中国の輝かしい成長の影で、水不足と水質汚染が静かに進行しているのだそうです。
黄河断流は、1970年代から見られるようになり、1990年代に、頻繁かつ長期的に見られるようになったのだそうで、水不足は黄河だけではなく、中国北部の多くの川が干上がっているのだそうです。
驚異的な経済成長を遂げる中国では、農工業の開発と都市化が急ピッチで進み、水需要が急増して、黄河が干上がりつつあり、しかも、わずかに残った水もひどく汚染されているのだと。
死を招く汚染の源
乾ききった大地が、目の前に広がっている。ここ中国北部の乾燥地帯では、雨はもう何カ月も降っていない。空を暗くするのは、湿った雨雲ではなく、吹き荒れる砂嵐ばかり。草木などとても芽を出しそうもない、カラカラの荒野だ。
だが、黄河が蛇行するあたりで、その荒涼とした風景の果てに、目を疑うような沃野が開けてくる。緑の稲穂が波打つ水田、黄色に染まった広大なヒマワリ畑、青々とした葉を広げるトウモロコシ、小麦、クコの畑。照りつける日差しの下で、どの作物もよく育っている。
その光景は砂漠に浮かぶ蜃気楼ではない。チベット高原から渤海まで全長5460kmを流れる黄河。そのちょうど中ほどに位置する、寧夏回族自治区北部のオアシスだ。秦の始皇帝が万里の長城の衛兵たちの食料を調達しようと、農民の一団をここに送りこみ、人工水路を建設させ、耕作させたのがそもそもの始まりで、2000年以上の歴史をもつ。
<中略>
だが、この地上の楽園は急速に失われようとしている。驚異的な経済成長を遂げる中国では、農工業の開発と都市化が急ピッチで進み、水需要が急増して、黄河が干上がりつつあるのだ。しかも、わずかに残った水もひどく汚染されている。
人工水路のそばに行ってみると、目を疑うような光景があった。血のように赤い工場排水が排水口から勢いよくほとばしり、水路の水が毒々しい紫色に染まっていた。この水は黄河に注いでいる。このあたりには、以前は魚やカメがたくさんいたそうだが、いまでは水質汚染が進み、飲み水はおろか、農業用水としても使えなくなっている。沈の飼っていた2頭のヤギは、水路の水を飲んだ数時間後に死んでしまったという。
死を招く汚染の源は、畑の川上に位置する都市、石嘴山に立ち並ぶ化学工場や製薬工場だ。この街は、いまでは世界最悪の公害都市に名を連ねている。「自分の体にじわじわ毒を盛っているようなものですよ。まったく、母なる河にこんなことをするなんて」と、沈は怒りに声をふるわす。
母なる大河の厳しい現実
中国の人々にとって、黄河は魂のよりどころとも言うべき河だ。チベット高原の標高およそ4300mの秘境にその源をもち、中国北部の平原を滔々と流れる大河。だが、中国人が「母なる河」と呼ぶその大河が、いまや「死の河」になりつつある。工場や家庭の排水に汚染されたうえ、設計に問題のあるダムが次々に建設されたために河口付近では流量が極端に減っている。1990年代には、河口まで到達せずに流れが途絶えてしまう「断流」現象が、ほぼ毎年のように起こった。
黄河は流域の1億5000万人の生活を支えているが、古くから親しまれてきたこの大河が枯れれば、その影響は、さらに広い範囲に及ぶだろう。黄河の危機的な現状が映しだすのは、中国の輝かしい成長の影の部分だ。急速な発展とひきかえに環境が荒廃し、人々の暮らしになくてはならない水が枯渇しつつある。
中国の水資源量は米国とほぼ同じだが、中国はそれだけの水で米国の5倍近い人口を支えている。そのため、この国では水は昔から貴重な資源だった。とくに乾燥地帯の北部では、水不足が深刻だ。中国全体の15%にすぎない水資源量で、国の人口の半分近くを支えているからだ。
