遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

習近平 新5か年計画の成長目標6.5%以上と表明 

2015-11-04 23:58:58 | 中国 全般
 中国の経済成長率の原則について、李克強首相が訪韓時に、6.5%の数値を口に出しました。
 今年3月の、第12期全国人民代表大会(全人代)の第3回会議で、李克強首相は2015年の実質経済成長率の目標を14年より0.5ポイント下げ、「7%前後」とする方針を正式に表明し、「中国経済は『新常態(ニューノーマル)』に入った」と表明していたことは諸兄がご承知の通りです。
 そして、2015年7~9月期の実績が、6.9%となり、韓国での、6.5%発言に至っていました。そして、習近平の新5か年計画の成長目標6.5%以上発言が登場です。
 減速する成長率を、衝撃を減らすよう、周到に段階的に公表している涙ぐましい姿が印象的ですね。世評は、マイナス成長との声も出始めているくらいですから、6%でも眉ツバで聴いている人が大多数だと思いますが。6%でも日本や先進諸国に比べれば十分高い値(しかも分母が増大しているので額では大きな数字となる)ですが、7%を切ると成長の陰に隠されていた、経済格差による負の部分が噴出すると言われていて、危険ラインとされていたのですね。

 
中国7%成長に目標下げ 全人代開幕、軟着陸めざす  :日本経済新聞
 
習氏 成長目標6.5%表明 新5か年計画 安定成長へ転換図る (11/4 読売朝刊)

 【北京=鎌田秀男】中国国営新華社通信は3日、習近平国家主席が、2016~20年の経済・社会政策の柱となる「第13次5か年計画」について説明し、同期間の経済成長率について「最低ラインは、年平均6.5%以上だ」と述べた
と伝えた。今後5年間の国内総生産(GDP)成長率目標を現行の「年平均7%」から引き下げ、安定成長を図る方針を表明したものだ。
 
政府は20年のGDPと国民の平均収入を10年の2倍にする目標を掲げている。習氏は「7%前後の成長を保つことは可能だ」と述べつつ、「直面する不確定要素も多い」ため目標引き下げに踏み切ったと強調
した。
 一方、中国共産党は3日、
新5か年計画制定に関する「提言」を発表した。経済構造転換などを通じて中高速の成長を維持する姿勢を改めて打ち出す一方、中国軍が軍隊の情報化などを目指して着手した改革を20年までに「基本的に完成する」方針も示した。提言では、「長期的な見通しは変わらない」としつつ、技術革新力の不足や生産過剰といった産業面の課題を挙げ「発展のバランスと調和を欠き、持続不可能な問題が際立っている
」と指摘した。
 構造改革の焦点となる国有企業改革では、国有資産の管理を強め、民間企業の新規領域への参入を推奨する。貧困撲滅や収入格差の縮小など、社会的弱者への配慮も強調し、定年退職年齢の段階的引き上げや社会保険料の引き下げ、「一人っ子政策」の廃止で新生児が増えることを見越した出産保険の拡充も盛り込んだ。
 具体的な計画は、来春の全国人民代表大会(国会)で正式に決定する。

 経済格差の負の問題が噴出すると言われ、拘ってきた7%を割る6.5%を言い訳しながら公表せざるをえない苦しさが、ひしひしと伝わってきますね。業績が振るわない時の決算発表に携わり経験された方なら、苦しさの一端はよく理解いただけると思いますが、命を狙われて警戒を強化していると言われる習近平。目標の未達は虎退治で痛めつけられている抵抗勢力には、格好の反撃材料となります。目標の引き下げが続くのは、実態が苦しい証でもありますね。
 日本への影響も出始めているようですね。
 

中国 生産設備に過剰感 稼働率低下 赤字覚悟で輸出 (11/4 読売朝刊)

 中国国内にある製鉄所や工場など生産設備の過剰感が強まり、経済に深刻な影響が出始めている。成長鈍化で稼働率が急速に低下したことが背景にあるが、政府は雇用問題に配慮して工場閉鎖や生産調整などの有効な手だてを打ち出せていない
。中国企業による低価格での輸出攻勢にもつながっており、日本企業の業績にも大きな影響を与えている。 (北京 山下福太郎)

