遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

ブレグジット第二波 そこへつけ込むチャイナマネー

2016-07-07 23:58:58 | 中国 全般
 英国のEU離脱(Brexit=ブレグジット)の余波が広がり、英不動産ファンド市場の5割強が凍結されるに至ったのだそうです。
 ブレグジットは、未だリーマンショクとは異なると言われていますが、今後の不安の拡大懸念はぬぐえない様ですね。
 

英EU離脱、市場に第2波 英不動産ファンド解約増  :日本経済新聞

 英国による欧州連合(EU)離脱決定の余波が金融市場を揺らし始めた。イタリアの銀行の経営不安が再燃したのに続き英不動産ファンドの相次ぐ解約停止で混乱が広がり、6日の金融市場で日本円や日米欧の国債へのマネー逃避が鮮明になった。不動産価格下落や信用不安の連鎖が続けば欧州の実体経済にも影響が及びかねない
<中略>


 
離脱ショックの「第2波」は英不動産市場が震源だ。6日はヘンダーソン・グローバル・インベスターズが英第2位の公募不動産ファンドの解約を停止。停止は5件目で、英不動産ファンド市場の5割強が凍結された計算だ。
 金融機関などが英国外に拠点を移せばロンドンの不動産価値が低下しかねず、一部投資家らが解約を求めファンドに殺到しているようだ。
 ファンド側はすぐに資産を現金化するのが困難で、解約の一時停止に動いている。異例の取引制限を巡り市場では「2007年8月のBNPパリバによるファンド解約凍結を連想させる」(外資系銀行)との声もある。

<中略>


 英ファンドの支払い停止などを発端に市場の疑心暗鬼が広がれば、英国だけでなく、欧州市場全体でみて問題の大きい銀行が信用不安に見舞われる可能性が高まる。
 英離脱ショックは金融システムの中枢が直撃されたリーマン危機とはやや性質が異なる。米調査会社クレジットサイツのアナリスト、ハースト氏は「不動産業の債務依存度や銀行の与信残高は低く不動産市場から金融システムへ危機が伝染する可能性は低い」とみる。
 銀行同士が資金をやり取りするロンドン銀行間取引金利(LIBOR)3カ月物金利は1%を大きく下回っており、4%まで上がった08年9月のリーマン・ショック時のような切迫感はない。
 
とはいえ、住宅など広範な資産価格下落などに見舞われれば信用の目詰まりは避けられず、金融セクター全体の安定性が揺らぐ恐れもある

 欧州金融当局が沈静化に有効な手を打てなければ「リーマン型の金融システム危機の性格を帯びてくる」(中央銀行関係者)との警戒感もある。  (石川潤、ロンドン=黄田和宏)

 ところが、逞しいチャイナマネーが、勝機とばかり、逆張りを進めているのだそうです。
 

Brexitは千載一遇の好機か 中国勢、英国資産を安値買い  :日本経済新聞

 国際社会に衝撃を与えた英国の欧州連合(EU)離脱(Brexit=ブレグジット)。だが、株安の直撃を受けた欧米日に比べると、アジア市場は思いのほか落ち着いている。中国や香港では、力を温存した投資家が英ポンドの急落を好機ととらえて英国資産の「安値買い」に動き始めた。

 6月23日。英国民投票のまさに当日、ロンドンのキングズクロス駅近くに建つ408室のホテル「トラベロッジ・ロイヤル・スコット」を7030万ポンド(約96億円)で買収する契約を結んだ香港企業がある。ホテル運営会社の華大酒店投資(マグニフィセント・ホテル・インベストメンツ)。ブレグジットを視野に入れた、おそらく「最速」の英不動産投資だった。

■英ホテル買収「魅力的な価格」
 24日の開票結果を受けてEU離脱が確定し、
英ポンドは米ドルに対し31年ぶりの安値に急落した。米ドルにペッグ(連動)する香港ドルの価値は上がり、華大酒店投資にとっては一夜にして1割以上「お得な買い物」になった
。「魅力的な価格だ」。週明け27日の発表資料からは、経営陣のニンマリした表情が読み取れるようだ。
 決して棚ぼたではない。同社は買収検討の段階からブレグジットの可能性と影響について熟慮を重ねており、仮に英国がEUに残留しポンドが下落しない場合でも投資採算はとれる目算を立てていた。
「ポンド安は英国の旅行産業にとって良いニュース。より多くの(外国人)旅行客を英国に引き付け、ホテルの需要が増える」。事業面でも勝算ありとそろばんをはじく


