のんびりぽつぽつ

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朝日のようにさわやかに

2010年08月23日 20時38分23秒 | ★★恩田陸
恩田 陸 新潮文庫


短編集。
シリーズ物の番外編的な位置のお話が、とても楽しい。
一番の目的は
「水晶の夜、翡翠の朝」
ヨハン&理瀬のシリーズの、ヨハン側での番外編のこのお話は、
以前、友人に借りて読んだけれど、初出の本はとても古くて手に入らず。。
こうして短編集が出るのを心待ちにしていたのでした。

理瀬が学園を去った後の、ヨハンの立場がはっきりと描かれるこの作品。
憂理がいて聖がいて、、懐かしい~~~~!!!
思わず、「麦の海に沈む果実」を今、手にしています。

他の短編は。
「冷凍みかん」
このみかんを手にした人は、絶対に溶かしてはいけない。
溶かしたら地球が・・・・というSFチックなお話。こういうのかなり好み。
ラストがきっぱりしないのも、よし!
「あなたと夜と音楽と」
多分・・・そうだろうな、と予想はできる展開なれど。
閉鎖した空間に殺人者と一緒にいるって怖くないか?とは思っちゃう。
でも。ラジオパーソナリティーだから、声が外に通じてるってことか。。
心理状態を追えないのは短編だから仕方ないかな。
面白かっただけに、もう少し書き込んで欲しい物語だったかもしれない。
「赤い毬」
あったことのないおばあちゃんに、会ったと主張する孫娘。
その子どもの頃の記憶は、どこか常野に通じる熊笹の海・・・・。
いつか向こう側に行ったら、おばあちゃんから引き継ぐのかな。毬つきを。
(と、思うとちと怖いけど。。)
「おはなしのつづき」
読んでいって、ラストでガツンっとやられる。
童謡形式とはいえ、シビアな描き方なのが恩田さんならではか。。。
病床の子どもにせがまれて物語を語り聞かせる・・・・親にはちょっと辛い物語でした。

と、まあ、印象に残ったお話の大雑把な感想・・・。
だけど。
やっぱりこの方は長編の人。どれもとても上手いけれどどこか物足りなく感じるのは、
長編で思いっきり読み込まされる、その醍醐味を知ってるからかもしれないな。

そうそう。
「卒業」というホラーがまた怖かった!!
背景のわからないホラーは、心底怖いんです。活字であっても。
黒乙一さんを思いだし・・・・ううう・・・・夜読まなくてよかったです。

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