プーチンの戦争と言われるロシアによるウクライナ侵攻が、10か月を経過。戦況は、一進一退。
極寒機に入り、ロシアはミサイルやドローンで、ウクライナの市民生活に多大な影響を与えるインフラ施設攻撃を繰り返していますね。
世界の良識のある国々が、軍備支援をしたり、経済制裁網を敷き、ウクライナの軍や国民を支援しています。
日本は憲法の規定で軍事支援は出来ていません。限られた範囲での支援を行っています。
ところが、制裁どころか、貿易面ではロシアへの支援となる行動を行っています。
諸兄は、ご存知の方も多いことと存じますし、遊爺もサハリン1, 2での、「貫一・お宮」まがいのしがみつきの、日本財界の商工会議所や経団連トップと、岸田政権の姿勢は、疑問を持つ人々は少なくない。
軍事侵攻国・ロシアへの貿易マネー問題は、国内ではほとんど取り上げられることはないと、ジャーナリストの山田氏が取り上げていただいています。
日本の対露貿易は、1月から11月までの実績で、輸出入総額は昨年並み、輸入額は上回っていると、山田氏。
制裁網に参画しているのですから、輸出が減っていて当然なのですが、中古車の輸出は増えているのですね。TVのニュースで見たことはありましたが、1度きり。
今年1─11月のロシア向け中古乗用車の輸出量は18万688台、輸出金額は約2151億円で、2位のアラブ首長国連邦(11万1406台、約349億円)を引き離して断トツなのだそうです。
前年比で増えているのは、輸入。
11月のロシアからの輸入総額は1325億5000万円で、そのうちの約66%、約873億円は鉱物性燃料。
具体的には液化天然ガスと石炭。
サハリン1, 2から、米・エクソクモービル、英・シェルが撤退するなか、日本の財界と政府は、非友好国指定されているにも関わらず、米英の 2社が離脱したことに伴い新規に立ち上げられる新会社算入にしがみついていますね。
さらに、輸入では水産物も見逃せないと、山田氏。
1─10月のロシアからの水産物輸入(ウナギなど生きている魚以外)は1290億円で、チリに次いで2番目に依存度が高い。水産物輸入全体の約11%を占めていると。
「水産物は国内の加工業者などへの影響が大きい」として、規制は見送られたのだそうです。
「カニやウニなどロシア産がないと商売にならない」との水産関係者の声の他に、日ロ漁業交渉への悪影響を避けたいとの政治的判断も働いたといわれていると、山田氏。
その結果、ロシアからの水産物輸入額の全体は、10月時点で昨年1年間の水準(1368億円)に迫っている。たとえば、ロシア産のカニ輸入額は今年1─10月で約410億円と、昨年1年間の約380億円を軽く上回っているほどだと。
岸田首相は国民の声に耳を傾けることなく防衛費の増額、防衛力強化を拙速に決めているが、対ロ政策はどうするつもりなのか。物価高に苦しむ国民生活に追い打ちをかけるような増税を決めながら、経済制裁国に流れる巨額マネーは放置したままでいるつもりなのだろうかと、山田氏。
首相はウクライナ侵攻を「力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙」(12月10日の会見)と断じている。そんな相手に対しての制裁に“抜け穴”を残したままでいいのか! とも。
ウォール・ストリート・ジャーナルの記者は10日の会見で、天然ガスの輸入と中古車輸出について「この事実上の軍事支援をどのように位置づけますか」と質問したのだそうです。
岸田首相の答えは、「G7と足並みを揃えている」「日本への原油の輸出量は大幅に減っている」とはぐらかし、とても納得のいく内容ではなかったと、山田氏。
軍事侵攻国・ロシアへの貿易マネー問題は、国内ではほとんど取り上げられることはないが、米紙の記者は見逃さなかった。決して看過できない問題だからである。ロシアに対する毅然とした姿勢を示すべきだろうと、山田氏。
繰り返しますが、山田氏が指摘されている、物価高に苦しむ国民生活に追い打ちをかけるような増税を決めながら、経済制裁国に流れる巨額マネーは放置したままでいるつもりなのだろうかとの岸田氏への疑問。
岸田氏は、財務省と国民と、どっちを向いて政権運営をしているのでしょう?
