
しかし、そこには強かな戦術も仕組まれていたようです。
自民党の高村正彦副総裁ら超党派の国会議員による日中友好議連の訪中団が5日、中国共産党で序列3位の張徳江・全国人民代表大会常務委員長(国会議長)と会談した。高村氏は、11月に北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせた日中首脳会談の開催を打診し、張氏は習近平国家主席に伝えると応じたものの、本格的な日中関係改善の糸口は見えていない。 (政治部 出口太=北京で)
■「戦術的互損関係」
「現在の難しい状況の下でも、代表団が訪中していることは、中日の友好関係推進に尽力したいという決意の表れだと思う」
北京中心部の天安門広場に面した人民大会堂で、高村氏と公明党の北側一雄副代表、民主党の岡田克也元代表ら9人の訪中団を迎えた張氏は、一人一人を握手で出迎えた後、会談をこう切り出した。
高村氏は「本来は『戦略的互恵関係』であるべき両国の関係が、今はお互いに損をする『戦術的互損関係』となっている」と応じた。
その上で、安倍首相の意向として、今年11月に北京で開かれるAPEC首脳会議に合わせた習主席との日中首脳会談を提案した。
戦略的互恵関係とは、2006年の首相就任後、初の外遊先として中国を訪問した安倍首相が、当時の胡錦濤国家主席との間で、両国の目標として確認した。政治体制が違う日中関係を政治経済両面で強化していく方針を「戦略的」と表現したものだ。
だが、最近の日中関係は当時目指した姿とは、ほど遠い状態となっている。特に12年9月に日本が沖縄県の尖閣諸島を国有化して以降、中国側は昨年11月に尖閣諸島を含む東シナ海に防空識別圏を設定するなどの挑発行為を続けている。
■「前提条件なし」
この日の会談でも、張氏は「今の日中関係が悪くなったのは日本側に原因があり、取り除くように態度で示してほしい」と強調。昨年12月の安倍首相による靖国神社参拝を「戦争を美化するものだ」と非難し、尖閣諸島を中国固有の領土とする一方的な主張を繰り返した。高村氏は「過去の不幸な時代に日本側が加害者で、中国側が被害者であったと日本人の多くが思っている。安倍首相も例外ではない」と反論した。
関係者によると、日本側は事前に中国側に対し、習主席、李克強首相のほか、序列4位の兪正声人民政治協商会議主席らとの会談を要望した。このうち、習主席との会談は「日中関係の現状を考えれば現実性がない」(高村氏)ことに加え、李首相はアフリカを外遊中で、張氏との会談は訪中団が想定した中国要人で最も序列が高い相手となった。日本政府関係者は「中国側には首相に近い高村氏を懐柔するという思惑もあったのだろう」と推測する。
一昨年12月の安倍首相就任以来、日中首脳会談は一度も開かれていない。日本政府内では、お互いの国を訪問する形の首脳会談はハードルが高いと見て、国際会議の合間での首脳会談を模索している。北京で開かれるAPECの際の首脳会談は、最も現実的な選択肢とみている。
ただ、首相は「首脳会談の実現に前提条件をつける考えは一切ない」という立場を変えることはないとみられており、日中の関係改善には、まだまだ時間がかかりそうだ。
習政権 安倍首相孤立化狙う?
