先程、ときおり愛読している公式サイトの【 日刊ゲンダイDIGITAL】を見たりした中、
『 認知症の高齢者は 脳トレよりも楽しく生きることが最も大切 』
と題された見出しを見たりした。
私は東京の調布市に住む年金生活の75歳の身であるが、
私たち夫婦は子供に恵まれなかったので、我が家は家内とたった2人だけの家庭であり、
そして私より5歳若い家内と共に、古ぼけた一軒屋に住み、ささやかに過ごしている。
こうした中、もとより健康でなければ、自身の日頃のささやかな願いも叶わないので、
いつの日にか認知症、或いは脳梗塞などの難病に遭遇したら、困窮するので、
私は独りで外出して、 自宅から3キロ以内の周辺にある遊歩道、小公園などを散策して、季節のうつろいを享受している。
このような深情を秘めている私は、何かと認知症に関して記事を読んだり、
脳トレの記事を読み、こっそりと実行したりしているが、
今回《・・認知症の高齢者は・・脳トレよりも楽しく生きることが最も大切・・》と読み、
瞬時に雷鳴が心に身にも響いたかのように、高僧にめぐり逢えた、と感じたりした。
この記事は、【 日刊ゲンダイDIGITAL】に『後悔しない認知症』と題した連載記事を寄稿されている
精神科医、評論家としてのテレビ出演、著作も多い和田秀樹さんの記事のひとつで、
2019年10月6日に配信され、 無断であるが記事を転載させて頂く。
《・・認知症の高齢者は 脳トレよりも楽しく生きることが最も大切
9月20日付の朝日新聞朝刊の第1面を見て、時代を強く感じた。
注目したのは、記事ではない。広告である。
下3段のスペースのすべてが、認知症に関する書籍の広告だったのである。
新聞社が広告企画として「認知症特集」を組んだ結果かもしれないが、
認知症に関する書籍が数多く出版され、それを購入する読者が多いという背景があってのことなのだろう。
ひと昔前には、これほどまでに「認知症」という言葉が、
各種のメディアに取り上げられることはなかった。
ましてや、私が日本で初めての高齢者専門の総合病院である東京・杉並区の浴風会病院で、
精神科医として勤め始めた約30年前には、認知症という言葉さえなかった。
侮辱的なニュアンスを含んだ「痴呆症」という言葉が、一般的だった。
その意味では、メディアを通じて認知症に対する社会の関心が高まったことは、
一歩前進と言ってもいいだろう。
認知症の正しい理解の浸透にもつながった。
だが、世の中に氾濫する認知症に関する情報には、
思わず首をかしげたくなるものがあることも事実だ。
「認知症の進行を抑える」などのうたい文句で、
盛んに脳トレ、数独、パズルあるいは体操などを「認知症の特効薬」のように喧伝する医者がいる。
その中には、高齢者医療の臨床経験がきわめて乏しい医者が、少なからずいる。
何よりも問題なのは、そうしたプログラムを有料のセミナーなどで、ビジネス展開していることだ。
エクササイズによって、トレーニングした項目のスキルは向上するが、
認知症そのものの進行を遅らせるというエビデンス(科学的根拠)はない。
長年、老年精神医学の臨床現場で生きてきた立場から力説したいのは、
認知症の高齢者にとって、「機嫌よく、楽しく生きる」が最も大切だということ。
ストレスを感じながら、脳のエクササイズやトレーニングに励むのではなく、
気分よくレクリエーションとして、脳や体を動かすこと。
それが認知症の進行を抑えるために、有効なのだ。
「今回は解答率が低かった」、「今日は4000歩しか歩かなかった」などとノルマのストレスを感じて、
エクササイズに励むよりは、
「今日の『世界!ニッポン行きたい人応援団』は面白かった」、
「公園のコスモスがきれいに咲いていた」など、
脳を心地よくする機会を増やしたほうがいいのだ。
このコラムで以前も紹介した知人の母親について、新しいエピソードがある。
現在92歳で一人暮らし。介護ヘルパーの訪問はあるものの、認知症の症状はない。
先日の日曜日、近所に住む知人が、母親の家を訪れたところ、開口一番こう尋ねてきたそうだ。
「ノックオンていうのは、どんな反則?」。
若いころからスポーツ観戦が大好きだった彼女は、ワールドカップ日本開催を機に、
92歳にしてラグビーにハマってしまったのだ。
新聞は隅々まで読み、好きな時代小説を読み、
スポーツ観戦は相撲、野球、テニス、ゴルフと何でもござれの日々に、
新たにラグビー観戦が加わったわけだ。
わかりにくいラグビーのルールに挑戦となれば、脳が怠けるヒマもないだろう。
こうしたレクリエーションを通じての脳の活動こそが、
認知症の進行を抑えたり、遠ざけたりする。
「レクリエーション」には、「気晴らし」のほか「再創造」とか
「壊れたものが、つくり直される」といった意味もある。・・》
注)記事の原文に、あえて改行を多くした。
今回、精神科医、評論家の和田秀樹さんの寄稿文を読みながら、多々教示させられた。
特に《・・長年、老年精神医学の臨床現場で生きてきた立場から力説したいのは、
認知症の高齢者にとって、「機嫌よく、楽しく生きる」が最も大切・・
・・ストレスを感じながら、脳のエクササイズやトレーニングに励むのではなく、
気分よくレクリエーションとして、脳や体を動かすこと。 それが認知症の進行を抑えるために、有効・・》
こうした和田秀樹さんの深い思い、つたない私でも学び、
何かと物忘れが多くなってきた私の確かな心身の指針になるかしら、と微笑んだりした。
余談であるが、日中の大半は外出に伴い、平素より早めに投稿した。