遊爺雑記帳

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中国 憲法が定める国家主席と国家副主席の任期規定を削除

2018-02-26 23:58:58 | 中国 全般
 中国共産党中央委員会が、「2期10年」と憲法が定める国家主席と国家副主席の任期について、この規定を削除する憲法改正案を、3月5日開幕の全国人民代表大会(全人代11国会)に提案するのだそうです。
 昨年10月の党大会で、次期チャイナセブンの人事が決まりましたが、ポスト習近平候補の陳敏爾(チェンミンアル)氏、胡春華(フーチェンファ)氏がチャイナセブン入りせず、ポスト習近平は習近平と目される様になりましたが、それは2期目を通じて固められていくもので、今後どんな政局争いが展開されるのかと想像していましたが、早くも、憲法の任期規定を削除といった大技が実行されるとは、驚きです。
 

中国主席 任期撤廃へ 党提案 習氏長期政権に道 (2/26 読売朝刊 一面)

 【北京=竹内誠一郎】中国国営新華社通信は25日、中国共産党中央委員会が、「2期10年」と憲法が定める国家主席と国家副主席の任期について、この規定を削除する憲法改正案を、3月5日開幕の全国人民代表大会(全人代11国会)に提案すると伝えた。改正されれば、2013年就任の習近平国家主席(党総書記)は、2期目の任期が満了する23年で 3選が可能となり、長期政権への道が開かれる

 全人代は事実上、党の指導下にあり、改正案の採択は確実だ。改正案では、昨年10月の党大会で、党の最高規則である党規約に入った
習氏の指導思想「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」の序文への追加
も盛り込まれた。
 
国家主席の任期は、1976年に死去するまで最高指導者の地位にあった毛沢東の独裁への反省から設定
されていた。習氏は党大会で、自らが82歳となる2035年までに中国が「総合的な国力と国際的な影響力で世界のトップレベルの国家」になるための基礎を打ち立てる方針を打ち出している。任期規定撤廃は、自らの手で「歴史的偉業」への道筋をつけたい習氏の意向が働いた可能性がある。
 党指導者として「別格」を意味する「核心」に位置づけられている
習氏が任期の制限も受けなくなることで、過度な権力集中に内外の懸念も招きそうだ。

 
中国の集団指導 無効化 主席任期撤廃へ 憲法も「習カラー」 (読売朝刊)

 【北京=竹内誠一郎】3月5日開幕の中国の全国人民代表大会(全人代=国会)で、国家主席の「2期10年」の任期が撤廃されることが確実となった。共産党内で「1強」の座を築いた習近平国家主席(党総書記)が長期政権を担い、建国の父である毛沢東と肩を並べる歴史的指導者となるための布石が着々と打たれている

 党中央委員会が全人代に提案する憲法改正案では、習氏の肝いりで党員以外の汚職摘発などを行うとみられる
「国家監察委員会」の新設も盛り込まれた。序文では、習氏の政治スローガン「中華民族の偉大な復興」などが追加され、党の最高規則である党規約に続き憲法も「習カラー」に塗り替えられる
ことになる。
 現在、国家主席には任期が存在し、党総書記も5年に1度の党大会時点で「67歳なら続投可能、68歳なら引退」という党内慣例の制限を受けることになっている。こうした規則と慣例に従えば、習氏は69歳で迎える2022年の党大会で総書記を、23年の全人代で国家主席を退き、2期の政権を終えることになる。
 党内では、習氏が政権3期目以降を意識しているとの見方が大勢だ。習氏が政権2期目を発足させた
昨年10月の党大会では、習氏に次ぐ世代の陳敏爾(チェンミンアル)氏、胡春華(フーチェンファ)氏が最高指導部・政治局常務委員に昇格せず、「後継者指名」が見送られた
との見方も出ていた。
 党大会時点で66歳だった李源潮(リーウェンチャオ)国家副主席は引退が確定した。全人代では、69歳で常務委員を退任した王岐山前中央規律検査委員会書記が、国家副主席に登用されるとの観測がある。党関係者は慣例がすでに「有名無実化している」との見方を示し、「習氏は健康状態が許す限り、最高指導者の地位に座り続ける」と予測した。
 
最高指導者に任期などで制限を設け、最高指導部メンバーによる合議を原則とする集団指導体制は、毛沢東の後を受けた鄧小平氏以来の党の方針だった。これを徐々に無効化していく習氏の手法への党内の反対論は、習氏の看板政策となってきた汚職摘発運動を通じて「徐々に抑え込まれている」
(党幹部)という。

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*中国の憲法改正案のポイント

・習近平氏の指導思想「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」を憲法序文に追加
・習氏肝いりの反腐敗闘争の一層の推進のため、「国家監察委員会」を新設する政府機構改革
・2期10年までと定めた国家主席、国家副主席の任期を撤廃
 (習氏の3期目以降続投への布石?)
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 毛沢東の独裁への反省から、鄧小平によって設定されていた国家主席の任期規定の削除。それは、集団指導体制の崩壊と共に、独裁体制の復活を意味します。
 更に、昨年10月の党大会で、党の最高規則である党規約に入った習氏の指導思想「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」の序文への追加も盛り込まれ、習氏の肝いりで党員以外の汚職摘発などを行うとみられる「国家監察委員会」の新設も盛り込まれたのだそうです。
 二期目に入ったばかりというのに、党の最高規則である党規約に続き憲法も「習カラー」に塗り替えられることになるといったやりたい放題状況です。
 しかし、習氏の手法への党内の反対論は、習氏の看板政策となってきた汚職摘発運動を通じて「徐々に抑え込まれている」のが現状だと。

 党指導者として「別格」を意味する「核心」に位置づけられている習氏が任期の制限も受けなくなることで、過度な権力集中に内外の懸念も招きそうだとの読売一面記事の指摘。毛沢東の専制政治の時代への逆戻りは、集団指導の改革開放政策で急成長してきた中国の政治経済体制の終焉も意味します。

 また、汚職追放の御旗の元に政敵を追放して、習近平の独裁体制構築に貢献した王岐山を、国家副主席に就かせるとも言われているのは、諸兄がご承知の通りです。
 ところが、反腐敗運動を率いる王自身が私腹を肥やしている。複数の隠し子を持ち莫大な資産を保有している、ハリウッド映画にもしばしば出演する大物女優と関係を持っていたなど、次々と暴露をしているのは、後ろ盾の馬建・国家安全省次官(当時)が紀律違反違法行為の容疑で失脚したため、米国に脱出した政商の、郭文貴(クオ・ウエンコイ)。習近平総書記が敵なのではない、ターゲットは王岐山・中国共産党中央規律検査委員会書記だと明言しているのだそうですが、これも巧妙な分断工作とみるべきで、矛先が習近平に向かう可能性も指摘するのは、李小牧氏。
 
えっ? 中国共産党が北ミサイルより恐れる「郭文貴」を知らない? - Newsweek

 習近平の身辺で、疑惑を生じたこともありました。
 
習近平主席 姉夫婦のビジネスを巡り党長老から叱責を受ける│NEWSポストセブン

 鄧小平が招いた改革開放経済政策による経済急成長と、集団指導体制の独裁排除政治体制とを放棄して、民間の活力より重厚長大の国営企業を重視し、政治独裁化を進める習近平の中国。どうなっていくのでしょう。


 # 冒頭の画像は、郭文貴氏




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