シイノミが熟し始めています。おいしいのはスダジイ。
飛行機に乗る機会はほとんどないのだが、先日、たまたま羽田から博多まで利用する機会があった。
羽田発ANA7時25分発博多行である。乗機については事前に予約しており、当日は切符に交換するだけだから30分前に窓口に行けば十分だろうと自宅を出た。ところが、羽田に着くとANAの窓口には行列ができており、なかなか前に進めない。受付係が搭乗者のデータをコンピュータに必死に打ち込んでいるものの、なにが問題なのか、いくつかある窓口のそれぞれが、手間取っているのである。出発時間が迫ってきているもので、係の女性が私と同じ便に乗る人をピックアップして、窓口に優先して案内してくれた。また別の入場口では、乗り残しがないよう、女性の案内係が大声を張り上げている。搭乗口は実にあわただしい。
羽田のような乗降客の多い飛行場では、毎日こうした光景が繰り広げられているのだろう。しかし、国際間や安全のためとはいえ、飛行機というのはどうしてこうも搭乗手続きが面倒なのか。
空港の当事者・専門家たちが考えたすえの、現在の様相となっているのだろう。しかし、都市交通の一つとなった航空運輸にもかかわらず、私みたいな人からすると、この煩わしさはなんとかならないものなのかと、思う。
素人ながら私は次のようなことを考えた。利用者には出発時間が示されているが、この出発時間というのが曲者だ。出発時間というのは離陸時間、あるいはエプロンから滑走路に向かう時間なのか、あるいは機体のドアが閉まる時間なのか? 利用者によってもいろいろ解釈が違うだろう。また電車のようにホームに車両が到着し、出入り口が幾つかあるのと違って、エプロンから一人一人搭乗する飛行機には相応の時間がかかる。ところが利用者が目的の飛行機に乗るために、どのくらい時間がかかるのか、自分で予測しにくいシステムになっているように思う。
私が思うには現在の出発時間という漠然とした言い方より、搭乗手続き(切符を確保)の締切時間を明示してもらったほうがいい。出発時間というのは、空港の状況とか気象状況とかによって、逐次、変化する流動的なものである。
さらにいうと、機体の大きさも搭乗時間を左右していよう。私が乗ったのはボーイング70系統のジャンボ機で、座席は1列10名、そして40数列か、ほぼ満席だったから、乗員を含めるとおよそ450名が乗る。こんな多数の人が乗るのだからスムースにいっても全員が搭乗には相当な時間がかかる。この時間も考慮にいれたとき、出発時間を一様に表示することがはたして妥当かどうか。
帰路は博多から成田だった。成田についても、いろいろ言いたいことがある。
しかし、わたしの言い分の原因の多くは、飛行場を成田という内陸部に設立したこと、その設立に際しての反対の運動が激烈だったことの影響が出ているのだと思う。その経緯を知っている年代の私からすると複雑な思いがする。
とはいえ、飛行場というのは、科学的にも、思想的にも、もっともっと考察の対象にすべき現代の交通課題だと思ったものである。【彬】