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4~6月期の実質GDPが年率でマイナス7.1%となったことで、消費税アップ反対論者が勢いを増して姦しい今日この頃ですが、「消費増税見送りはアベノミクスの敗北宣言」と唱えておられるのが、熊谷亮丸・大和総研チーフエコノミスト。
消費増税を法律で定めた通り(極度な経済情勢悪化が無い限り)実施した場合と、延期・中止した場合の功罪の比較が判断基準となりますが、消費増税反対論者の声ばかりが聞こえてくるようになった今、言い尽くされていた増税実施論を、新鮮に感じてしまうのは遊爺だけでしょうか。
安倍政権が10%への消費増税を判断する時期が近づいている。4~6月期が大幅なマイナス成長となり、増税への慎重論も出始めている。熊谷亮丸・大和総研チーフエコノミストは「増税を見送れば諸外国からはアベノミクスの敗北宣言と取られかねない」と警鐘を鳴らす。(聞き手は渡辺康仁)
<中略>
増税を見送れば金融政策と成長戦略は台無しに
━━消費税を10%に引き上げるかどうかが12月にかけての重要な政策テーマです。どう考えますか。
熊谷:一般論として言えば、消費増税はやらざるを得ないし、やるべきだという考え方です。例えば中国のバブルが弾ける蓋然性が高くなったり、リーマンショックに匹敵する金融危機が起こったりするなどの状況にならない限り、消費増税はやるべきだと思います。
増税の先送りは一見すると景気に優しいように思えますが、アベノミクスの1本目の矢の金融政策と3本目の矢の成長戦略を台無しにしてしまう恐れがあります。
日銀の量的・質的金融緩和が諸外国からマネタイゼーションだと思われてしまうと金融緩和は効かなくなります。消費増税を見送ることのリスクを指摘した黒田東彦・日銀総裁の発言を重く受け止める必要があります。
仮に消費増税をして景気が悪くなったとしても、言ってみれば小雨の状態です。その時は財政や金融政策など打つべき手段は残されています。他方で、増税を先送りして金融市場の信認が崩れてしまうと、手の打ちようがなくなります。円だけでなく株や債券も売られるトリプル安になり、まさに台風や嵐の状況になりかねません。この2つを比較衡量して考える必要があります。
━━増税の見送りは成長戦略にどう影響するのでしょうか。
熊谷:2015年10月に消費税を10%に引き上げることは法律で決まっていますから、これを変えるには新たな法案を出す必要があります。成長戦略を加速させるための国会にしなければならないのに、消費税国会になってしまうリスクがあります。自民党の財政再建派が反旗を翻したり、場合によっては安倍降ろしの動きが出たりして、混乱する恐れがあるでしょうね。現実に決まっていることを引っくり返そうとすると、3本目の矢が事実上打てなくなってしまいます。
消費税を8%に引き上げた前回の政府の判断は正しかったと思います。3%増税して5.5兆円は経済対策で国民に返す。景気対策をやったとしても、それは1年限りです。増税をすればその先もずっと税収は上がります。ある種の民主主義のコストとして短期的な経済対策をやったとしても増税は予定通りやる必要があります。
━━安倍政権が消費増税を判断する際には7~9月期のGDPが一番重視されることになります。現時点での予測の4.8%成長なら、景気の面からは問題ありませんか。
熊谷:政治的には2%成長が一つのめどになるでしょう。私はマイナス成長でなければいいのではないかと考えています。ただ、7~9月期のGDPだけを見て決めるのはおかしい。景気の趨勢や基調を見極めることが重要です。夏の天候不順の影響で景気の勢いが鈍っているとしても、アベノミクスによって所得が戻るメカニズムが途切れたわけではありません。
日銀の追加緩和は来年以降の公算
━━4~6月期の実質GDPは年率で7.1%も落ち込んでいます。7~9月期が若干のプラス成長でも増税はできるのでしょうか。
熊谷:どこに線を引くかは難しいでしょうね。駆け込みもあって1~3月期が大きく伸びています。そこから落ちて再び上がっている状況です。プラス成長であれば良しとするということでいいと思います。
