真っ赤なセンリョウ
東京周辺、今年はイチョウやカエデの紅葉が見事だ。台風の被害がなかったからだと思われる。
同時に木々の実もよく実っている。イチョウは落ち葉の中から、独特の臭気を発しているし、シラカシも根元によく実を落としている。びっくりしたのは、ウバメガシ。東京周辺では、実をつけるのが珍しいのだが、私がよく通る脇道に植えられたウバメガシが、根元に数え切れないほどの実を落としていたのである。食べられないか、拾ってみたが、渋みが強くて食には適さない。
食べられる実もある。今年はスダジイの実、いわゆるシイノミを拾って、3度食べた。薄く油を敷いたフライパンで軽く炒ると、パチパチとはじけ、ピーナツに劣らない味わいである。カシ類は食べるには適さないが、シイ類は食べられる。マテバシイ、ツブラジイなど。
話は変わるが、都会の樹木で問題にされるのは落葉。
落ち葉を踏み歩くのは、風情のあるものだが、周辺の人からすると始末に困る代物である。年配のビルの管理人たちが腰をかがめて掃除しているのは気の毒という他はない。道路や公園などを管理している自治体に対し、秋口に枝下ろししてほしいと要望する人もいる。すると強めの剪定の結果、落ち葉を楽しむことができなくなる。
落ち葉を厄介物にするのは、これをゴミ扱いするからだと思う。
その昔、夏場にダイオキシンという物質が発生した。住宅地で化学物質を燃やすからだとされた。そのため、各地の焼却炉が高温対応の炉に改善され、手近の簡易焼却炉を使用することが禁止され、廃棄された。その影響で、ちょっとした広場などで物を燃やすことも禁止され、その流れで落ち葉も焼くことが禁止された。落ち葉はすべて清掃車で回収するようになったのである。
おかげで冬場、町のあちこちから煙が全く立たなくなった。落ち葉の、自前の処理ができなくなったのである。
この現象をなんと思うか。私は街から落ち葉の煙が立つことを願う。【彬】