# 冒頭の画像は、お正月用のカニ ロシア産?
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極寒機に入り、ロシアはミサイルやドローンで、ウクライナの市民生活に多大な影響を与えるインフラ施設攻撃を繰り返していますね。
世界の良識のある国々が、軍備支援をしたり、経済制裁網を敷き、ウクライナの軍や国民を支援しています。
日本は憲法の規定で軍事支援は出来ていません。限られた範囲での支援を行っています。
ところが、制裁どころか、貿易面ではロシアへの支援となる行動を行っています。
諸兄は、ご存知の方も多いことと存じますし、遊爺もサハリン1, 2での、「貫一・お宮」まがいのしがみつきの、日本財界の商工会議所や経団連トップと、岸田政権の姿勢は、疑問を持つ人々は少なくない。
軍事侵攻国・ロシアへの貿易マネー問題は、国内ではほとんど取り上げられることはないと、ジャーナリストの山田氏が取り上げていただいています。
日本の「対ロシア貿易」で驚愕の事実、制裁前よりも取引額が上回る異常事態に 600万円未満の自動車輸出はフリーパス、水産物の輸入は制裁の対象外 | JBpress (ジェイビープレス) 2022.12.29(木) 山田 稔
■輸出入総額は昨年並み、輸入額は上回っている
ロシアがウクライナに侵攻して10カ月が経った。厳しい冬を迎えたウクライナの人々は、ロシアによるインフラ施設攻撃による停電などの影響で、凍えるような寒さをしのぎながらの苛酷な日々を過ごしている。
その一方で、ロシアの一部の国民がタイのリゾート地で優雅な休暇を楽しんでいるシーンが報じられている。まったく、やりきれない話である。
さて、そのロシアとの関係で気になるデータがある。日本は現在、ロシアに対して経済制裁中なのだが、今年1─11月までの対ロ貿易の実態を検証すると、すでに輸出入総額は昨年並み、輸入額は昨年を上回っている。経済制裁中にもかかわらず、制裁前よりも取引額が上回るという異常な事態が起きているのである。これは見過ごせない問題だ。その内情を検証してみよう。
貿易統計によると、1─11月の対ロ貿易(累計)は、輸出5423億円に対し、輸入約1兆8252億円で、1兆2829億円の赤字となっている。輸入額は令和3年のトータル1兆5516億円をすでに2700億円超も上回っている。それだけロシア国内に日本から巨額の貿易マネーが流れ込んでいるということだ。
経済制裁下でいったい、どんな取り引きが行われているのか。輸出と輸入それぞれについて代表的な品目をチェックしてみよう。
■ロシアで人気となっている日本の高級中古車
輸出ではなんといっても中古車輸出が多い。今年1─11月のロシア向け中古乗用車の輸出量は18万688台、輸出金額は約2151億円で、2位のアラブ首長国連邦(11万1406台、約349億円)を引き離して断トツである。しかも、11月までの累計で昨年1年間の15万3271台をすでに上回り、輸出額は1100億円以上も増えているのだ。
ロシアでは経済制裁の影響で欧州などから部品が入らず、国内での自動車生産が激減しているうえ、ルーブル高で日本の高級中古車が買いやすくなった。高性能の日本車はかねてから人気だったが、国内の生産状況や為替事情で一段と日本の中古車人気が高まったのである。
いま、ロシアでは資産価値の高い300万円、400万円する日本の高級中古車が人気になっているという。その結果、日本国内の中古車市場の供給量が減って、価格高騰を招くという事態まで起きている。
この中古車輸出だが、経済制裁で対象となるのは600万円以上の高級車であり、それを下回るものは合法的に輸出することが可能だ。6月以降はトラックやダンプカーも制裁対象となったが、600万円未満の乗用車は依然としてフリーパスである。対ロ中古車輸出が空前の規模となっているのはこうした背景があるのだ。
■「ロシア産の水産物がないと商売にならない」
一方、輸入はどうか。11月のロシアからの輸入総額は1325億5000万円で、そのうちの約66%、約873億円は鉱物性燃料となっている。
具体的には液化天然ガスと石炭である。国際的なエネルギー資源獲得競争が激化するなかで、日本は依然としてロシアへの依存度を下げられないままでいる。日本の大手商社がサハリン2の契約を再締結したこともあり、この構図は簡単には崩れそうにない。
