子供の頃は雪が降ることが楽しみの一つであった。夜半の雨が雪に変わり、翌朝、あたりが真っ白くなった光景に犬のような浮き立った気持ちになったものだ。思うに普段の慣れ飽きた遊びが一新する楽しみがあったのだろう。
東京では先週に引き続き、終末の雪が予報されている。年を取ると雪はありがたくない。寒いし、道路は傷む。雪の後の道路は、タイヤチェーンが削ったアスファルトで汚れた雪が見苦しい。幸い今回の雪は翌日気温が上がったものだから、溶けるのも早く雪の迷惑は最小限ですんだ。
雪は田舎の風景に相応しいのかもしれない。【彬】
古、こんな歌がある。
雪ふれば木ごとに花ぞ咲きにける
いずれを梅とわきてをらまし 紀友則
*「わきて」は現代語では「分けて」である。