
アナゴ(穴子)
【語源】

岩の割れ目などの穴に身を潜めているところから付いたとされますが
、実際は砂の中に埋っていることが多いようです。

また、側線に沿って白い斑点が秤(はかり)の目盛りに似ている事
から、ハカリ目とも呼ばれます。

全長1㍍程に成長しますが、20㌢前後(50~60㌘)のものは
「メソ」、「メソッコ」と呼ばれ、特に江戸っ子には好まれます。

食べ方は、寿司や天ぷらに使われます。




【種類】

アナゴの種類は、日本近海に20種類以上生息していると言われて
いますが、食用とされているのは、「マアナゴ」、「クロアナゴ」、
「ギンアナゴ」、「ハナアナゴ」の4種類。

普通アナゴといえば、このマアナゴのことを指し、味も、一番良いと
されています。




【旬】

旬は文句なく夏です。「梅雨穴子」「夏穴子」と呼ばれるほど。

しかし、実は夏は、穴子の脂ののらない時季なのです。

脂ののる時季は冬です。アナゴは脂の、のらない時季が美味いとされ
る、珍しい魚なのです。

アナゴはウナギ目アナゴ科の魚。ウナギの仲間です。

アナゴの美味しさを評する時、「ウナギのように脂っこくなく、
アッサリした甘みが特徴。むしろ太っているものより細く締まって
いる方が美味い」と言われます。

脂のコッテリしたのが好みの方は、鰻を食べなさいって事ですかね~




【うんちく】

成魚になると何でも食べるので「悪食の魚」のアダナがある。

肉食性で胃に大量の餌を収納出来るよう、盲嚢部が発達しており、
食いだめが出来る様です。腸は短く、夜間に小魚・えび・かに類を
食べ、これがアナゴのうま味の素になっています。


また、自分の口より大きな肉片にも平気で食らいつき、驚くほどの
スピ-ドで体を回転させて食いちぎる獰猛さ。

腹の膨らんでいるものは食べ過ぎているもので、漁獲後の腐敗が早く
、身にも味がないとされ、腹がスマ-トなものの方が味が良いと言わ
れる珍しい魚です。




【ノレソレ】

アナゴの生態はウナギと似ており、、まだまだ謎に満ちています。


産卵期は春から夏にかけてで、産卵場所は琉球列島方面と考えられて
いますが、確かなことは解っていません。

アナゴの幼生もウナギと同じく、レプトセファルスと呼ばれる10~12
㌢のもの。透明な柳の葉の形をしています。

この幼生、冬から春にかけて黒潮にのって日本の沿岸にやってきま
す。




マアナゴとクロアナゴの幼生レプトセファルスは「ノレソレ」と呼ば
れ、生のままポン酢につけて食べます。 主産地は瀬戸内。

このノレソレのポン酢和えは、岡山県の郷土料理で「ベラタ」と
呼ばれています。


【海の三すくみ】

古代のヨーロッパではアナゴ・タコ・大エビを「海の三すくみ」と
呼んでいます。

なぜか?と言うと、アナゴはタコの足に締め上げられてもスルリと
抜け、逆にタコを食べてしまいます。

大エビの体は殻と棘でザラザラしているから、アナゴの体が滑らず
大エビに負けてしまいます。ところが大エビはタコにめっぽう弱い
ことから、こう呼ばれているとか・・・・




【ブランド・産地】

ブランド化まではされていないようですが、「江戸前の穴子」と呼ば
れる東京湾の穴子は、ブランドに近いのでしょうか?

また、兵庫県、明石の穴子も最高とされています。

美味しい明石のタコが、穴子を育てるのかもしれません。

漁獲量では、愛知、愛媛、兵庫、山口の順。

養殖物も、多く流通しているようです。




【産地ならではの漁師料理】

何と言っても寿司ですよね。特に関東は・・・・!

関西地方、兵庫の明石では白焼きも人気です。明石の穴子を串うちし
、白焼きに・・・酒がすすみます。



ご飯の上にのせ、甘ダレをかけた穴子丼も最高に美味しいです。

また、鮮度が格別なものは刺身でもいけます。独特の歯ごたえと風味が
答えられませんよ~




変わった料理では、宮城県牡鹿町の郷土料理、穴子の三平汁。

夏に獲ったアナゴを、生のまま開き、塩漬けにします。

そして、冬、これを野菜と一緒に煮る・・・・塩味のシンプルな
三平汁です。




【栄養と効果・健康】

アナゴはビタミンAを非常に多く含みます。100㌘で1日の必要摂取量
を満たすほどです。

ビタミンAは眼の働きを助け、皮膚や粘膜を正常に保つ働きがあり
ます。

免疫機能も強化し、病気に対する抵抗力を高めてくれます。

また、若さを保ったり、細胞の癌化を防ぐ、ビタミンEも豊富。

ミネラルではカルシウム、マンガンが豊富で強い骨づくりには
ピッタリの食材です。

動脈硬化を防ぐ効果があるEPAやDHAという脂質成分も多量に
含み・・・まさに健康食品です。
