さらに、輸入では水産物も見逃せない。1─10月のロシアからの水産物輸入(ウナギなど生きている魚以外)は1290億円で、チリに次いで2番目に依存度が高い。水産物輸入全体の約11%を占めている。
米国は経済制裁の一環としてロシア産の水産物の輸入を禁じているが、日本は制裁の対象外である。3月に経済制裁の対象が発表された際、「水産物は国内の加工業者などへの影響が大きい」として見送られた経緯がある。
「たとえば、北海道の水産業者にしてみれば、ロシア産の水産物の禁輸は死活問題となります。近年、サケを筆頭に周辺の海域での漁獲量が大幅に減ってきていて、カニやウニなどロシア産がないと商売にならない状況なのです」(水産関係者)
さらに当時の状況下では、日ロ漁業交渉への悪影響を避けたいとの政治的判断も働いたといわれている。
その結果、ロシアからの水産物輸入額の全体は、10月時点で昨年1年間の水準(1368億円)に迫っている。たとえば、ロシア産のカニ輸入額は今年1─10月で約410億円と、昨年1年間の約380億円を軽く上回っているほどだ。
経済制裁下でも続いているロシア貿易のカギを握っているのは、輸入ではエネルギーと水産物、輸出では中古乗用車であることが歴然だ。
■ロシアの戦費まで“支援”している可能性も
ロシアがウクライナへの攻撃を中断する気配をまったくみせないなか、経済制裁のレベルは現状のままでいいのだろうか。輸出入に関する対ロ経済制裁の主な内容をピックアップしてみよう。
【輸出規制】
・トラックやトラクター向けの高出力ディーゼルエンジン
・産業用機械の制御に関わる半導体
・通信装置やセンサーなど
・量子コンピューターや3Dプリンターなど
・600万円超の乗用車
・20万円超のグランドピアノ
・4万円超の宝飾品、ウイスキー、腕時計など
【輸入規制】
・最恵国待遇の取り消し→関税率アップ
・機械類や一部の木材、ウオッカ、自動車など38品目
・石炭は段階的に削減し、最終的には禁止
・石油輸入の原則禁止方針を表明、12月には上限価格を超える原油、石油製品の輸入禁止を発表
これに対して米国は原油、天然ガス、石炭などエネルギーの輸入禁止、魚介類の輸入禁止などを打ち出している。米国自身が資源国であるという事情はあるにしろ、日本よりはるかに厳しい。
各国の経済制裁の結果、ロシアでは7─9月の実質GDP成長率がマイナス4%となり、3四半期連続でマイナス成長となった。外国企業の撤退や輸入部品の調達難により自動車をはじめ生産活動が大幅に制限されている。
一方、中国やインドなどがロシアからのエネルギー資源の輸入を続けていることが、ロシア経済の下支えになっているとの指摘もある。
2022年のロシアの原油輸出は7.5%増の2億4000万トンになる見込みとの報道もある。LNG生産も増えたという。
経済的にさまざまな面で追い詰められているのだろうが、制裁が決定的な効果をあげているとは言い難い状況だ。
日本とロシアとの間で輸出入が続いている品目が制裁除外となった背景に、エネルギー政策や国内の水産加工業者への影響などがある以上、一気に制裁を強化することは難しいかもしれない。しかし、このままでは結果的にロシアを資金面で“支援”しているのと変わらない。その一部が戦費に回っている可能性さえ否定できないのである。
自分が手放したクルマが、知らないうちにロシアに輸出されているかもしれず、正月用に購入したカニはロシア産かもしれない。ロシアからの鉱物資源で電気がつくられ、オフィスや家庭の暖房が動いている。対ロ貿易というと遠い話に聞こえるかもしれないが、実はわれわれ一般市民にとってもごく身近な問題なのである。
■国民には増税、制裁国に流れるカネは放置の岸田首相
岸田首相は国民の声に耳を傾けることなく防衛費の増額、防衛力強化を拙速に決めているが、対ロ政策はどうするつもりなのか。物価高に苦しむ国民生活に追い打ちをかけるような増税を決めながら、経済制裁国に流れる巨額マネーは放置したままでいるつもりなのだろうか。
そもそも、防衛力強化の背景には中国や北朝鮮と並んでロシアも脅威と位置付けているのだろう。しかも首相はウクライナ侵攻を「力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙」(12月10日の会見)と断じている。そんな相手に対しての制裁に“抜け穴”を残したままでいいのか。
