日本の某テレビ局報道番組のレギュラーコメンテーターの学歴詐称が週刊誌にすっぱ抜かれ、降板した。本職は経営コンサルタントで、自身の会社はアメリカで設立され世界7か所でオペレーションを展開しているとホームページには書かれている。その最後の方に学歴が載っており、テンプル大学経営学士、ハーバードMBAと記載されている。
バラエティ番組と違い、ニュースや報道番組は硬派の番組だから、かなりの”知識と教養”がなければ務まらない。学歴は必須ではないだろうが、”素性の分からぬ人物”ではいかにもまずい。素性に嘘があったとなれば問題で、当然非難される。
大恥をかいたのは、こんな人物を起用した某テレビ局だろう。誰かの紹介か、それとも知名度の高い経営コンサルタント(実績があるかどうかは別にして)だからと、起用したのだろうか。身辺調査もせずに、ただホームページの記載を信じて起用したのだとしたら、相当に間の抜けた話だ。一局が起用すれば”安心”と、その後芋ずる式に複数局での起用となり、ブレークしたらしいが、どの局も身辺調査をしなかったのだから、あきれるばかりだ。その点、すっぱ抜いた週刊誌は立派なものだ。恐らく、ニュース報道番組に出るくらいの人物だから素性を把握しておこう、くらいの気持ちで調査に入り学歴詐称が見つかった。それにしても、なんでこんなことが起こるのか、と疑問が湧くが、よくよく考えてみれば、日本では容易に起り得る事だと言えよう。
アメリカでは、この種の事件は起こり難い。その理由はResume社会だからである。アメリカの雇用現場では、まず最初の関門がResumeのチェックで始まる。たとえコネで内定しても、必ずResumeや関連証明書の提出を求められる。Resumeの書き手は、自分を最大限に上手に表現しようと、嘘にはならないギリギリのところまで表現する。一方、採用者側は騙されまいとResumeを徹底的に読み込み、バックグランド・チェック等で嘘の有無を調べるので、嘘を書いても結局バレる。絶えずチェックすることがシステマティック動いているので、どこかで網にかかる。この点日本はResume社会ではないから、簡単にザルから漏れてしまう。
一回ぽっきりのゲスト出演ならいざ知らず、番組のレギュラー・コメンテーターと言うジョブ・ポジションへの採用だから当然人物のチェックがあってしかるべきだが、Resume社会ではないことが日本の盲点になっている。件のコメンテーターの講演会や著書による”著名人”ブランドと、”アメリカの大学卒業、MBA取得”という振れ込みを鵜吞みにした、ブランドに騙されやすい日本の社会が見える。