よし坊のあっちこっち

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映画三昧 -リチャード・ジュエル

2020年01月08日 | 映画
昨年末にクリント・イーストウッド監督の最新作Richard Jewellを観てきた。話題作であると同時に、アトランタに住む者にとっては忘れられない事件でもある。事件の印象が強く残っているのは、我々がアメリカに来た翌年のアトランタオリンピックの最中の事件だったからだ。

冤罪とは日常の直ぐ裏側に張り付いている。この映画を観て改めて冤罪とはいとも簡単に形作られていくのだな、と思う。多くの人達を救ったヒーローが一遍して容疑者となり拘束、結局証拠不十分で釈放されるが、後年真犯人が捕まるまでは容疑者疑惑のまま、針の筵であったろう。

そもそもの大失態は、FBIの初動捜査で浮かんだリチャード・ジュエルの名前がアトランタ最大の新聞社の女性記者にリークされ、特種として報じられたことにある。アトランタのひとりの捜査員が女性記者にリークしたのだ。映画では女性記者が”女の武器”を使って聴き出したことになっており、封切直前に新聞社が女性記者擁護の意味でイーストウッド他制作会社を告訴する旨ニュースになった。実際の女性が女の武器を使ったかどうかは分からぬが、相当やり手であったことは確かなようだから五分五分と言ったところだ。

その後、他の爆破事件を追っていたFBIはエリック・ルドルフをアトランタ爆破事件の犯人と特定し、2003年、ノースカロライナでたまたま職質を掛けた人物が本人と分かり、あっけなく逮捕された。FBIは正式にジュエルに対し名誉回復の為の且座を行った。当時新聞社からの一報で容疑者扱いをした大手ニュースメディアはジュエルの訴訟に対し示談したが、新聞社だけはニュース報道はFBIの情報に基づくもので何ら悪いことはしていないと、示談には応じなかった。

映画ではジュエルの母親役のキャシー・ベイツを久しぶりに観た。何と言っても昔観たミザリー。あの演技は凄かった。ほのぼの系のFried Green Tomatoesも良かった。今回の母親役もノミネートものの演技ではなかろうか。キャシー・ベイツ健在なり。