「エリザ」だかに出演させたい意向があったけど、和央の怪我の責任を追及できず、結構お怒りで退団を決めたという話。
花總まりがどんなに金持ちで「女帝」で歌劇団への貢献度が高かったとしても(例えば衣装代とか緞帳とか)花總の怒りに歌劇団が怒り、最終的に二人の退団は記者会見もなく、フィナーレの衣装も使いまわしという措置になり、私達ファンはひたすら和央の体調を心配しながら得意なダンスを披露出来ない彼女に同情し、ひどかったなあという思い出しかないです。
今時の演出家ならこういう風な退団を見たらすぐに自分も退団しちゃうんだろうなと思います。
でも小池修一郎は負けなかった。
フランク・ワイルドホーンに音楽を頼んで、さよなら公演にふさわしい作品を提供したのですから。
当時も泣いたけど、それは退団していく人への涙であって、作品そのものに対するものではなかったと思っています。
スペインの内戦に関する知識もなかったし、戦争状態の人の心理というものがよくわからなくて、ジョルジュって何で自分に関係ない戦争に飛び込んでいくのか、とか、どうしてキャサリンはこんなにスペインに肩入れしていくのかとか、考えてしまった記憶があります。
ジョルジュはポーランド生まれのフランス人でカメラマンでいわば傍観者の立場。何となく興味本位で内戦に突き進んでいったのかなと勘違いしていた部分があります。和央の演じ方があまりに自然すぎて「自分探し」に見えなかったっていうのもあるかな。
花總のキャサリンものめり込むタイプでちょっと引いちゃうと思ったのも事実だし、二人ともあのままモスクワへ行っていたら何事もない日常に戻れた筈なのに、片方はオリーブの木の下に眠り、片方は子供を産んで二度とスペインに行けなかった・・人生とはどう転ぶかわかりませんよね。
楽曲が素晴らしすぎて、著作権の影響で「デラシネ」以外は配信されなかったのが残念でした。
今年になってやっと全部買う事が出来て感動しています。
さて、2022年の「NEVER SAY GOODBYE」はあまりにもタイムリーな作品で、戦争の恐ろしさや独裁制の怖さを十二分に知った上で見ているので、カマラーダ達の歌や歌詞の一つ一つが胸に突き刺さって、それだけで泣けてしまうという感じです。
真風のジョルジュは結構なプレイボーイで、姫から言わせると「デラシネっぽい。たかちゃんは品がよかった」そうです。ゆえに自分探しが強調されるので、スペインの真実を見たいという欲求に共感出来て、私達も一緒にそこに飛び込んでいく。
「僕はデラシネ」で背後に移る影の演出の素晴らしい事と言ったら。
やっぱりさすがに小池修一郎だなと思いました。
スペインの内戦において、ソ連を後ろ盾にしたプスクが結果的にナチスドイツと同じ事をしている・・というようなシーンがありましたが、今、プーチンは盛んに「ネオナチを倒す」だのと言っておきながら、やってる事は同じというのと重なり、ラジオ放送が制限されたり、「知らなくていい事は教えない」というソビエトの言い分が、まさに響くものでした。
ナチスと社会主義活動の差って一体なんだろうか・・・舞台を見ながらそんな事を考えていました。
観客のすすり泣きが結構早くから聞こえて来たのも、時節柄の事だったのではないでしょうか。
この舞台に欠かせない、カマラーダ達の群舞や歌の熱気が素晴らしく、みんないつもより燃え上がっているなと感じました。
思えば歌詞の一つ一つ、セリフの一つ一つが2022の世界に共通の感情何だと思うと、ここでもやっぱり小池修一郎はすごいと思ってしまうんですよね。
フランク・ワイルドホーンの楽曲は、主役二人の音程に合わせて作られていました。和央ようかも花總まりもキーがとっても高いのです。
だからそれを真風涼帆と潤花にあてはめてもダメで、キーを下げたり、二人の歌だけが浮き上がったりと結構大変。特に潤花が高音がダメなんだという事が本当によくわかり、ソロ以外は全然ダメだったなあ…と思いました。