しかし、水危機を急速に悪化させた最大の元凶は、この30年ほど猛烈な勢いで進んだ工業化だ。超大国をめざして、あくなき成長を続ける中国。人々は河川の水や地下水を大量に汲みあげるばかりか、残った水を取り返しがつかないほど汚染してきた。このままでは「未来の世代に破滅的なツケが及ぶ」と、世界銀行が警告しているほどだ。
この警告が大げさだというのなら、黄河流域で起きている事態に目を向けてほしい。砂漠が広がり、砂嵐が吹き荒れて、穀物が栽培できなくなり、何百万人もの“環境難民”が移住を余儀なくされている。有毒な化学物質が流れこみ、黄河の50%はすでに生物が棲めないほど水質が悪化。流域では、ガンや先天性の異常など、水質汚染による病気が急増している。
公害に怒った住民たちの抗議行動は、2005年だけでも中国全土で5万1000件にのぼり、社会不安につながる懸念もある。こうした問題を一つでも放置すれば、中国の成長にブレーキがかかるばかりか、世界経済にも影響が及びかねない。問題が重なりあえば、長期的には壊滅的な事態になるだろう。
断流の原因について、中国政府は地球温暖化に求め、自国の災害の責任を、二酸化炭素を大量に出している先進国に転嫁しようとしている様ですが、自然流量のうち、人間が使っている水の割合を表す人工消費率が年々上昇していることの原因がおおきいとされています。
人口消費率の上昇原因は、人口増と水の利用効率の低さ。
中国政府は、1999年以降、黄河断流の対策に乗り出し、「水量の統一的管理」を始め、中国政府の2006年の発表によると、黄河断流はこの7年間発生していないのだそうですが、水不足の問題自体は解消していないのだそうです。
中国は自国民を養い続けることができるか
中国国際放送局が伝えているように、現在の中国では、北部のみならず、従来は湿潤だった南部でも旱魃が起きている。今後、長江流域でも三峡ダム建設に伴う生態系の破壊が進むことを考慮に入れるならば、中国全土が砂漠化するという可能性も否定できない。そうなれば、中国で食べていくことができなくなった環境難民が周辺諸国へ流出するという事態も想定できる。
もちろん、中国人にも生きていく権利はあるし、大躍進の時のように大量の餓死者が出るのは好ましくないが、他方で、13億人を超える民が、バッタの大群のように、緑を食い尽くしながら移動するということになれば、周辺諸国にとっては脅威である。中国政府は、水利用の効率化を図ったり、緑化を推し進めたりして、砂漠化を食い止めるように努力するべきだ。
中国の環境汚染は、対岸の火事と放置できません。
砂漠化に伴う黄砂(付着している汚染物が問題)の飛来量増大、福岡や離島の五島列島での光化学スモッグの発生、ゴミの漂着の他に、緑を食い尽くしたバッタの様に押し寄せる環境難民が渡来してくるようになってはたまりません。
日中首脳会談では、石炭火力発電所から排出されるCO2を油田地下に貯留する事業協力を打ち出すのだそうですが、バンダを貸して(1億円の有償)なんておねだりする眉中外交でなく、アジアのリーダー国同士の立場で、言うことは言う、日本の国益にも繋がる支援は、恩を認識してもらう形で広く知られるように実施するトップ外交をお願いしたいのですが...。
台湾の踏み絵をかわした福田さんです。火事場での馬鹿力を発揮して貰うよう神頼みしかありませんが、願っています。
# 冒頭の写真は、黄河崩壊:汚染と水不足の現実 - ニュース - nikkei BPnetから入るbp special ECOマネジメント/ナショナル ジオグラフィック・スペシャル;黄河崩壊[前編] 汚染と水不足の現実の頁の写真「内蒙古自治区の化学肥料工場から垂れ流される汚水。湯気をたてて黄河上流域へと流れていく。」です。クリックするとリンク先の頁が開きます。
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