先日、あるテレビ番組で、栃木県と茨城県を流れる那珂川の紹介があった。その中で、大田原市のアユ漁の一つ、ヤナ漁が取りあげられていた。川に竹制の簀の子(すのこ)のような台を設置し、アユを導き入れる。台に乗り上げた魚は拾うように採れる。僕は、これを見て、ああこれだ、と思った。
仕事の関係で、3年半前まで、13年間、茨城県に住んでいた。だから、ここは第二の故郷と思っている。自然豊かなところで、田んぼ、畑、川、などの景色が故郷のイメージとして記憶に残っている。特に那珂川は、川の流れや、対岸の風景、そして、そこに暮らす人たちが気に入って、四季を通じて訪れていた。そして、自宅から、車で50分ほどのところに、茂木町大瀬のヤナがある。ここは、7~10月の季節にヤナは観光用として設置されているが、那珂川のこの季節の風物詩であり僕の好きな故郷の景色となっている。
ということで、このところ秋めいてきたところ、故郷を思い出すような風景をテレビでみてしまった。
第二の故郷、茨城を離れ3年半。まだ「帰郷」をはたしていない。9月にはいり稲刈りの時期になった。刈り取られた稲の、天日干し、オダ掛け風景も目に浮かんでくる。だが、とくに用事がなければ帰ることもあるまい。・・・「故郷は遠くにありて想うもの。」想うだけで楽しいものだ。
記憶を頼りに、大瀬のヤナを絵にしてみた。川にかかる橋の左側奥の道路は今頃コスモス街道となっているはずだ。
2018年9月11日 岩下賢治