宝塚を食べる (荷宮和子著 青弓社)
タイトルが「食べる」になっているのは著者が「食べテツの女」の
取材をしているのでーー 「○○を食べる」というフレーズがお好きな
ようですね
さて目次の見出しをあげてみます。
さよなら水夏希
今や「チカさん」が愛称の水君を懐かしい「水しぇん」と呼んでくれて
嬉しかったなあ。「とある時代の終焉」と題し、水は劇団がプッシュして
本当に人気が出た最後のスターだった・・らしいです。
そして「誠実で愚直な男」が似合う男役とも・・・そう思います 激しく
さよなら愛原実花
普通の「娘役」のようにけなげさやはかなさが欠如した・・うーん。そう。
だってまだ恋愛も知らないおぼこい娘だったんだものね。
初舞台が「スサノオ」でキムシンが考えた口上「愛する祖国、、日本が
誇る宝塚歌劇団の一員として・・・」を彼女に言わせたのは酷だったのではと。
へえ・・そんな事が・・よくお父さん、反対しなかったね。
おめでとう音月桂
「邪気のある両性具有」だそうで、まさにその通り。あの妖しげな笑みは
音月特有でしょう。でも、最近は舞台より楽しい事でもあるのか?とも。
まあ、スイーツが好きなハニーちゃんだし、「フレンドパーク」でダブル
ベッドを注文しちゃう人だからなあ
えりたんどうすりゃ委員会
微妙な立ち位置の・・・?壮一帆君。「華はないけど存在感はある」
「ヘタレだけど実直」まさに言いえて妙だなあ 荷宮さんがおっしゃる
ようにその集大成の約が「劉邦」だったんだもんね。でも昔に比べると
随分挑戦的になってるからトップいけるよーー
「スカーレットピンパーネル」評
ラストプレイ評
月組版「エリザベート」評
映画版「ソロモンの指輪」アンコール上演
ここは読んでて「ふんふん」と思える事ばかりですね。特に正塚
先生に対する辛口評は読み応えあるかも。
宝塚バカ一代の日々
その後の宝塚バカ一代
ここから先はぜーーーーんぶ ぜーーーんぶ
「彩吹真央」一色です いやーー驚きました。ファン的には
嬉しいんだけど、観劇歴40年でほぼ私と同世代、「宝塚」に小さい頃
から身近に接していて、その昔の大スターさん達をリアルタイムで
見てたこの方にとって「彩吹真央」退団が、1冊の本の半分を占める
程、何度も観劇しつついつも涙にくれていた程の事であったとは
それだけ今回の退団が「異例」であり、ファンの心を踏みにじったもの
であったという事です。
荷宮さんの彩吹真央ファン歴は「マリポーサの花」のエスコバルから。
それまでは地味で実力派であるけどトップにはなれないキャラだと
思っていたようです
私は、彩吹に開眼したのは「マラケシュ・紅の墓標」からで・・・
彼女の持つ「娘役を輝かせる包容力」はトップの資質として重要と
思っていたんですが。
で、「マリポサ」から彩吹ファンになったのは往年のヅカファンだけで
なく、2階席の一番後ろで立ち見をしているような女子高生だったと。
つまり、「彩吹真央は研15にして女子高生のアイドル的存在として
ブレイクした」
なのに、そんな彼女を切り捨てた歌劇団は、例えばジャニーズで
いえば「10年間ブレイクしなかった嵐を切捨て、今後はヘイセイジャンプ
をプッシュします」とやったようなものだ・・・と
成る程なあ・・・もし歌劇団に嵐がいたら切り捨てられていたのかーー
SMAPだってブレイクするのに10年かかっていたし
歌劇団は研15にして女子高生のアイドルとしてブレイクした彩吹に
気づかなかったのか・・いや、気づいていても今更「トップにしよう」とは
思わなかった。なぜなら「二階席立ち見に列をなすような女子高生を
歌劇団は客として認めていないから」だというのです。
観劇歴40年の方のこの言葉は本当に重いし、シビアだし、これほど
長く宝塚を見て愛して来た人にそこまで言わせるという事がどういう
事なのか歌劇団は十分に考えるべきです
(プチ荷宮は一人二人じゃないと思うのね。今まで親子2代3代と
続いてきたファンの連鎖をばっさり断ち切るようなものですから)
「女子高生に人気」の彩吹真央って・・・そうだったの?知らなかったーー
「素敵よね」「何が」「エスコバルよっ」ってな具合?
確かに我が家の姫=音月・鳳稀ファンもまた、エスコバル以来彩吹が
大好きになってアクア5での活躍もあって「かっこいい」を連発してました。
また彼女のクラスメイトの音月ファンは、彩吹退団を聞いてすっかり
ヅカ熱が冷めてしまい「音月を応援する気になれなくなった」と言ったそう。
女子高生と侮るべからず
若くて素直で実直な女子高生にとって、「彩吹真央退団」と「96期問題」
はヅカ熱を冷めさせるに十分な理由なんですよ
将来、宝塚を支えるファン層の女子高生を失望させ、夢から覚めさせて
しまったら観客が激減するに決まってるじゃない・・・・
「女子高生=若くてアイドル顔したジェンヌが好き」とは限らないのよ。
まあ、確かに・・・退団してからの方が彩吹人気は高まった気がします。
あのシアタークリエのチケット完売(クリエでは予想外の喜び)
などを見ても先入観がない観劇歴浅い方々が素直に「彩吹真央」という
俳優&ボーカリストに夢中になってもおかしくないのかもね
正直、ガラガラ宙組のまんまえのクリエに行列をなす彩吹ファンを見た
時はちょっと嬉しかったしね。
荷宮さんの非常に細かい「萌え」を読みつつもう一度雪組のビデオを
見直すってのもあるかも。
それにしても・・・・泣いたのかあ・・・荷宮さんが。
私も思い切り「悲しい」「悔しい」と泣き喚けたら楽だったのに
一人暮らしでもなく家族との日々を前に、一人のジェンヌの退団で
延々と泣き暮らすわけには行かなかったの・・・・
マリコさん退団の時とかーーねったん退団の時とかーーはかなり
長い間泣き暮らしたし、落ち込んだけど、あの時とは状況が違う
それに今度泣いたら二度と笑顔になれそうになかったから。
必死に自分を鼓舞して耐えたのよーーでもその方が辛いです
ある意味、本当に宝塚にさめているのかしれないし。
本の後半はほとんど恨み節のように歌劇団への批判が綴られて
いるのですが、何度も書きますけど40年の観劇歴を持ち、小さい頃
から家族のように宝塚に親しんできた人をここまで失望させるという
事は歌劇団はそれなりの代償を払わないといけないという事。
彩吹退団時、現場のスタッフさんやスカステ関係者、演出家などは
本当に思いやりのこもった目で彼女を見て、思い切り優しく送り出して
くれた・・・それがファンとしての救いです。
でも、一番何もわかっていないのがよりにもよって創業者である
小林家というところが何とも悲しい
「婿養子」を否定するつもりはないんだけど、一三氏のDNAを受けて
いない「小林」を名乗る老舗の跡取りが続くのはよくないのかもね
という事でぜひご一読を・・・・