 
英国投資熱は個人の間にも広がる。香港紙によると、ブレグジット決定の翌日に香港で売り出されたロンドンのマンション3物件には、香港や中国の富裕層から購入予約が殺到した。もともと香港や中国の人々にとって英国は人気の高い旅行・留学・移住先だ。ブレグジットにひるむのではなく、むしろ狙った資産を割安に買える千載一遇のチャンスと受け取った


 「相場の変動とパニックは、よりよい投資機会をもたらす。欧州、特に英国での機会にますます注目している」。最近ロイター通信の取材にこう答えたのが民営投資会社、復星集団の董事長で「中国のバフェット」と呼ばれる郭広昌氏だ。確かに、その逆張りの発想はリーマン・ショック直後に相次いで米優良企業への巨額投資を決めた伝説の投資家ウォーレン・バフェット氏をほうふつとさせる。
 復星は中国人観光客の取り込みを狙って昨年、英旅行大手トーマス・クックに出資。仏リゾート運営のクラブメッドも買収した。さらに次の一手を狙っている。

■「ブレグジット恩恵銘柄」探しも
 
株式市場でも「ブレグジットで恩恵を受けそうな銘柄」を探す動きが活発になってきた
。中国の深圳市場では、欧州向け旅行を手掛ける北京衆信国際旅行社や海航凱撒旅遊集団、深圳市騰邦国際商業服務といった銘柄が英国民投票を境に上昇している。
 英銀HSBCのアナリストは6月24日に公表したリポートで、ブレグジットが世界の消費者心理全般に悪影響を与える可能性に言及しつつも、実は「大半の欧州高級ブランドにとってブレグジットは悪い話ではない」と指摘した。ポンドやユーロなどの下落が、外国人の購買意欲を刺激するとみるためだ。特に中国や香港向けの売上比率が高く、人件費などのコストはポンド建てが多いという企業が業績面で追い風を受けやすい。そんな銘柄の例として英上場のバーバリー・グループやジミー・チューの名を挙げる。

 ブレグジットで欧州の実体経済が顕著に悪化すれば、いずれはアジアにも波及し投資家心理を冷ましかねない。だが
今のところはチャイナマネーの抜け目なさとたくましさが際立っている。 (NQN香港=森安圭一郎)


 「捨てる神あれば拾う神あり」と言います。神かどうかはさておいて、投資の世界の醍醐味というかしたたかさには感服します。
 リーマンショックの時に、いち早く復興をリードしたのは中国でした。ただそれは、中国経済そのものが、元気な成長力を残していた時代の話です。
 今は、中国自身の抱える成長の鈍化・バブル崩壊の危機は、現実のものとして迫ってきています。
 その中で、資金余力を残していて、しかも資金を海外投資(移転)させたい企業や投資家が、眼をつけているという話ですね。
 しかしそれは、ブレグジットの生じる以前から、中国が国家規模で、英国への投資(札束外交侵略?)を進めていたのですから、ブレグジットがその機会を拡大しているだけとも言えます。

 英国王室では危険を感じ取っている様ですが、国民投票を政局の具にする、愚政を行ったとされるキャメロン政権は、習近平の札束外交にも膝を曲げていました。
 長く大英帝国の偉大さを継続し、世界の金融の頂点を今でも米国と競っている英国。アヘン戦争で植民地化された屈辱を晴らしたい、「中華の夢」を掲げる習近平。
 英国が、このまま中国にやすやすと侵略されるとは思えませんが、くれぐれも中国の覇権拡大指向には留意されることをお勧めします。



 冒頭の画像は、6月27日に議会で演説したキャメロン首相
 キャメロン英首相、議会で演説へ-EU離脱へかじ取り役不在 - Bloomberg






  この花の名前は、キクザキリュウキンカ


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