ぼくらの日記絵・絵心伝心 

日々の出来事や心境を絵日記風に伝えるジャーナリズム。下手な絵を媒介に、落ち着いて、考え、語ることが目的です。

この夏の読書

2016年08月14日 | 日記

 僕は、子供の頃から夏には(夏休み)には、読書をする習慣があり今年の夏は、高校生のとき親しんだ、ドイツの小説家ヘルマン・ヘッセの作品を何冊か読み直しています。

 代表作の一つ「車輪の下」について。1905年発表の、自伝的小説。ある小さな田舎町の大変優れた才能を持つ少年が、神学校に進み聖職者を目指す。だが、周囲の期待に応えられず挫折し学校を止め、故郷に戻り、機械工職人の道を歩む。その生活に喜びをようやく見出せるようになったが、ある日友人と酒を飲み泥酔し、事故で川にはまり命を失う。

 改めて読み直すと、非常に心に重いものを感じる。現在の日本にもそのまま置き換えられる小説ではないか。

 さて、小説の最初の部分で、この少年の生まれ育った田舎町の様子を、「ニーチェのツァラストゥラの説くところを知らなくとも、十分教養ある生活ができる町・・・・」という文脈があります。当時のドイツではニーチェがかなり話題となっていたのだろう。僕自身、ニーチェは学生時代から気になる哲学者で、随分前に、「ツァラストゥラはかく語りき」、を読んでいました。また、原書も保管していて、部分的に読んでいました。Also sprach Zarathutra です。

  この夏また関心が出てきて、原書でまた頭から読み始めました。このドイツ語は簡潔だが硬く重い。手元にある翻訳家の日本語は柔らかく美しい。今、哲学書を読むというよりは、異国の寓話を異国の言葉で読み、ドイツ文化に親しみたい。なにせ、夏の楽しい読書なのだから。 

 絵は、ツァラストゥラが朝日に向かい、人間世界に下る決意を伝える場面。

      2016年8月14日 岩下賢治

 

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