この点を日本の記者は触れようとしないが、ウォール・ストリート・ジャーナルの記者は10日の会見で、天然ガスの輸入と中古車輸出について「この事実上の軍事支援をどのように位置づけますか」と問い質していた。
それに対する首相の回答は「G7と足並みを揃えている」「日本への原油の輸出量は大幅に減っている」とはぐらかし、とても納得のいく内容ではなかった。
軍事侵攻国・ロシアへの貿易マネー問題は、国内ではほとんど取り上げられることはないが、米紙の記者は見逃さなかった。決して看過できない問題だからである。ロシアに対する毅然とした姿勢を示すべきだろう。
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山田 稔のプロフィール
ジャーナリスト。1960年長野県生まれ。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。主に経済、社会、地方関連記事を執筆している。
■輸出入総額は昨年並み、輸入額は上回っている
ロシアがウクライナに侵攻して10カ月が経った。厳しい冬を迎えたウクライナの人々は、ロシアによるインフラ施設攻撃による停電などの影響で、凍えるような寒さをしのぎながらの苛酷な日々を過ごしている。
その一方で、ロシアの一部の国民がタイのリゾート地で優雅な休暇を楽しんでいるシーンが報じられている。まったく、やりきれない話である。
さて、そのロシアとの関係で気になるデータがある。日本は現在、ロシアに対して経済制裁中なのだが、今年1─11月までの対ロ貿易の実態を検証すると、すでに輸出入総額は昨年並み、輸入額は昨年を上回っている。経済制裁中にもかかわらず、制裁前よりも取引額が上回るという異常な事態が起きているのである。これは見過ごせない問題だ。その内情を検証してみよう。
貿易統計によると、1─11月の対ロ貿易(累計)は、輸出5423億円に対し、輸入約1兆8252億円で、1兆2829億円の赤字となっている。輸入額は令和3年のトータル1兆5516億円をすでに2700億円超も上回っている。それだけロシア国内に日本から巨額の貿易マネーが流れ込んでいるということだ。
経済制裁下でいったい、どんな取り引きが行われているのか。輸出と輸入それぞれについて代表的な品目をチェックしてみよう。
■ロシアで人気となっている日本の高級中古車
輸出ではなんといっても中古車輸出が多い。今年1─11月のロシア向け中古乗用車の輸出量は18万688台、輸出金額は約2151億円で、2位のアラブ首長国連邦(11万1406台、約349億円)を引き離して断トツである。しかも、11月までの累計で昨年1年間の15万3271台をすでに上回り、輸出額は1100億円以上も増えているのだ。
ロシアでは経済制裁の影響で欧州などから部品が入らず、国内での自動車生産が激減しているうえ、ルーブル高で日本の高級中古車が買いやすくなった。高性能の日本車はかねてから人気だったが、国内の生産状況や為替事情で一段と日本の中古車人気が高まったのである。
いま、ロシアでは資産価値の高い300万円、400万円する日本の高級中古車が人気になっているという。その結果、日本国内の中古車市場の供給量が減って、価格高騰を招くという事態まで起きている。
この中古車輸出だが、経済制裁で対象となるのは600万円以上の高級車であり、それを下回るものは合法的に輸出することが可能だ。6月以降はトラックやダンプカーも制裁対象となったが、600万円未満の乗用車は依然としてフリーパスである。対ロ中古車輸出が空前の規模となっているのはこうした背景があるのだ。
■「ロシア産の水産物がないと商売にならない」
一方、輸入はどうか。11月のロシアからの輸入総額は1325億5000万円で、そのうちの約66%、約873億円は鉱物性燃料となっている。
具体的には液化天然ガスと石炭である。国際的なエネルギー資源獲得競争が激化するなかで、日本は依然としてロシアへの依存度を下げられないままでいる。日本の大手商社がサハリン2の契約を再締結したこともあり、この構図は簡単には崩れそうにない。
さらに、輸入では水産物も見逃せない。1─10月のロシアからの水産物輸入(ウナギなど生きている魚以外)は1290億円で、チリに次いで2番目に依存度が高い。水産物輸入全体の約11%を占めている。
