2018年3月23日付の、「ホーキング博士に導かれる小さな旅」の続きになります。
先日、博士の書、A BRIEF HISTORY OF TIME を読み終わりました。数式を使わず宇宙物理学や、哲学をも通し、宇宙がどのように始まり、宇宙とはどのような存在であるのか、を柔らかく語る。しかしながら、僕には難しく行き詰まること多。それでも、話の大きな流れをたどりながらなんとか読み終わり、また読み返しているのが現状。
博士は、宇宙を論じる二つの理論、①一般相対性理論、と、②量子力学、を統一した理論が、必要と語る。①は壮大な宇宙全体を語るもの。②は、物質の最小単位の粒子を語るもの。
であるが、有力な理論として、string theory(ひも理論)を挙げている。物質の最小単位の粒子は、点、ではなく、「ひも」のような長さをもったものだとする。そうすると①と②はかなり近づく。ただし、この理論は10次元の世界で成り立つ。現実にありえようか?
いずれにしても、博士はいずれ統一理論ができれば、一部の科学者だけでなく、哲学者、一般の人達も、「なぜ、我々、そして、この宇宙が存在するのか?」を議論できる、と結んでいる。この書は1989年発行だが、その後、理論は進化していると考えますが。
さて、本書を通読し興味を持ったのは、宇宙を論ずる上でも、①のマクロ理論、と、②のミクロ理論があるのだということ。以前、学生だったころ勉強していた経済学には、マクロ経済学、と、ミクロ経済学という領域がある。そして、それを統一するかのような、linear programing、という理論もかじったことがある。日本語では線形計画法というが、量子力学の「ひも」と経済学の「線」が似ているところが面白い。
世の中は、すべての事象を、マクロ、と、ミクロ、の見方をするものだ。そしてその統一というのは難しい。人間世界ではよく、総論と各論が登場する。総論賛成、各論反対、のたぐいだ。
この地球は宇宙の一部だ。そして、人間もその一部だ。壮大な宇宙も、人間世界も、同じ真理の上に存在するということか。興味深いことだ。
絵はブラックホール。他の星を吸い寄せることで確認できる。本書の挿絵を参照した。
2018年4月11日 岩下賢治