遊爺雑記帳

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露、今度はサハリン1にも見直し要求

2006-09-24 01:11:24 | my notice
 ロイヤル・ダッチ・シェル、三井物産、三菱商事が参加するロシア極東サハリン沖の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」に対し、事業化の調査承認を取り消すと発表し、事実上の事業停止命令を出していたロシアですが、ロシア天然資源省高官は21日、日本の商社などが参加し、米石油最大手エクソンモービル主導で開発が進められている「サハリン1」に対しても見直しを求めていることを明らかにしたのだそうで、ロシアの国家による資源管理の強化が、一段と強化されている様です。

 
露、今度はサハリン1にも見直し要求・日本商社の事業に暗雲 (9/22 産経朝刊)
 【モスクワ=内藤泰朗】ロシア天然資源省高官は21日、ロイター通信に対し、日本の商社などが参加し、米石油最大手エクソンモービル主導で開発が進められている極東サハリン沖の石油・天然ガス開発事業「サハリン1」に対しても見直しを求めていることを明らかにした。日本の商社が参加するロシア最大の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」への事業停止命令に続く措置で、日本の対露事業に暗雲が立ちこめてきた。

 同高官は、サハリン1の事業費が当初予定の128億ドルから170億ドルに増大していることに不満を表明し、「このまま増大するようであれば、ロシアは利益を得ることができない」と述べ、事業費の増大を認めない方針を示した。同高官は、「われわれは(サハリン1に対しても)法的な措置をとる用意がある」と警告した。

 また、ロシアの英字日刊紙モスクワタイムズによると、同省は20日、フランスの大手石油会社トタルが中心となってロシア極北で進める石油開発事業「ハリヤガ」についても、ロシアと外資の間で利益分配法などを定めた「生産物分与協定(PSA)」を見直すようトタル社側に求めた。ロシア政府は、外資主導のハリヤガとサハリン1、2に関するPSAが石油価格低迷期の1990年代に結ばれた「不平等協定だ」として見直す方針を示していた。

 プーチン大統領は22日にフランスを訪問しシラク大統領と会談、ハリヤガのほか、トタル社が同じロシア極北で参画を目指す巨大天然ガス開発事業「シュトックマン」についても協議するとみられている。

 シュトックマンの権益を持つロシア国営天然ガス独占企業体ガスプロムは、ハリヤガとサハリン2への参画を求めている。資源・エネルギーの国家統制を強化するプーチン政権は、これら2つの事業にガスプロムを参画させ、外資主導にくさびを撃ち込む狙いがあるものとみられる。

 しかし、ハリヤガも、サハリン1も、100%外資で開発を進めるサハリン2とは異なり、ロシア資本が入っている。それにもかかわらず、サハリン2と同様に環境保護法違反を指摘されるなど圧力を受けている。このため、プーチン政権側が外資主導の資源開発の排除に向け、強硬姿勢を示し始めたという見方も出ている。

 自国の地下資源の開発を外資に握らせず、政府が関与しようとする発想は理解出来なくはないのですが、こうも露骨にかつ堂々と外国企業との契約を国家命令として反故に覆す国が他にあるでしょうか。
 石油価格低迷期の1990年代に結ばれたPSA(生産物分与協定)が「不平等協定だ」との理由ですが、契約したにもかかわらず事業化の承認を取り消すとか、事業負担費を払わないとか、およそ安心して取引ができる話ではないです。
 対象も、100%外資のサハリン2だけではなく、米、仏の開発主導企業にも大きな影響を及ぼすもので、ロシアという国家の信用にかかわるものです。
 平和条約を反故にして、敗戦が確定している状況の日本に攻めかかってきた国ですから、この程度のことはあって当然の国柄です。世界の各国も、資源高騰太りで元気を取り戻して本性を現してきたロシアを、再認識している事でしょう。

 サハリン2では、三井・三菱は 2社で 5%分(シェルが20%)の株を、ロシア政府系ガス会社「ガスプロム」に譲渡することで交渉している(9/21 日経朝刊)のだそうです。
 アレクサンドル・ロシュコフ駐日ロシア大使は「プロジェクト全体を中止するつもりはなく、早く完成してほしい」と述べるなど、パイプラインの工事(フェーズ2)中止命令で、夏場に行われている操業(フェーズ1)は現状通りとしているなど、収益目当ては見え見えです。
 (20日に、トルトネフ露天然資源相が公示許可承認を取り消す文書に署名し、同時に発効し、開発工事は停止されています。)
 
資源支配 ロシア強硬 長引けば深刻事態も LNG調達 (9/20 日経朝刊)

 「サハリン2」の工事中断が長引き、液化天然ガス(LNG)の出荷が 1年以上遅れると、日本のエネルギー需給に暗い影を落とす公算が大きい。
<中略>

 2010年前後に、日本のLNG長期輸入契約が相次いで更新期を迎える。日本が合計で毎年3,000万トン規模を輸入するオーストラリアとインドネシアの天然ガス田は、その半分にあたる約1,500万トンの契約が09~10年に終了する。
 サハリン2は、その「端境期」をある程度埋め合わせる役割を期待されていただけに、仮に輸出が10年に間に合わない場合、供給不足を招きかねない。さらに、米国、中国やインドなどのエネルギー消費国が"LNGシフト"を進めている中で、日本が現在の調達先から従来通りの料を再契約できるかどうかは未知数だ。
 「日本に近く、規模が大きい」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)ことから、日本のエネルギー安全保障の切り札的な役割を担っているサハリン2の行方に対する関係者の不安は大きい。

 以前にも書いたことが在りますが、日本のエネルギー安全保障を考えたら、信頼できないロシアの国柄を考えれば、そんな国にエネルギーを頼ってはいけません。
 信頼できる豪州と、早めの契約交渉をする、東シナ海のガス田の開発(量は多くを期待できないにしても)を早く進めるなどすべきで、実際に頼ってしまってから今回の様に揺さぶられたら、本当に国が揺さぶられかねません。
 ロシアにしても、米国や中国があるとは言え、近い日本に買って欲しいのが本音のはずです。三井・三菱も、株譲渡ではなく、契約違反を唱え損害賠償を獲り、完全撤退の姿勢を示すべきと考えます。目先の工事や、エネルギー取り扱いの利益を追って、国を売ることは避けねばなりません。
 ロシアにエネルギーで支配されるくらいなら、足りなくても我慢の生活の方を、私は選びます。
 
 終戦のドサクサで不法占拠している北方4島ですが、坂下船長の領海侵犯と密漁の罪での罰金刑が確定しましたにも関わらず、日本側の「日本固有の領土である北方領土近海で発生した事件は、日本側の法に基づき裁かれるべきだとして、罰金約50万ルーブル(約220万円)と船体の没収という21日のロシア側判決を認めない姿勢」という態度いかんでは、船長の解放が遅れると、ロシアのラブロフ外相が発言しています。
 厚かましく、強気な本性が、随所に表れてきている最近のロシアです。



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