 企業トップらで作る
日中経済協会の訪中団は2日、産業政策を担う工業情報化省の幹部と北京市内で会談し、過剰な生産能力の解消を強く求めた
。団長の宗岡正二・新日鉄住金会長は「世界中が今後の中国のあり方に大変注目している」と指摘した。訪中団は4日に経済の責任者である李克強首相とも会談し、同様の申し入れをする方針だ。
 最も過剰感が強いのが、鉄鋼分野だ。中国は世界の生産能力の半分を持つが、国内の生産能力の3割強に当たる約4億トンが稼働率の低い過剰設備とされる。その分だけで日本国内の全生
産能力の4倍に上る。
 「
中国は余った設備を使って生産しても国内でまかなえず、赤字覚悟で輸出する」(日本の鉄鋼大手首脳)という悪循環に陥り、今年上半期の中国の鋼材輸出量は約28%も増加した。中国が輸出量を増やしていることを受けて、鋼材の国際市場価格は下落傾向が続く

 中国の設備が過剰になったそもそもの原因は、2008年のリーマン・ショック前後に、4兆元(当時で約60兆円)規模の経済対策を行ったことにある。
 当時、欧米経済が失速する中、中国の国営企業が製鉄所や工場を相次いで建設するなど積極的な設備投資を行い、「世界経済は中国に救われた」(経済団体首脳)格好となった。
 ただ、
ここ2~3年の中国の成長鈍化で当時の大規模な設備投資があだとなり、生産能力の過剰感が一気に強まった
。過剰設備の規模は対国内総生産(GDP)比で15%程度に上るとの試算もある。工業情報化省の幹部は2日、「中国の当面の経済発展で突出した問題だ」との認識を示した。
 中国政府は13年10月、新規の工場建設の抑制や国内需要の拡大を柱とした対策を打ち出した。ただ、
生産過剰の解消に欠かせない工場の大規模な閉鎖や再編については、大量の失業が社会不安を招きかねないとして慎重
で、効果を上げられずにいる。

日本企業の業績に悪影響
 中国の過剰設備問題は、日本企業の業績にも深刻な影響を与え始めている。
 新日鉄住金など
鉄鋼3社は10月下旬、中国の輸出攻勢による市況の急激な悪化などを理由に、16年3月期の経常利益見通しを15~50%、それぞれ下方修正
した。
 日産自動車も2日、中国での年間販売目標台数を当初から5万台減の125万台に引き下げた。西川広人副会長は記者会見で、「(産業用に使われる)小型商用車や大型トラックが落ち込んでいる」と述べた。中国人の「爆買い」で業績好調な百貨店は「富裕層の来日減が懸念され、先行きは不透明だ」と不安顔だ。
 みずほ総合研究所の坂中弥生氏は、こうした直接的な影響に加えて、「企業心理も悪化すれば、国内での設備投資が先送りされる可能性がある」と指摘する。
 日本は高度成長期を過ぎた80年代以降、生産拠点の売却や閉鎖、海外移転を通じて過剰な国内設備の整理を進めてきた。日本企業の間では「中国も高度成長から中速成長に移行しつつある。日本の経験を生かして過剰設備の問題を解消すべきだ」(大手銀行首脳)との声も出ている。(秋田穣)

 日中経済協会の訪中団は、過剰な生産能力の解消を強く求めたのだそうですが、雇用問題に配慮して工場閉鎖や生産調整などの有効な手だてを打てない。稼働率を維持せざるを得ず、ダンピングして輸出で消化するしかない。そしてそれが、世界の市況を悪化させ、日本にも悪影響を及ぼしていると。。
 日本の先例は、中国でも研究して知っていても、雇用悪化が進み、政権への国民の非難が高まれば、正義の味方としての虎退治で得た国民の支持率が頼りの習近平政権が、危機に瀕することになるので、着手出来ないジレンマがあるのですね。
 
 余剰設備を稼働させて雇用を維持しても、赤字が増えていずれは破綻する。余剰設備を整理すれば、失業が増大し、政権の支持を失う。
 進退窮まった習近平と中国経済。
 日本は、影響を最小限にとどめる防御策をとらねばなりませんが、中国にリストラを迫るだけなのでしょうか。
 南シナ海、東シナ海での力による現状変更を止め、事実を歪曲した歴史認識のプロパガンダを止めれば、日本企業の投資が復活することを教え、世界のルールを守る、安心な国への変身を促す道はどうでしょう?
 そんな変身が可能な国なら、苦労はしない!!!
TPPで、インドネシアやタイも入れるなど仲間を増やしていくことで、中国をけん制し変身を促す道は選択肢のひとつとなる?



 # 冒頭の画像は、日中経協の宗岡正二会長(左)と中国国際貿易促進委員会の姜増偉会長




  この花の名前は、福寿草


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