歴史民俗博物館前のアオギリ。実がたわわに垂れ下がり、緑色の種を付けている。
先日、佐倉市の歴史民俗博物館、通称「歴博」に行ってきた。平日だったが、子供達が夏休みということもあってか、地味な博物館にもかかわらず、観覧する人が多った。
歴史や民俗ににまつわる博物館を作ろうとしたのは、東大教授で歴史学者の井上光貞らの意向で、戦前の神国日本のイデオロギーに満ちた歴史観に対し、事実を基礎にした歴史を対置する意図が如実に示されている。広い館内には、古代から現代にわたる1から6の展示室があり、細かく見ていくと1日がたちまちすぎてしまいそうに、盛りだくさんである。とはいえ、私には中高校の日本史の教科書を見せられているようで、なにか物足らなかった。例えば、江戸期なら各地の干拓事業がどのように行われたのか、参勤交代の際の宿場がどのような構成をしていたのか、築城の技術はどうなのかなど、知りたいこと、見たいことが山ほどある。そうした展示は、このような一般的な博物館にはそぐわないのであろう。築城の技術を扱う博物館とか、それぞれ専門の分野になるのかもしれない。
特別展示室があって、ここではテーマに添った展示が行われている。佐原真が館長であった頃には、考古学関係の展示がよくされていた記憶がある。現在はシーボルト展となっている。
この博物館は、JR、京成いずれの駅からもバスで10分ほど。佐倉市の台地に位置しており、佐倉惣五郎で有名な佐倉城、その後の関東軍・佐倉分隊の訓練所だったところで、深い空堀に囲まれた広大な敷地をめぐらせている。佐倉ということからか、桜が植えられ、お花見には格好の場所かもしれない。博物館もさることながら、この敷地を巡るのもお勧めである。【彬】