遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

北朝鮮 昨年末の討議の重大問題とは、大虐殺人事だった

2020-01-31 01:23:56 | 北朝鮮 全般
 昨年末、対米クリスマスプレゼント予告の実施がなく、異例の日数をかけた党中央委員会総会や「新年の辞」の発表が見送られた北朝鮮。
 そこでは、ICBMや核実験の検討ではなく、大虐殺人事が進められていたと解説しておられるのは、重村智計東京通信大教授。
 「重大問題」を、ICBM発射実験や核実験の再開、人工衛星の発射と誤解してしまったいい加減な見通しを重ねる日本の「テレビ芸者」。自らの見立て違いを誰も釈明することはなかったと、重村教授。
 
「大虐殺人事」と文在寅メンツ潰しで透ける金正恩政権のいらだち 重村智計(東京通信大教授) 2020/01/29

 北朝鮮では、昨年の大晦日(おおみそか)から新年にかけて、幹部の「大虐殺」が行われていた。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の側近とされる李洙墉(リ・スヨン)党副委員長と李容浩(リ・ヨンホ)外相の姿が消えた。2人は党中央委員会総会の終了後に撮影された記念写真に写っておらず、各国の情報機関は解任と判断した。

 李党副委員長は元スイス大使で、金委員長のスイス留学の面倒を見た「恩人」だ。スイス銀行に預けられた秘密資金の管理者であり、多くの秘密を握っている。
 そんな「キーマン」の解任だけに衝撃は大きい。
これで、祖父・金日成(キム・イルソン)主席と父・金正日(キム・ジョンイル)総書記に仕えた老幹部はほぼ一掃され、金委員長直属の「若手家臣団」がずらりと並んだ。
 解任された老幹部たちは「若造に何ができるか」と不満を隠さなかった、と平壌(ピョンヤン)では噂されている。
北朝鮮は解任された高官の氏名を公表していない

 
1月1日、朝鮮中央通信が大晦日に終了した党中央委総会で新たな幹部人事が決定したと報じた。同通信によると、党副委員長に4人が任命されており、同数の4人が解任されたことになる。そのうちの1人が李洙墉氏だ。さらに、政治局員3人と政治局員候補6人が入れ替わり、10人の党部長や4人の閣僚も交代したと報じられた

 およそ20人の最高幹部クラスが新任された。
公表されない解任と新任の幹部を含めれば、100人規模の人事が行われたことは想像に難くない。文字通り「大晦日の虐殺人事」である

 ところが、
メディアはこの大人事異動を無視した人事の裏には、平壌の勢力争いが常に隠されている。クーデター容疑で処刑した叔父の張成沢(チャン・ソンテク)国防委員会副委員長につながる高官の残党が、粛清されたとの観測がある

 唯一うまく立ち回り、
生き残ったのは金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長だけだ。なかなかしぶとい男である。

 北朝鮮は
昨年12月20日に、年末の党中央委総会で「重大問題を討議、決定する」と発表していた。ただし「重大問題を討議する」と述べても、「(重大問題を)決定する」と表現したわけでない。

 「重大問題」について、
日本のテレビでは、あるコメンテーターが「大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験と核実験再開の決定」という誤った見通しを述べた人工衛星を発射する可能性を指摘している人もいた

 だが、予想していた「重大決定」がなかったにもかかわらず、自らの見立て違いを誰も釈明することはなかった。
いい加減な見通しを重ねるコメンテーターは、業界で「テレビ芸者」と呼ばれる。元外交官で評論家の宮家邦彦氏からも「朝鮮問題の専門家は、ウソ解説をしてもバレないからいい」とからかわれてしまう。

 では、なぜ「重大問題」を、ICBM発射実験や核実験の再開、人工衛星の発射と誤解してしまったのか。重大問題を「日本の」ものだと考えてしまい、北朝鮮にとってのもの、という理解がなかった。
 要するに
北朝鮮の「重大問題」とは人事だったのである。結局その番組では、「それは違う」と反論した専門家ではない弁護士だけが「やるやる詐欺」に騙されなかった。常識が専門家に勝った瞬間である。

 
常識で考えれば、ICBMや核実験の再開は国連の追加制裁を招くだけだ。それに中国とロシアも面目を失う。

 
中央委総会の演説では、北朝鮮の指導者が「世界は新たな戦略兵器を目撃する」と述べた日本のメディアも「新たな戦略兵器示唆」などと、演説を大きく取り上げた。

 しかし、
金委員長は「目撃する」と口にしただけで、「新たな戦略兵器を発射する」とは述べてはいない。だから、勝手に「発射」と解釈してはならないのである。「やるやる詐欺」の天才、北朝鮮であれば、パレードで公開するぐらいが関の山だ。

 
金委員長は演説の最後に「われわれの核抑止力の幅と深度は、米国の今後の北朝鮮に対する態度によって調整される」と強調した。トランプ大統領へのメッセージであった。トランプ大統領に「少し譲歩してくださいよ。私も軍の強硬要求に苦労している」と訴えている

 「幅」「深度」といった表現は曖昧で、具体的な言葉を避けることで米国を刺激しないようにした。また、直接「ICBM実験」や「核実験」の言及を避けている。
この弱気発言の裏には、北朝鮮経済の困難がある。また、北朝鮮軍の「核は絶対に手放さない」構えとトランプの「完全非核化」要求のはざまで揺れる金委員長の苦境がにじみ出ている

 北朝鮮は昨年の大晦日に党中央委総会を終えた。4日間の会期、それも大晦日まで行われたのは異例だ。実は、米朝両国は
年末までギリギリの交渉を秘密裏に行っていたその合意を新年元旦に公表し、「指導者の成果」を大々的に宣伝するつもりだったが、目論見は外れた

