9月に入り、今年も暑い夏をなんとか乗り越えてきたな、と振り返る。だが、夏は人を成長させ前に押してくれる季節じゃないかな、とも思う。
この夏の高校野球。選手たちのプレーには見ている方も暑さを吹き飛ばすものがある。彼らの顔からは暑さを感じていないように見える。暑さをこらえいるというより、おそらく暑さを感じないほどプレーに打ち込んでいるのではないか。そして彼らは成長する。青春はいいなあ。
青春時代をはるかに過ぎた僕だが、いまでもあのような夏の暑さを吹き飛ばすような経験をしたいものだ。充分に大人の我々にもできないものか。憧れである。
ところで自分の趣味のランニングについて。
僕は若い頃からランニングを楽しみとして続けてきている。夏場の練習で走るのは、長距離は無理で、短距離走の繰り返しをやる。7~9月は、普段住んでいる茨城県常陸太田市にある公園の一周250メートルほどの楕円形のコースを使う。日中でも、50~70%が木陰で、都合がいい。一周を全力の80%のダッシュ、そしてジョグで一周。これをセットとして10セットが練習メニュウ。
長距離走と短距離走は違う。前者はマイペースでゆっくり楽しみながら走ることができる。一方後者は腕を振り、腿を上げ、エネルギッシュに走る。脚にもかなり負荷がかかる。呼吸も荒くなる。その身体に感じるシビレがなんともいえない快感なのである。もちろん、今は以前のように早く走れない。それでも肉体の躍動感は青春時代の感覚を呼び戻してくれる。僕は中学、高校時代は、3流だが陸上部でトラック短中距離走をやっていた。その感覚を脳が記憶している。
高校球児を引き合いに出したのはおこがましいが、僕にとっては夏の短距離走が、自分を前に押しだしてくれるものだと思っている。 9月3日 岩下賢治