薄煕来氏失脚は、胡錦濤・共青同の強く執拗な追及で一気に進んできましたが、一般民衆へのポピュリズム政策で浸透した部分が根強く残ったり、共産党の強引な追い落としに批判が出るなどして、残り火がくすぶっていて消えきらない様子です。
産経と読売がそれぞれ違う角度で報じていましたね。
「薄煕来氏拘束は違法」と、保守派とされる北京経済管理幹部学院の女性教師、王錚氏が、「逮捕権を持たない一政党の部門が薄煕来氏の自由を奪う権利はない」として警察へ「告発状」を提出する呼びかけをしているのだそうです。
政党が党規違反をしたからといって、日本の国会議員に相当する全人代代表の自由を拘束するのは法律違反として告訴状を提出する呼びかけをしているという、一党独裁の共産党を非難する動きはかつてなかったことだそうで、ネットを使ったからこその広がりをなしとげた行動とは言え、中国社会の変化を感じさせる煙ですね。
王錚氏の携帯が不通になり、身柄を拘束された可能性があるとのことですが、告訴状の提出行進が予告されている、5月3日が注目されます。
一方、重慶市の薄煕来氏失脚後の立て直しにも、庶民に浸透した人気の影と、その庶民へのポピュリズムに費やしたばら撒きのツケに苦戦が続いているようです。
格差の拡大、人権無視への抵抗といった中国の共産党一党独裁体制の経済と政治の基盤部分の矛盾に国民が目覚め始めるおおきな流れが、薄煕来氏失脚の残り火にも表れているのでしょうか。
残り火が再度燃え始めるのか、とりあえずは、5月3日の告発状提出行進が実現されるのかどうかに注目ですね。
# 冒頭の画像は、北京経済管理幹部学院の女性教師、王錚氏
この梅の花の名前は、藤波枝垂
↓よろしかったら、お願いします。
産経と読売がそれぞれ違う角度で報じていましたね。
「薄煕来氏拘束は違法」と、保守派とされる北京経済管理幹部学院の女性教師、王錚氏が、「逮捕権を持たない一政党の部門が薄煕来氏の自由を奪う権利はない」として警察へ「告発状」を提出する呼びかけをしているのだそうです。
中国、保守派が反撃 「薄煕来氏拘束は違法」公開書簡に波紋 (4/30 産経)
【北京=矢板明夫】中国共産党内の権力闘争に敗れた薄煕来(はくきらい)・前重慶市党委書記が失脚した問題で、薄氏を支持する保守派からの反撃が始まったようだ。北京の大学教師がインターネットで「共産党による薄氏の拘束は違法」との趣旨の公開書簡を発表したところ、一部の改革派もこの主張を支持。警察へ「告発状」を提出する動きも出ている。
公開書簡を発表したのは北京経済管理幹部学院の女性教師、王錚氏。薄氏が党中央規律検査委員会に拘束された3月中旬以降、インターネットで数回にわたり、呉邦国・全国人民代表大会(全人代)常務委員長(国会議長に相当)宛てに書簡を発表し、「全人代代表(国会議員に相当)である薄氏が共産党の党規に違反したとしても、逮捕権を持たない一政党の部門が彼の自由を奪う権利はない」として、共産党の手法に疑問を呈した。
28日に発表された書簡では、党中央による薄氏への監禁は憲法と刑法に違反するとして、「5月3日の午前9時に天安門広場に集合し、徒歩で公安省に行って告発状を提出する」と具体的な時間と場所を明記し、一般市民に参加を呼びかけている。
各サイトに転載された書簡はすぐに削除されたが、メールなどで転送され波紋を広げている。
王氏の携帯電話は28日夜から29日未明にかけて通話中の状態が続いたが、29日早朝から電源が切れた。当局の監視下に置かれた可能性もある。
中国で政敵や汚職官僚を失脚させる場合、まずは党規の名目で拘束し、犯罪の「証拠」を集めた後で司法当局が処理するのが一般的だが、こうした手続きを問題視する告発状が、これまで当局に提出されたことはないとみられる。