政治的にはここで増税を見送ったり先延ばししたりすると、諸外国からはアベノミクスの敗北宣言と取られかねません。延期するにしても、いつまで延ばすのか。その時に増税できる環境になっているという確証はあるのか。そうした説明責任などを含めて考えると、予定通り上げるのが得策でしょう。
━━日銀は景気の状況に応じて柔軟に動くと思いますか。
熊谷:黒田総裁は戦力の逐次投入はしないと言っています。やるべきことは昨年の4月にやっているということなのでしょう。追加の金融緩和は来年以降になる可能性が高いと見ています。実際の物価上昇率が目標とする2%から乖離していても、今年10~12月の段階であれば、この後に一気に伸びると強弁できます。
しかし年明けになると、さすがに残された期間との兼ね合いで達成が難しいという客観情勢になるかもしれません。黒田総裁はプラグマティックな方なので消費増税は必要だと認識しています。増税をにらんで10~12月期に動く可能性はありますが、メーンシナリオは年明け以降です。
消費増税をすれば、反動でGDP値が下がるのですが、そこには事前・事後に打つ手はある。延期・中止をすれば、アベノミクスの1本目の矢の金融政策と3本目の矢の成長戦略を台無しにしてしまう恐れがあるとの指摘です。
日銀の量的・質的金融緩和が諸外国からマネタイゼーションだと思われてしまうと金融緩和は効かなくなり、アベノミクスの一本目の矢の金融政策に破綻をきたす。更に、増税の法律を覆す法律の作成が必要となり、そちらに政策論議の勢力が費やされ、成長戦略政策議論や法案成立に手が回らなくなり、成長戦略の第三の矢がうてなくなると言うのです。
しかし、8%への値上げ時も事前事後の策は施すとし予算措置もなされました。結果はマイナス7.1%。これを想定内と言うひともいれば、想定以上の落ち込みと言い、だから増税を反対したと言いつのる人もいます。
事前事後に施しているはずの政策が何と何で、何処までが実施されたのか、実施されていない者がどれだけあるのか。実施されたものの効果はどうだったのかの議論は聞こえてきません。せいぜい、公共事業は予算はついても入札不良や人手不足で実施されていないものが多いといった声が聴かれる程度です。
そのきちんとした検証・評価もなく、次回も対策をとればいいと言っても、効果のある対策が施されるとは言えないというのが、増税反対論者の方々の指摘。一理あります。
増税を見送れば、アベノミクスの一本目の矢の金融政策に破綻をきたすと共に、見送る法案作成の為に、第三の矢の成長戦略にも着手出来ないと言う論は、もっと脅威です。
更に、ここで増税を見送ったり先延ばししたりすると、諸外国からはアベノミクスの敗北宣言と取られかねないとの指摘です。つまり、計画通りの増税が出来ないのは、政策が誤りだったとみられると言うことで、こちらももっもな話でもあります。
そして、景気は気からということで好転させたアベノミクスも、諸外国の評価を失うという空気が蔓延してしまえば、破綻してしまいます。
そこで増税の実施判断基準をどこに置くか、その基準を反対論者にも、実施論者にも一定の理解を得て判断することが重要となります。
熊谷氏は、「7~9月期のGDPだけを見て決めるのはおかしい。景気の趨勢や基調を見極めることが重要」としつつも、「マイナス成長でなければ(増税しても)いい」としておられます。
今後更に議論は高まります。
国際発行額が新記録を更新しています。このまま放置してよい話ではありません。
先ずはプライマリーバランスの改善が求められています。経済成長の源となる人口減対策が急務で、少子化対策としての例えば待機児童ゼロ政策、年金の確保への財源確保が急がれます。
10%への残りの2%の増税や、それでも足りないと言われる更なる税収増へ向けての議論がこれから尽くされねばなりません。
# 冒頭の画像は、自民党新執行部
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この花の名前は、クロッカス
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