遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

胡錦濤政権が文化統制宣言

2006-09-17 19:43:57 | 中国 全般
 中国共産党・政府が、第11次 5か年計画(2006~2010年)期間中の文化政策の基本方針を定めた「文化発展計画要項」を発表したのだそうです。
 その内容は文化の発展とは逆行する、胡錦濤政権が発した文化統制宣言と言えるもののようです。(9/15 読売朝刊)

 要綱は、社会の不安定化を恐れ、思想、言論、報道の締め付けを強めるもので、社会主義の宣伝強化による党の求心力向上、自由主義世界の文化浸食への対抗が重要な柱となっているのだそうです。
 
 10章48項目からなる綱要は、理論、道徳から、報道事業、文化産業まで幅広く網羅している。
 序章では、「我々は国際的競争で主導権を握らなければならない」とし、独自の文化大国を目指す姿勢を強調した。
 指導方針では。「腐った文化を防ぎ、国家の文化的安全を守る」こともうたう。

 具体的には、以下の内容の様です。
 ■教育
   青少年の理論学習は強化され、胡氏が提唱した「八栄八恥」という道徳観は、小学校から大学までの教材に入り、家庭学習も行われる。
 ■報道機関
   「党の主張を全面的に宣伝し、民衆の望みを正確にくみあげ、良い側面の宣伝を拡大」するよう求めたものだが、業界調整での発行規模の適正化や、党発行紙の普及拡大を図る、報道界で徐々に進んできた市場化の流れに逆行しかねない内容。
 ■民族アニメ漫画産業
   日本のアニメ、漫画が青少年の心をつかんでいる状況を政治で変えようと、国家アニメ漫画産業基地、教学基地などを建設するプロジェクトを推進する。
 ■農村・都市貧困層
   博物館の無料開放、農村への書籍の提供、村での映画上映、テレビの視聴ができない地域を減らすなど公共サービスの充実。

 愛国心と奢侈の戒めの教育を更に強め、報道規制をして、党の利益に反する情報を抑え、都合の良い情報を造り広めるといった、異論の封殺と国民の洗脳がありありと読みとれます。
 鬼畜米英と教育した先の戦争時の日本や、鎖国をした徳川時代の様です。
 このネット時代にと思いますが、ネットの規制も一段と強めている様子で、今月、6日から 8日の 3日間で、320以上のサイトを、公安当局が閉鎖させたのだそうです。(9/16 日経朝刊)
 
 中国政府は今月、外国通信社が中国国内で情報を配信する場合、新華社の審査や許可を求める管理規制を公布。さらに今後五年間で思想宣伝を強化することを盛り込んだ「国家文化発展計画綱要」を発表。この中でも独立資本のメディアやネットへの管理強化を打ち出した。
 メディア規制が相次ぐ背景には、環境汚染など経済成長にともなう「社会の矛盾」が拡大する中、関連するニュースが無制限に明るみに出れば共産党体制を揺るがしかねない、という危機感がある。
 「人民日報」などの官製メディアから読者が離反する一方、独立採算の大衆紙が独自報道を展開して、世論形成に影響を持ち始めている。
 ネット利用者も日本の人口に相当する一億人規模に達している。かつてなら表面化しなかったような地方の事件もネット上のコピーや個人のブログ、掲示板を通じて短時間に全土に広がるようになった。中国政府は体制維持のためメディア規制の強化を加速しているとみられる。

 欧米諸国で批判の声があがっています。
 □米国務省のケーシー副報道官=「基本的な権利である言論の自由を制限するいかなる措置にも反対する。情報に基づく近代的な経済の構築を目指す中国の立場と矛盾している。」
 □ブレア英首相=「外国メディアの中国国内での活動に対し(我々とは)多くの意見の違いがあるようだ」(温家宝首相と13日会談後)
 □メルケル独首相=「人権問題について議論した。北京五輪開催は喜ばしいが、報道の自由は重要だ。」(温家宝首相と14日会談後)

 欧米の大手通信社が、中国にある企業へ金融情報などを直接配信していたものを新華社経由とすることにたいしては、その配信の利益が欲しいからとの見方も在りますが、中国新聞出版局の柳副局長が14日、公平な競争環境を重視するとし、「新華社は、いかなる経済利益も得ない」と記者会見し言い訳をしていますが...。

 中国でのネット接続が、規制のために不安定なことは有名ですが、紙や正規ルートの配信情報はコントロール出来ても、次々と生まれてくるネット上の情報交換手段に、いつまで制御ができるのでしょうか?
 米国も世界中のネット情報をチェックしていると聞きますが、これは閲覧しているだけで、制御までしていません。制御は困難でしょう。
 
 軍事力を増強し、覇権の拡大を進めている中国ですが、国民を他世界から隔離すればするほど、その壁に穴が空いたときにもたらせられる事実の情報のショックは、明治維新を産んだ当時の日本の再現となる可能性があります。
 ペンは剣よりも強しといいますが、ネットの情報が中国共産党の最大の脅威であることを、共産党政権自らが認めていことを、文化統制、報道規制、ネット規制の法案造りと統制の実行で証明しているといえます。


 


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2 コメント

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理想と現実の狭間で・・・・ (tsubamerailstar)
2006-09-20 20:04:19
>ペンは剣よりも強しといいますが、ネットの情報が中国共産党の最大の脅威である



「調和の取れた持続可能な経済成長」という方向性は国際的なステークホルダーたることとイコールだと思うのですが、国内的には色々歪が出てきますよね。

しかしこのネット時代であそこまで抑え切れているのは実際そうなのか?どこまで「持続可能」なのか興味津々です。

皮肉な話ですが、天安門の頃が今時分の通信環境だったらとも思ったりしますね。

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Re: 理想と現実の狭間で・・・・ (遊爺)
2006-09-23 23:57:01
tsubamerailstarさん、こんにちは。



>しかしこのネット時代であそこまで抑え切れているのは実際そうなのか?どこまで「持続可能」なのか興味津々です。



 特にネット上の情報制御が、独占システム(集中コントロールが可能)が故に出来ている事とは言え、急発展するネットの技術との競争はみものですね。



 余談ですが、在米の反政府民主化団体が、日本の国連常任理事国入りを、一党独裁の国よりは民主主義がはっんしているとして指示する声明を出したそうですね。

 民主化団体といえども反日が当たり前の中、希有なことなのだそうですか、国内を制御しても、海外のこうした情報は手が届かないですから、電波と複合したかたちで国内に届く地域があるなど、完全に防ぎきることは不可能ではあります。

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