れいわ新選組の山本太郎が「資本家の手先になるような政治家が
国会の中に跋扈(ばっこ)すれば、
資本家や大企業のための法律しか作られないし、
彼らが得になるような法の改正しか行われない。
それが行われてきた数十年なんですよ」
と言ったらしいですね。最初に「資本家の手先」という言葉を聞いた時「いつの時代の言葉?」と思ってしまったんですよ。
どういう意味なのかな・・・私の世代ですらよくわからん。でもひところはよく聞いた。
いわゆる「アカ」の決まり文句だわ。
それを理解するには「戦争と人間」を見るといいんだと気づきました。
これは1970年から1973年にかけて作られた日活の映画で3部作。
昔、一度見たんですけどその時はよく意味がわからなくて・・・でも、今月、WOWOWで三部全部見て「これは社会主義礼賛」の映画ではないかと気づいたのです。
(遅すぎてごめんなさい。リアルに見て感動した人もいたと思うんですよ)
なにせ、キャストがすごすぎて怖くなるほど。今時これだけのキャストは絶対集まらないだろうなと思います。中村勘三郎もお金持ちの末っ子という役柄で登場しています。
浅丘ルリ子や佐久間良子は勿論、吉永小百合まで。
この作品で吉永さんは左翼に目覚めたのかなと・・・・・
ざっとあらすじ
資本家の伍代家・・・超が付くほどお金持ち。当主は東京、弟は満州で軍と持ちつ持たれつでお金を増やしていく。
次男の俊介は友人が貧しく、しかも兄がアカで捕まってしまった事で深く同情し、社会の不平等を憎み、次第に社会主義に目覚めていく。
長女の由紀子は色々あったけどブルジョアと結婚。
次女の順子は俊介の友人と結婚し親に黙って社会主義活動にハマっていく。
伍代家の弟、喬介は満州であっちこっちにスパイを潜り込ませて情勢を把握。それによって中国人の差別されていく姿が明らかになる。
満州生まれの2世・・・加藤剛が演じる服部は自分で「満州2世」と語っている。どうやら国籍がさだかではないらしい。中国人資本家の娘、瑞芳(栗原小巻)と知り合ってから徐々に反日運動に傾倒。
アカの兄を持つ標耕平・・・兄が捕まり、自分もアカになって刑務所に入るが満州に消臭される。貧乏人の代表のような感じ
時代は1928年の張作霖爆殺事件から1939年のノモンハン事件までを壮大なスケールで描く
とにかくロケ地のスケール大きい。3部ではソ連の土地を借りて撮影しているそうです。
中国人役も朝鮮人役も日本人が演じています。
日活制作なので、ところどころに暴力的なラブシーンが出てきます。セクハラ発言もなんのその。
視点がすでに「反日」なので、伍代家は「資本家」でしょ。そこで働く人たちは「資本家の手先」なんですよ。そんな資本家と関東軍がグルになって中国に戦争をしかけて、罪のない中国人を差別し、レイプし、略奪した・・という風に描かれています。
また朝鮮人は「世界で最も可哀想な民族」として描かれ、「植民地政策に抵抗し、日本に復讐するなら日本人を何人殺しても構わない」という思想。
伍代家の次男である俊介は、思い悩みながらもとりあえず大学まで行くし、伍代家の息子だからという事で徴兵免除され、アカ狩りで捕まってもすぐに釈放される。
そういう自分に嫌気がさして満州で庶民の生活をしようとするのですが、結果的に叔父のいう事を聞いて伍代の社員にならざるを得なかったわけです。
じゃあ、友人の標は何を目指していたのかというと、「世の中の不平等をなくしたい」の一言です。
世の中に金持ちと貧乏人がいるのが許せない。金持ちは貧乏人から搾取してのうのうと特権階級として暮らしている。その最たるものが天皇だ。
貧乏人はいつまでたっても貧乏で、徴兵されるし差別される。
向かう所は「革命」なんです。
中国人が目指しているのも「日本支配からの脱却!革命」だし、朝鮮人が向かう所も「革命」
セリフの中に「植民地支配」が出て来るし、軍人は全員が悪で謀略と策略と略奪しかしない。
あからさまに中国人を差別してすぐに殺す・・・
後に作られるNHKや民放で描かれる軍人のイメージはそこから出て来たのかもしれませんね。
恐らく、今の70代や80代はこういう考え方で日本をとらえて来たんだな・・・と思いました。
戦後生まれの俳優はわかるけど、戦前を知る俳優さん達は違和感を抱いた事はないのかなと思いました。ここまで関東軍を悪辣に描けば、戦前は兵隊でしたって人は表を歩けなくなります。
酷い事したんでしょ?中国で。って絶対に言われるものね。
60年代安保も70年代安保も目指す所は「革命」です。
という事は「資本家の手先」と発言した山本太郎も目指す所は「革命」なんだろうと思います。
民主主義を打倒して平等な社会主義を目指す革命。
日本という悪の枢軸国をなくして社会主義の理想を体現する国への革命。
これが今、世の中で巻き起こっている「安倍元総理暗殺」「国葬反対」「統一教会で自民党を潰す」動きなんです。
そこまでやってるんだよ、あなた達は・・・・それわかってる?と言いたい。
声高に「統一教会」ばかり叫ぶ宮根さんや恵さん、大下さん、あなた達は社会主義者なんですか?革命を起こしたいの?
