ムクゲが咲き始めました。
東京都議会選挙は小池知事が結成した都民ファーストが圧勝し、既成政党が蒼ざめる結果となった。気になるのは投票率。最終的には51.28パーセントととなり、民主主義の前提となる過半数を辛うじて超えることになった。やれやれといったところか。
とはいえ、およそ過半の有権者が投票を放棄しているこの実情をどう考えるか、と言う問題は残る。おそらく自分の意思を委託できる政党も候補者もいないからだと言う人が多いのではないかと思う。あるいは投票しても結果は同じ、と言う人もいよう。さらには、民主主義とはいえ、政治に全く無縁な人もいるだろう。大衆社会での普通選挙というのはかえって有権者の政治的アパシーを増長させるものである。
しかし、待て待て。変に評論家ぶって言うなかれ。
私たちの政治的関心はむしろ希薄な方が健全なのである。香港の雨傘運動とか、英米仏の政治的な関心の高まりには、独裁やら移民やら、社会の矛盾が煮詰まっている状況が背景にある。日本だと、60年安保、あるいは60年代後半の学生運動(ベトナム戦争を背景とする世界的な反戦運動)があった。今日のように経済が安定し、生活をそこそこ営むことができる場合は、政治に振り回されないことの方が重要である。政治は経済と違って、義を掲げ、正邪を問おうとする。そんなものに関わったらどんなことになるか、しれたものではない。メディアで散々取沙汰され、特定の政治家を叩きのめしている現況をみれば明らかだ。
私たちが政治に積極的に関わるとする時には、生活を破壊されるかもしれないという危機が迫っている場合だけである。都民ファーストに出馬した若い政治家は、このことを少しでも念頭に入れておいてもらいたいものである。
東京都は現在、築地-豊洲移転問題、オリンピック開催問題、各種育児支援問題、満員電車など交通対策、過密都市対策などの諸問題が山積している。これらを過大な費用をかけずに滞りなく処理してもらうのが、表ではしゃいだりしない都民の願いである。都政改革などと正邪を振り回すことなく、そして後代に負担を残さないことが最重要だと思う。【彬】