2021年の宝塚歌劇は、「死からの復活」といった見出しがふさわしいような気がします。
全ての舞台芸術がいったん、潰されつつ、復活を遂げたわけですね。
しかし、大劇場と東京では温度差があるというか、東京の場合、キャトルレーヴへの入店が制限されたり、飲食が未だに出来なかったり「日常」とはとてもいえない状態です。
とにかく静かにしていないといけませんし、舞台を見たらさっさと出なさいって言われているようだし、異空間を楽しむ余裕がまだ東京にはありません。
そうは言っても、舞台を見ることが出来るだけでも幸せと思わないといけませんね。
今年は延期されていた「アナスタシア」から始まり、望海風斗・真彩希帆・珠城りょう・美園さくらの退団がありました。
どちらも延びに延びていた事ですし、最後のお見送りも出来ず寂しいなと思う事もありましたがこういう「退団」が普通になっていくのかもしれませんね。
スタッフも色々工夫に工夫を重ねてオーケストラを再開し、銀橋をうまく使い・・客席降りが出来なくなったので、「観客」との距離をどういう風に埋めたらいいか、それは今後の課題です。
商業的に客が入る舞台を作りたいという劇団の意志はわかりますが、少々やりすぎなんじゃないか?と思う事もままあります。
どんな時にも品格を忘れず・・・といっても1997年に「銀ちゃんの恋」が上演されてからはそんな定義もどこへ行ったやらという感じですが。
さて、「ふぶきの宝塚大賞」は私が見た範囲内で独断と偏見で賞を作ったので、皆さんのご意見とは違うという点をご了承ください。
また、作品も東京を基準としてますので、「アナスタシア」から始まって「柳生忍法帖」で終わります。
芝居部門 最優秀作品賞
月組 桜嵐記 (上田久美子作)
ぶっちぎりの最優秀作品賞でしょう。相変わらず大階段の使い方が最高だし。
何より今回は、出陣を最後に持って来たところが素晴らしい演出でした。あれで泣かない人はいない。沢山の人にDVDなりスカステなりで見て欲しい作品です。日本人でよかった~~って感じですかね。
ショー部門 最優秀作品賞
星組 VERDAD (藤井大介作)
ショーの前半は星組の歴史にかかるもので、後半はJPOPあり、ミュージカルありで、礼真琴のよさを最大限に引っ張り出した作品だと思います。
作った人の宝塚愛、星組愛が伝わってくるような作品でした。
最優秀男役賞
柚香光
何が上手だ、とかいう問題ではない。その存在があまりに光輝いていて観客を虜にするんです。花組からこんな超伝統的白馬の王子スタイル及び悪魔にもなれるスターが出ようとはっ!
観客が娘役になりきって見ることの出来る素晴らしい男役です。
最優秀娘役賞
星風まどか
宙組「アナスタシア」におけるアナスタシアはタイトルロールであり、星風に最もふさわしい役柄でした。歌唱力も素晴らしく、星風のいい所が目いっぱい引き出されていたと思います。花組でさらに大人になっていくか期待しています。
潤花
「シャーロックホームズ」において宙組トップ娘役デビューした潤花ですが、最初から女王の風格大いにあり。ぱっとしない宙組娘役の中でひと際輝いていたし、演技も歌もダンスも安定。伝統的に美しい娘役です。
最優秀助演男役賞
暁千星
「桜嵐記」の後村上天皇ははんなりとして美しく芝居のラストをしめてくれました。「ダル・レークの恋」のペペルはその昔、稔幸がやった時よりさらに技術力がアップして場を席巻していました。どんなに隠しても隠し切れない「華」が早く咲き乱れることを願います。
綾鳳華
「シティハンター」の槙村、「FIRE FEVER」その他諸々。
地味に見えていた彼女がしっかりと演技力を身に付けて場面を締めるような役が似合う男役になりました。横顔の美しさ。二枚目で生真面目な役が似合う人ですよね。雪組に配属になったばかりの時は頼りないと思ったけど、こんなに大きくなりました。後は「自信」ですね。
極美慎
「ロミオ&ジュリエット」のマーキューシオの演技に対して。
生まれながらの「華」を持ち、そして育ちのよさをものすごく感じつつも、さらにこの学年で包容力まで身に着けているというのには驚き。
マーキューシオって思えばロミオの保護者みたいな役回りだったなと改めて感じさせられました。
「柳生忍法帖」においても、ひと際美しく切れるナイフのような雰囲気を漂わせていました。もう一つブレイクが欲しい。
最優秀助演娘役賞
有沙瞳
「ロミオ&ジュリエット」の乳母の他、どんな役をふられても必ずやり遂げるという不屈の精神を持ち、さらに上級生になって貫禄と華を身に着けて安定してきました。
今後、重鎮になっていくのを望みます。
彩みちる
最優秀歌唱賞
望海風斗
真彩希帆
二人とも[fff]における歌唱は素晴らしかったです。
外の世界でも大活躍の様子で嬉しいです。
最優秀ダンサー賞
天華えま
今までこんなに踊れる人と思わなかったです。でも「ロミオ&ジュリエット」や「モア・ダンディズム」での華麗なステップは見事でした。
和希そら
何でも出来る人なので・・・でもとりわけダンスにおいてはぴか一ですよね。
新人賞
彩海せら
雪組「シティハンター」豊役に愛して
瑠璃花夏
星組「柳生忍法帖」の天丸に対して
個人的に贈りたいで賞
朝水りょう
ここ数年の朝水の飛躍は素晴らしいものがあります。
96期なので顔は知ってました。すごく男前な顔だと思っていたけど、なかなか上に上がらないなと。ここに来て爆発中です。「柳生忍法帖」における十兵衛パパのかっこいい事。
遅すぎた花ではありますが、長く咲き続けて欲しいです。
星組でさよならになった愛月ひかる。
お疲れ様でした。でもあなたなら外でがんがん活躍しそうですよね。
宙組育ち。宙組で育つと路線から外れる・・・そういうの、信じたくなかったけど愛月の専科入りと組替えにぎょっとなったし、宙に愛月を上回るキャラがいない事もあって、何で今更全く色の違う組に配属させるのかと腹が立ちました。
星に来た時にはすでに出来上がって・・出来上がり過ぎててトップを脅かすというより、トップをしのいでしまうオーラあり。二番手として存在するにはあまりにも大きすぎたなと思っています。
それでも下級生に慕われよい模範になってくれました。
寂しいけど今後のお幸せを祈ります
東京宝塚劇場の2回売店が1月にリニューアルオープンするそうで、やっとか~~と。
どんな風になっているか、ちょっと楽しみです。
敷地が狭く縦長でなかなか使いづらい部分はあると思うんですけどね。
エスカレーターのベルトがピンクになった事だし、明るく楽しい場所になるといいですね。
劇場横のキャトルは閉まってしまうそうですが、どこかで再オープンしてくれないと、シャンテの下だけではさばききれないのではないでしょうか。
2022年は宝塚にとっては本当の意味で復活の年になるといいですね。