真っ当な俳優ならこんな映画にはキャスティングされない。
あれだけ大物が揃っていても、鶴田浩二や東野英治郎などは出てこない。
劇団民芸とか、あそこらへんのいかにもな劇団から人を呼んでるんだなあと思いました。
今更、亡くなった人達に「この映画に出演して得るものがあったか」とは聞けないけど、それでも残念だなと思いました。
私達が中学生になったころ、毎日一緒に学校に通っていた友人が「社会主義の方がいい」と言い出した事があります。
私は馬鹿なので「なんで~~」って聞いたら「だって貧富の差がなくなるんだよ」って言ったんです。「そっか~~それはいいね」って答えた気がします。
仙台の田舎でも、新興住宅地ですから先祖代々そこに住んでいるわけではなく核家族の集まり。
当然家の大きさや土地の広さで貧富の差は歴然としますね。
一瞬だけ「社会主義国っていいかも」と思ったけど、でもじゃあ、何で中国で文化大革命が起きて、みんな弾圧されているのか、ソ連は怖いし、東欧諸国も全体的に貧しい。
ぼんやりとそんな事を考えました。
友人は20代になって、ロシアに変わる寸前のソ連に旅行したみたいです。一人で。
高校の時、先生たちが言いました。
「私立の学校は学費が高い。公立に比べて何倍も。それは差別だ。みんなで署名運動をしよう」と。その時は正直、お金のかかる私立に行ってる自分に罪悪感があったのですぐに署名しました。その時のポスターには「私学差別を許さない」ってありました。
関東の人は「なんじゃそれ」と思うかもしれないけど、1980年代くらいまでの仙台は「学校差別」が激しかったんです。
つまり、ナンバースクールに入るか、公立に入らないと人間扱いされないんです。
私立=公立落ちた負け組という事で、不良も多いだろうと勝手に思われて(多かったけど)
マクドナルドでハンバーガー食べてただけで補導されそうになりました。
隣にいた公立の生徒達には声をかけないんですよ。生徒指導の先生達。
あの時は屈辱だったなあ。
倫理の先生は「天皇は名字を名乗らない特権を持っている!みんな!「橋のない川」を読め!」と叫び、素直な私は全巻読みましたよ。
1年の担任の先生は私に目をかけてくれて授業中に「ふぶき、この本を読みなさい」とメモをくれたんですが、それが
「されどわれらが日々」
「サンダカン8番娼館」
「イエスの生涯」
で、素直な私は読みました。「イエスの生涯」はわかりやすかったので「キリストの誕生」も読みました。後の二つは面白いというより・・・よくわかんない。
20代で仙台を離れた私だから、今は懐かしみ時々帰りたいと思う。
でもあのまま仙台にいたらきっと嫌いになってたと思う。
在日が多い、ゆえにキリスト教の教会が多い、左翼思想が強い。
あんな環境にいて左翼思想に染まらなかったのは、戦前生まれの親が戦前の日本の姿をつぶさに見て教えてくれたからだと思います。
台湾にいた両親は、中国大陸で起こっていた事も蒋介石の事もよく知っていて、あれこれ政治談議をしているのを見てました。少なくともテレビで語られるような世界ではなかったですよ。
それは台湾だったからなんでしょうけど。
だからこそ、台湾の自由は大切だと思っています。