米国は経済制裁の一環としてロシア産の水産物の輸入を禁じているが、日本は制裁の対象外である。3月に経済制裁の対象が発表された際、「水産物は国内の加工業者などへの影響が大きい」として見送られた経緯がある。
「たとえば、北海道の水産業者にしてみれば、ロシア産の水産物の禁輸は死活問題となります。近年、サケを筆頭に周辺の海域での漁獲量が大幅に減ってきていて、カニやウニなどロシア産がないと商売にならない状況なのです」(水産関係者)
さらに当時の状況下では、日ロ漁業交渉への悪影響を避けたいとの政治的判断も働いたといわれている。
その結果、ロシアからの水産物輸入額の全体は、10月時点で昨年1年間の水準(1368億円)に迫っている。たとえば、ロシア産のカニ輸入額は今年1─10月で約410億円と、昨年1年間の約380億円を軽く上回っているほどだ。
経済制裁下でも続いているロシア貿易のカギを握っているのは、輸入ではエネルギーと水産物、輸出では中古乗用車であることが歴然だ。
■ロシアの戦費まで“支援”している可能性も
ロシアがウクライナへの攻撃を中断する気配をまったくみせないなか、経済制裁のレベルは現状のままでいいのだろうか。輸出入に関する対ロ経済制裁の主な内容をピックアップしてみよう。
【輸出規制】
・トラックやトラクター向けの高出力ディーゼルエンジン
・産業用機械の制御に関わる半導体
・通信装置やセンサーなど
・量子コンピューターや3Dプリンターなど
・600万円超の乗用車
・20万円超のグランドピアノ
・4万円超の宝飾品、ウイスキー、腕時計など
【輸入規制】
・最恵国待遇の取り消し→関税率アップ
・機械類や一部の木材、ウオッカ、自動車など38品目
・石炭は段階的に削減し、最終的には禁止
・石油輸入の原則禁止方針を表明、12月には上限価格を超える原油、石油製品の輸入禁止を発表
これに対して米国は原油、天然ガス、石炭などエネルギーの輸入禁止、魚介類の輸入禁止などを打ち出している。米国自身が資源国であるという事情はあるにしろ、日本よりはるかに厳しい。
各国の経済制裁の結果、ロシアでは7─9月の実質GDP成長率がマイナス4%となり、3四半期連続でマイナス成長となった。外国企業の撤退や輸入部品の調達難により自動車をはじめ生産活動が大幅に制限されている。
一方、中国やインドなどがロシアからのエネルギー資源の輸入を続けていることが、ロシア経済の下支えになっているとの指摘もある。
2022年のロシアの原油輸出は7.5%増の2億4000万トンになる見込みとの報道もある。LNG生産も増えたという。
経済的にさまざまな面で追い詰められているのだろうが、制裁が決定的な効果をあげているとは言い難い状況だ。
日本とロシアとの間で輸出入が続いている品目が制裁除外となった背景に、エネルギー政策や国内の水産加工業者への影響などがある以上、一気に制裁を強化することは難しいかもしれない。しかし、このままでは結果的にロシアを資金面で“支援”しているのと変わらない。その一部が戦費に回っている可能性さえ否定できないのである。
自分が手放したクルマが、知らないうちにロシアに輸出されているかもしれず、正月用に購入したカニはロシア産かもしれない。ロシアからの鉱物資源で電気がつくられ、オフィスや家庭の暖房が動いている。対ロ貿易というと遠い話に聞こえるかもしれないが、実はわれわれ一般市民にとってもごく身近な問題なのである。
■国民には増税、制裁国に流れるカネは放置の岸田首相
岸田首相は国民の声に耳を傾けることなく防衛費の増額、防衛力強化を拙速に決めているが、対ロ政策はどうするつもりなのか。物価高に苦しむ国民生活に追い打ちをかけるような増税を決めながら、経済制裁国に流れる巨額マネーは放置したままでいるつもりなのだろうか。
そもそも、防衛力強化の背景には中国や北朝鮮と並んでロシアも脅威と位置付けているのだろう。しかも首相はウクライナ侵攻を「力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙」(12月10日の会見)と断じている。そんな相手に対しての制裁に“抜け穴”を残したままでいいのか。