 交渉の目的はズバリ、第3回米朝首脳会談の実現と米朝双方の譲歩であった。だが、
大晦日までに合意できなかったため、元日恒例の施政方針に当たる「新年の辞」の発表が見送られたのである。

 秘密交渉を裏付けるような
奇妙な談話が、北朝鮮外務省の金桂冠(キム・ゲグァン)顧問から発表された。1月11日に「トランプ大統領から8日に、金委員長宛ての書簡が届いた」ことを明かしたのだが、「韓国の仲介は必要なかった」とも述べていたのである。金委員長とトランプ大統領の良好な関係を強調した談話に、「韓国の仲介はいらない」とわざわざ付け加えたのはなぜか

 実は前日の10日に、
韓国大統領府の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長が「トランプ大統領の書簡を金委員長に送るよう依頼され、南北間の『緊急連絡通信』で伝えた」と述べていた。この対応に北朝鮮側が激怒、「文在寅(ムン・ジェイン)のやるやる詐欺」だと受け止めたのである。翌日、直ちに異例の反応を行ったことでも明らかだ。

 
金顧問は「トランプ大統領の書簡は北朝鮮に直接送られてきた。(文大統領は)米朝間の特別な連絡ルートの存在を知らないようだ」と皮肉った。それどころか、「米朝間の『仲介者』役割への未練があるようだが、米朝指導者の親しい関係に割り込むのは僭越(せんえつ)だ」と韓国を激しく非難した。

 談話で、南北対話を呼びかける文大統領の横っ面を引っぱたいた格好だ。
文大統領のメンツは大きく傷ついた
 文大統領としては、米朝対話で韓国が大きな役割を果たしている、と宣伝するはずが、北朝鮮を「余計なことをするな」と怒らせ、かえって
「南北対話には応じない」と通告されてしまったのだ。

 
金委員長は、文大統領を「嘘つき」と表現するほど信用していない。米国の了解なしには、南北経済協力事業の開城(ケソン)工業団地や金剛山(クムガンサン)の再開もできない。「独自には決定できない」と分かったからだ。

 どうやら、南北の首脳会談と対話は2020年になっても無理のようだ。


 年末の党中央委総会で「重大問題を討議、決定する」と発表していた「重大問題」とは、「大虐殺人事」のことだったと重村教授。
 金正恩の側近とされていた、李洙墉党副委員長と李容浩外相の姿が消えた。各国の情報機関は解任と判断したと。
 これで、祖父・金日成主席と父・金正日総書記に仕えた老幹部はほぼ一掃され、金委員長直属の「若手家臣団」がずらりと並んだのだそうです。100人規模の人事が行われたことは想像に難くない。文字通り「大晦日の虐殺人事」であると。

 中央委総会の演説では、北朝鮮の指導者が「世界は新たな戦略兵器を目撃する」と述べた。日本のメディアも「新たな戦略兵器示唆」などと、演説を大きく取り上げた。
 金委員長は「目撃する」と口にしただけで、「新たな戦略兵器を発射する」とは述べてはいない。
 金委員長は演説の最後に「われわれの核抑止力の幅と深度は、米国の今後の北朝鮮に対する態度によって調整される」と強調した。
 「幅」「深度」といった表現は曖昧で、具体的な言葉を避けることで米国を刺激しないようにした。
 直接「ICBM実験」や「核実験」の言及を避けている。
 トランプ大統領に「少し譲歩してくださいよ。私も軍の強硬要求に苦労している」と訴えているのだと重村教授。
 この弱気発言の裏には、北朝鮮経済の困難がある。北朝鮮軍の「核は絶対に手放さない」構えとトランプの「完全非核化」要求のはざまで揺れる金委員長の苦境がにじみ出ているとも。
 
 米朝両国は年末までギリギリの交渉を秘密裏に行っていたと重村教授。
 北朝鮮外務省の金桂冠(キム・ゲグァン)顧問は、「トランプ大統領から8日に、金委員長宛ての書簡が届いた」ことを明かしたのだが、「韓国の仲介は必要なかった」とも述べていた。「韓国の仲介はいらない」とわざわざ付け加えたのはなぜか。
 実は前日の10日に、韓国大統領府の鄭義溶国家安保室長が「トランプ大統領の書簡を金委員長に送るよう依頼され、南北間の『緊急連絡通信』で伝えた」と述べていた。この対応に北朝鮮側が激怒。
 金顧問は「(文大統領は)米朝間の『仲介者』役割への未練があるようだが、米朝指導者の親しい関係に割り込むのは僭越だ」と韓国を激しく非難したのだそうです。

 金委員長に信用されていない文大統領のメンツは大きく傷つけられ、「南北対話には応じない」と通告されてしまったと重村教授。

 追い詰められる一方の文在寅氏。きたる選挙で韓国国民の方々は、どのような投票結果を示されるのでしょうか。
 
 北朝鮮の記念日「光明星節」(2月16日)に合わせた、金正恩委員長の暴発に備え、空母打撃群を配備する米国。
 イラン革命防衛隊の精鋭『コッズ部隊』のガーセム・ソレイマニ司令官殺害に怯える金正恩委員長。
 2つの米空母打撃群が、朝鮮半島周辺に同時展開 - 遊爺雑記帳

 大統領選モードのトランプ氏。
 米朝関係はどう動くのでしょうか。



 # 冒頭の画像は、朝鮮労働党中央委員会総会に出席した金正恩党委員長

 

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ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)
誰がメドベージェフを不法入国させたのか-国賊たちの北方領土外交




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