書簡で薄氏を「人民に愛される幹部」と表現した王氏は、共産党に弾圧されることの少ない保守派のようだ。しかし、一部の改革派も彼女の主張に賛同する姿勢をみせている。
ある人権活動家は「告発状提出を当局は妨害できないと思う。彼女を応援する心情で天安門広場に行ってみたい」と話す。
別の民主化活動家は「保守派が今回提示した問題は、党も法律を守らなければならないという本質を突いている。中国が法治国家に向けて前進するなら、一緒に闘いたい」と語った。
【北京=矢板明夫】中国共産党内の権力闘争に敗れた薄煕来(はくきらい)・前重慶市党委書記が失脚した問題で、薄氏を支持する保守派からの反撃が始まったようだ。北京の大学教師がインターネットで「共産党による薄氏の拘束は違法」との趣旨の公開書簡を発表したところ、一部の改革派もこの主張を支持。警察へ「告発状」を提出する動きも出ている。
公開書簡を発表したのは北京経済管理幹部学院の女性教師、王錚氏。薄氏が党中央規律検査委員会に拘束された3月中旬以降、インターネットで数回にわたり、呉邦国・全国人民代表大会(全人代)常務委員長(国会議長に相当)宛てに書簡を発表し、「全人代代表(国会議員に相当)である薄氏が共産党の党規に違反したとしても、逮捕権を持たない一政党の部門が彼の自由を奪う権利はない」として、共産党の手法に疑問を呈した。
28日に発表された書簡では、党中央による薄氏への監禁は憲法と刑法に違反するとして、「5月3日の午前9時に天安門広場に集合し、徒歩で公安省に行って告発状を提出する」と具体的な時間と場所を明記し、一般市民に参加を呼びかけている。
各サイトに転載された書簡はすぐに削除されたが、メールなどで転送され波紋を広げている。
王氏の携帯電話は28日夜から29日未明にかけて通話中の状態が続いたが、29日早朝から電源が切れた。当局の監視下に置かれた可能性もある。
中国で政敵や汚職官僚を失脚させる場合、まずは党規の名目で拘束し、犯罪の「証拠」を集めた後で司法当局が処理するのが一般的だが、こうした手続きを問題視する告発状が、これまで当局に提出されたことはないとみられる。
書簡で薄氏を「人民に愛される幹部」と表現した王氏は、共産党に弾圧されることの少ない保守派のようだ。しかし、一部の改革派も彼女の主張に賛同する姿勢をみせている。
ある人権活動家は「告発状提出を当局は妨害できないと思う。彼女を応援する心情で天安門広場に行ってみたい」と話す。
別の民主化活動家は「保守派が今回提示した問題は、党も法律を守らなければならないという本質を突いている。中国が法治国家に向けて前進するなら、一緒に闘いたい」と語った。
政党が党規違反をしたからといって、日本の国会議員に相当する全人代代表の自由を拘束するのは法律違反として告訴状を提出する呼びかけをしているという、一党独裁の共産党を非難する動きはかつてなかったことだそうで、ネットを使ったからこその広がりをなしとげた行動とは言え、中国社会の変化を感じさせる煙ですね。
王錚氏の携帯が不通になり、身柄を拘束された可能性があるとのことですが、告訴状の提出行進が予告されている、5月3日が注目されます。
一方、重慶市の薄煕来氏失脚後の立て直しにも、庶民に浸透した人気の影と、その庶民へのポピュリズムに費やしたばら撒きのツケに苦戦が続いているようです。
薄氏色清算悩む重慶 革命歌停止・暴力団撲滅は継続 巨額債務も (4/30 読売朝刊)
【重慶=竹内誠一郎】中国の薄煕来前重慶市共産党委書記(62)の失脚で、薄氏が2007年12月の就任後から約4年間、同市で進めてきた強権政治の清算が重大懸案として浮上している。放漫財政による巨額債務も発覚し、3月15日に後任の党委書記に登用された張徳江副首相(65)(党政治局員)は、難しいかじ取りを迫られている。