この点を日本の記者は触れようとしないが、ウォール・ストリート・ジャーナルの記者は10日の会見で、天然ガスの輸入と中古車輸出について「この事実上の軍事支援をどのように位置づけますか」と問い質していた。
それに対する首相の回答は「G7と足並みを揃えている」「日本への原油の輸出量は大幅に減っている」とはぐらかし、とても納得のいく内容ではなかった。
軍事侵攻国・ロシアへの貿易マネー問題は、国内ではほとんど取り上げられることはないが、米紙の記者は見逃さなかった。決して看過できない問題だからである。ロシアに対する毅然とした姿勢を示すべきだろう。
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山田 稔のプロフィール
ジャーナリスト。1960年長野県生まれ。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。主に経済、社会、地方関連記事を執筆している。
日本の対露貿易は、1月から11月までの実績で、輸出入総額は昨年並み、輸入額は上回っていると、山田氏。
制裁網に参画しているのですから、輸出が減っていて当然なのですが、中古車の輸出は増えているのですね。TVのニュースで見たことはありましたが、1度きり。
今年1─11月のロシア向け中古乗用車の輸出量は18万688台、輸出金額は約2151億円で、2位のアラブ首長国連邦(11万1406台、約349億円)を引き離して断トツなのだそうです。
前年比で増えているのは、輸入。
11月のロシアからの輸入総額は1325億5000万円で、そのうちの約66%、約873億円は鉱物性燃料。
具体的には液化天然ガスと石炭。
サハリン1, 2から、米・エクソクモービル、英・シェルが撤退するなか、日本の財界と政府は、非友好国指定されているにも関わらず、米英の 2社が離脱したことに伴い新規に立ち上げられる新会社算入にしがみついていますね。
さらに、輸入では水産物も見逃せないと、山田氏。
1─10月のロシアからの水産物輸入(ウナギなど生きている魚以外)は1290億円で、チリに次いで2番目に依存度が高い。水産物輸入全体の約11%を占めていると。
「水産物は国内の加工業者などへの影響が大きい」として、規制は見送られたのだそうです。
「カニやウニなどロシア産がないと商売にならない」との水産関係者の声の他に、日ロ漁業交渉への悪影響を避けたいとの政治的判断も働いたといわれていると、山田氏。
その結果、ロシアからの水産物輸入額の全体は、10月時点で昨年1年間の水準(1368億円)に迫っている。たとえば、ロシア産のカニ輸入額は今年1─10月で約410億円と、昨年1年間の約380億円を軽く上回っているほどだと。
岸田首相は国民の声に耳を傾けることなく防衛費の増額、防衛力強化を拙速に決めているが、対ロ政策はどうするつもりなのか。物価高に苦しむ国民生活に追い打ちをかけるような増税を決めながら、経済制裁国に流れる巨額マネーは放置したままでいるつもりなのだろうかと、山田氏。
首相はウクライナ侵攻を「力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙」(12月10日の会見)と断じている。そんな相手に対しての制裁に“抜け穴”を残したままでいいのか! とも。
ウォール・ストリート・ジャーナルの記者は10日の会見で、天然ガスの輸入と中古車輸出について「この事実上の軍事支援をどのように位置づけますか」と質問したのだそうです。
岸田首相の答えは、「G7と足並みを揃えている」「日本への原油の輸出量は大幅に減っている」とはぐらかし、とても納得のいく内容ではなかったと、山田氏。
軍事侵攻国・ロシアへの貿易マネー問題は、国内ではほとんど取り上げられることはないが、米紙の記者は見逃さなかった。決して看過できない問題だからである。ロシアに対する毅然とした姿勢を示すべきだろうと、山田氏。
繰り返しますが、山田氏が指摘されている、物価高に苦しむ国民生活に追い打ちをかけるような増税を決めながら、経済制裁国に流れる巨額マネーは放置したままでいるつもりなのだろうかとの岸田氏への疑問。
岸田氏は、財務省と国民と、どっちを向いて政権運営をしているのでしょう?
# 冒頭の画像は、お正月用のカニ ロシア産?
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