中国は今回、党内序列3位の張徳江全人代常務委員長が日中友好議連メンバーとの会談に応じることで、議連の訪中を重視する姿勢を示した。
だが、習政権の高村氏らへの対応は日本政府との関係改善への布石というより、「安倍首相と、その他を切り離す分断工作」(共産党関係者)の一環とみられる。
4日夜に高村氏らと会談した唐家璇元国務委員は一夜明けた5日午前、議連メンバーが宿泊する北京市内のホテルを訪れ、民主党の岡田氏、公明党の北側氏と個別に会談した。前日、発言の機会がほとんどなかった自民党以外の政治家から直接、意見を聞き、関係強化を図る狙いがあったようだ。
中国外務省報道官も5日の定例記者会見で、議連の訪中を歓迎する一方、「日本の指導者が時代の潮流に逆行した行動で中日関係の発展の基礎を不安定にし、両国のハイレベル交流に深刻な政治的障害をもたらした」と述べ、日中首脳会談が実現するかどうかは安倍氏次第との考えを強調した。
今年11月には北京でAPEC首脳会議が開かれ、安倍首相も出席を予定している。習政権が安倍氏の訪中を受け入れるには「日中間の緊張のレベルを引き下げる必要がある」(共産党関 係者)との判断もある。
だが、習氏は、安倍氏との間で、本格的な政治対話を急がない強気の姿勢を崩していない。昨年10月には、日本を含む周辺国家との経済関係強化などを通じて中国の発展を図るという今後5~10年の「周辺外交」の原則を表明した。日本に関しては、沖縄県・尖閣諸島や歴史認識を巡る対立では譲らない一方、中国の利益になる経済・地方などの民間交流は行う「政経分離」を進める構えだ。
張氏は5日の会談で、日中間の貿易総額が減少していることに言及し、「目にしたくないものだ」と語った。 (中国総局 五十嵐文)
強かな戦術とは言え、とても解りやすいシンプルな戦術でもありますね。
先ず例によって、「今の日中関係が悪くなったのは日本側に原因がある」とか、安倍首相による靖国神社参拝を非難し、尖閣諸島を中国固有の領土とする一方的な主張を繰り返します。
そして、日中首脳会談が実現出来るかは、安倍首相の姿勢と言動次第と独自の論理でボールを投げてきてこちらに渡そうとしています。
更に、民主党の岡田氏、公明党の北側氏と個別に会談し、安倍首相との分断を計り安倍首相の孤立化を進めようというものです。
おそらくこれは、一党独裁の中国共産党ないでの政局争いで使われる戦術なのでしょう。
胡錦濤と習近平の激しい政局争いは、中国共産党内でどうやって相手の集団を分裂させ、自集団の勢力を拡大するかで争われてきていますね。
ところが、日本は自由民主主義の国です。つまり、主義主張や政策によりいろいろな政党があり、国民の選挙で選ばれた国会議員が、その主義主張や政策に基づき議論を戦わしてものごとを決めていきます。国会議員の政見の違いで分断させようとしても、もともと対抗しているので分断する効果はありません。
首相のせいで首脳会談が出来ないと揺さぶっても、党派が違う議員はもともと政権交代を目指して攻勢をかけていますから、分断の意味はありません。むしろ親中が露骨になれば、マイナス効果があるだけです。
与党内での分断を狙っても、民主党の様な烏合の衆には効果があっても、自民党にたいしては、一部の媚中議員をのぞいては効果はありません。
「三戦」戦略の「世論戦」で籠絡した自民党の一部媚中議員勢力は、老齢化し自民党が政権を失った悪弊の象徴として、総裁選で敗北し影響力はなくなってきています。そうした連中(野中、古賀、野田)をけしかけて、消費税アップ後の景気低迷を突いて、総裁交代を画策しているとの話がありましたが、民主党ならいざしらず自民党では失敗に終わっているのは諸兄がご承知のとおりです。
水曜アンカー・青山繁晴のニュースDEズバリ 4月30日 バラエティ動画を視聴!バラ動画 ← 47分経過したあたりから話が出ます。お急ぎの場合はルーラーで早送りしてください。
安倍首相が姿勢を貫いている通りで、首脳会談を実現するために何か条件を譲歩する必要はありません。
記事にはありませんが、高村氏は尖閣についても中国が現状を力で変えようとしていると抗議したとの報道があります。
日中議連の高村氏、張氏と尖閣・歴史で激しい応酬 日中首脳会談の道筋みえず - MSN産経ニュース
会談の門戸は何時でも開いて、議論すべきは議論する姿勢の堅持が必要で、焦る必要はありません。
国益を守る姿勢と、議論を重ねることで、世界に向けて中国の偏向ぶりを際立たせる戦略が望まれます。
# 冒頭の画像は、高村副総裁と張徳江全人代常務委員長

この花の名前は、吾亦紅 撮影場所;六甲高山植物園 (2013年 9月 撮影)
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