野田氏は、プーチン大統領の就任にあわせ、自民党・森元首相を政府特使として訪ロさせ、5月18~19日に米キャンプデービッドで開かれる主要国首脳会議でのプーチン氏との会談に備える段取りを進めていました。
玄葉氏も、「外交は超党派で行うべきで、一定の役割を果たしていただきたい」と森氏への期待感を、2島先行協議の含みを持たせて発言したのだそうです。
【マラケシュ=共同】モロッコ訪問中の玄葉光一郎外相は5日夕(日本時間6日未明)、北方領土問題の解決に向け、歯舞、色丹2島の帰属確認、引き渡しを先行協議する案に含みを持たせた。同行記者団と懇談し、この2島の返還を記した日ソ共同宣言の有効性を確認した2001年のイルクーツク声明に関し「四島の帰属は日本にあるとの立場と符合する。矛盾しない」と述べた。
2島先行協議案は森政権当時の交渉方針。7日のプーチン氏の大統領復帰をにらみ、政府がロシアへの派遣を検討する森喜朗元首相については「今の政界で唯一プーチン氏と知己だ。領土問題に深い洞察を持っている。外交は超党派で行うべきで、一定の役割を果たしていただきたい」と期待感を表明。「実は森氏とは時々連絡を取っている」とも明らかにした。
18、19両日に米国で開かれる主要国(G8)首脳会議の際に予定される野田佳彦首相とプーチン氏との会談に関しては「個人的な信頼関係を築いてもらいたい」とした。
かつて絶大な人気を誇ったプーチン大統領とは異なる、就任反対世論に包まれるプーチン大統領が、今、北方領土の交渉が出来るのでしょうか。以下の記事が国内の実情を示していると考えるのが妥当と考えられます。
【モスクワ=共同】国営ロシア通信は3日、今月7日に退任するメドベージェフ大統領の外交を4年間補佐した匿名の大統領府高官が、北方領土問題について「歴史的チャンスは二度とない」と述べ、今後ロシアが日本に譲歩する可能性はないとの見方を示したと伝えた。
この高官は、東シベリアのクラスノヤルスクで行われた橋本龍太郎首相とエリツィン大統領(いずれも当時)の非公式会談などが行われた1990年代に日本は領土問題解決の歴史的チャンスを逃したという見方に賛成かと聞かれ「どのロシア大統領もその方向に進むことはないと信じる」と強調。北方領土問題でロシアは「自らの立場を変えたことはない」と指摘し、ロシアが妥協に応じることはないとの見方を示した。
2001年3月に、森総理とプーチン大統領により署名された「イルクーツク声明」は、「日ソ共同宣言」が交渉プロセスの出発点を設定した基本的な法的文書であることを確認し、その上で、東京宣言に基づいて4島の帰属の問題を解決して平和条約を締結すべきことを再確認したものとされていて、日本政府としてはあくまでも4島を交渉の俎上に載せています。
2003年1月、小泉総理とプーチン大統領により採択された「日露行動計画」でも、4島の帰属の問題を解決して平和条約を締結し、両国関係を完全に正常化するとしているので、そのプーチン大統領が、「日ソ共同宣言」にまで逆戻りすることもおかしいし、ロシアの現状は、それさえも危ういのが現状です。
プーチン次期大統領が北方領土問題の最終解決を目指したいと - 遊爺雑記帳
ただし、遊爺が何度も唱えているのは、もう一つのロシアの現状です。
資源の輸出で経済成長を成し遂げているロシアの天然ガスが、主力ガス田が枯渇し極東や北極での高度な技術と、高コストを必要とする新規開発を迫られていること。欧州での脱露依存から販売量が減り、中国への販売交渉も難航し天然ガスの販売先に苦慮していること。シェールガスの出現で、市場が軟化していること。等々で苦境にあるロシアは、黙っていれば日本に天然ガスを買ってもらうために擦り寄って来ます。
もとより、欧州と同様に、エネルギー安全保障上、ロシアに依存することは禁じ手ですが、4島返還し平和条約を結ぶと言うことなら、シェールガスの本格輸入が可能となるまでの間、スポット的な購入は応じるということで交渉すればよいのです。
野田、玄葉氏など、民主党政権が、焦ってロシアに擦り寄ることも必要ありませんし、なにより、あの駄目総理で名を馳せた森氏をいまさら引っ張り出しても、ろくなことになりません。鳩が足を引っ張ったのと、同じ結果が目に見えています。
「外交は超党派で行うべき」には賛成しますので、どうせ頼むのなら、「日露行動計画」でプーチン大統領と交渉した小泉氏に頼めば、良い結果の望みも持てるでしょう。
この梅の花の名前は、姫千鳥
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