和央ようかの絹糸のような歌声と真風涼帆のコットンの声には大いなる差があるなと。
あの頃からワイルドホーンは「私のタカコ」を意識していたのか?なんて思ったりしてね。
誰だって戦争に行きたくない。
でも、どうしても国を守る為には闘いに行かなくてはならない。
そのおかげで仕事を辞めたり、人生が変わってしまったり。
悲しくても笑って送り出さなくてはならない時がある。
その感情を特に表現していたのがヴィセントとテレサで、2幕目ラストの「女達はここまでだ」と言った時の悲しさが胸に迫ってしょうがなかったです。
自分も行くと駄々をこねるキャサリンをなだめるジョルジュは「誰がために鐘はなる」(無論鳳蘭さまと遥くららさまです)のラストに重なって泣かずにはいられませんでした。
当時も思ったけど、やっぱりこの作品は名作なんだと思いました。
真風涼帆・・・声のキーが合わなくて苦労しているのはわかりました。
カメラマンの役がとても似合っていて、無難にこなした印象です。和央のようなスマートさがない分、等身大のジョルジュで観客は共感しやすかったのではないでしょうか。
今回は3回もリフトを見せてくれて・・・最近、トップのリフトって見てないなと思ったので嬉しかったです。
潤花・・・キャサリン。声のキーが全然合わず、デュエットでも声が浮いてました。ソロのシーンは問題ないけど。
潤花らしさを出せずに四苦八苦してた印象。衣装も地味すぎるし、この役は結構普通の女性なんだなと思いました。
芹香斗亜・・・ヴィセント。相変わらずの芹香斗亜節で、今まで演じて来た役と何が違うのかわかりません。マンネリしすぎ。とはいっても初演の大和悠河よりは断然歌が聞きやすくてよかったなと思います。
桜木みなと・・・アギラール。初演の遼河はるひのアギラールはひたすら怖くて悪役で威厳がすごかったので、とにかく悪い人なんだと。
でも我が家の姫いわく「桜木みなとのアギラールはそんなに悪い人じゃなくて、言ってる事は結構まとも。でもキャサリンに執着したのがね~~」と。
怖い人というより利己的で執着激しい人という印象でした。
天彩峰里・・・エレン・パーカー。紫城るいのエレンはただただ高慢な女だったけど、天彩峰里にはちょっとかわいそうな所もあるわけで。「アリちゃんの相手役にぴったり」と思ったんですけどね。エトワールも素晴らしかったです。
留依蒔世・・・ラ・パッショナリア。女役で出てくるとは。背が高くて声もよくてそれなりにすごいけど、見た目が男か女かちょっとわからないなと。和音美桜と比べるのは酷でしたね。
とにかくアンサンブルがみな素晴らしかったです。プスクもポームもセンチュリアオリンピアーダの面々も。タリックの亜音有星も必死感があって印象に残りました。勿論風色日向もかっこよかったけどね。
とにかく宙組の超ワンパターン3人組を何とかしようよ。
もう成長する時期も終わって老成するしかない3人がいつまでも重要な役を独り占めするっていい事ですか?
新陳代謝が必要って、植田紳爾が言ってひどい「新専科制度」が強硬された歴史はあるものの、ここまで3人が3人ともなかよしこよしのワンパターンをみせられるとさすがに飽きます。
瑠風輝・留依蒔世・寿つかさもいい加減に動こうよ。組長はいつまで組長をやるんだい?長すぎるでしょ。さすがに。
新人公演の主役の鷹翔千空ですら個人的には新鮮味がなくなってます。
何なんでしょう・・・この宙組の停滞感は。
和央ようかと花總まりもすごく長い期間やってましたが、2番手が次々変わって・・あれは変わり過ぎでしたが。あの二人のおかげでトップの夢を断たれた人は大勢。とはいっても、今の宙組は異常。
真風涼帆は「NEVER SAY」が初舞台でしたって?
何かに呪縛されているような気がしてならない。
今まで宙組育ちで自分の組のトップになった人っていないのよ。
ここまで期待させて次はよそから落下傘なんてやったらそれはそれで客離れを引き起こしそうです。