8月14日(日)の午後のこと。
自宅から小金井公園に向かう住宅街の或お宅の玄関先に、二匹の蝶が飛んでいた。飛ぶ様子から、雄雌のようだ。遠くからでも目を引く今まで見たこともない美しい蝶だ。止まったところで観察する。開いた左右の翅の先の間が7~8cmと大きい。アゲハチョウのような優雅な姿ではなく、モンシロチョウのような普通の形。全体の色は薄茶色だが美しいのは翅の中ほどから先が鮮やかな青色。その青の部分をくっきりと黒の輪郭が囲む。僕が調べた限り、国内産蝶図鑑にはない。
外国産か?
外国産の昆虫といえば、大型のカブトムシ、クワガタが人気だが、この蝶は、わざわざ外国から持ってくるほどの派手なキレイさはない。航空機か船の荷に紛れ込んできたのか?それも考えにくい。
翻ると、自分の子供の頃の夏は、美しい蝶との出会いの季節だった。カラスアゲハ、ジャコウアゲハ、など背筋がぞくぞくする魅力があった。まだ自然豊かだった故郷の日野市の林のなか。カブトムシを探しに入った林のなかで、初めて、オオムラサキに出会った。自然の中で、オオムラサキを見たのは、後にも先にもこの時だけだ。
先日、今住む小金井市の住宅街で、珍しい蝶に出会い、子供の時のような興奮を覚えた。それにしても、あの蝶は何なのか?真夏の日の幻想ではあるまいか。記憶が薄れぬうちに、こうして記録に残しておこう。
2016年8月18日 岩下賢治