28日、市郊外の万盛経済技術開発区で、商店、飲食店などが数日間店を閉めるストライキが始まった。昨年10月、薄氏が「貧困エリアを救う」として、民意を無視して近隣区との合併を強行したことへの抗議で、今月中旬には住民と警察当局とが衝突。薄氏の失脚で不満が一気に噴出した格好だ。
張氏は「今後5年の発展を計画するため」、5月以降に薄氏系幹部を一掃させる人事構想を表明。市幹部に対し、薄氏が掲げた環境保護や治安改善などのスローガン「五つの重慶」の使用を禁じ、宣伝ポスターの撤去を進めている。また、市民総出で展開されていた「紅歌(革命歌)」の歌唱運動も停止。「政府職員は薄氏や父の薄一波氏の名を公の場で提起することも禁じられた」(党関係者)という徹底ぶりだ。
張氏が薄氏色の払拭に躍起となるのは、薄氏が推進した低所得者向け賃貸住宅建設などの格差是正政策は市民から一定の支持を得ているからだ。男性運転手(40)は「ポスターを片づけても、我々の心に残る薄書記の功績は片づけられない」と語る。根強い薄氏の人気は、同氏が「自分で新聞記事を検閲した」(地元紙幹部)とされるほど、自身の政策を称賛させる宣伝工作を推し進めてきたことも背景にある。
だが、薄氏が王立軍・同市前公安局長を登用し、法的手続きを無視して進めてきた暴力団撲滅の「打黒運動」は、世論の支持が強く、否定し去るのは容易でない。25日に開催された公安当局の会議では、「従来とは異なる手法で継続する」ことを確認するなど、世論に配慮せざるを得なかった。
一方、市政府関係者によると、大衆受けを狙った薄氏の放漫財政による巨額債務が発覚。4月上旬の幹部会議では、「5年間で20年分の支出額を使い切った」と報告された。緑化政策の樹木購入だけで数十億元を投じ、債務額は少なくとも2兆元(約26兆円)。各銀行は市政府への融資をストップさせ、返済が集中する8月には、資金が回収できない中小企業の連鎖倒産が相次ぐ恐れもあるという。
【重慶=竹内誠一郎】中国の薄煕来前重慶市共産党委書記(62)の失脚で、薄氏が2007年12月の就任後から約4年間、同市で進めてきた強権政治の清算が重大懸案として浮上している。放漫財政による巨額債務も発覚し、3月15日に後任の党委書記に登用された張徳江副首相(65)(党政治局員)は、難しいかじ取りを迫られている。
28日、市郊外の万盛経済技術開発区で、商店、飲食店などが数日間店を閉めるストライキが始まった。昨年10月、薄氏が「貧困エリアを救う」として、民意を無視して近隣区との合併を強行したことへの抗議で、今月中旬には住民と警察当局とが衝突。薄氏の失脚で不満が一気に噴出した格好だ。
張氏は「今後5年の発展を計画するため」、5月以降に薄氏系幹部を一掃させる人事構想を表明。市幹部に対し、薄氏が掲げた環境保護や治安改善などのスローガン「五つの重慶」の使用を禁じ、宣伝ポスターの撤去を進めている。また、市民総出で展開されていた「紅歌(革命歌)」の歌唱運動も停止。「政府職員は薄氏や父の薄一波氏の名を公の場で提起することも禁じられた」(党関係者)という徹底ぶりだ。
張氏が薄氏色の払拭に躍起となるのは、薄氏が推進した低所得者向け賃貸住宅建設などの格差是正政策は市民から一定の支持を得ているからだ。男性運転手(40)は「ポスターを片づけても、我々の心に残る薄書記の功績は片づけられない」と語る。根強い薄氏の人気は、同氏が「自分で新聞記事を検閲した」(地元紙幹部)とされるほど、自身の政策を称賛させる宣伝工作を推し進めてきたことも背景にある。
だが、薄氏が王立軍・同市前公安局長を登用し、法的手続きを無視して進めてきた暴力団撲滅の「打黒運動」は、世論の支持が強く、否定し去るのは容易でない。25日に開催された公安当局の会議では、「従来とは異なる手法で継続する」ことを確認するなど、世論に配慮せざるを得なかった。
一方、市政府関係者によると、大衆受けを狙った薄氏の放漫財政による巨額債務が発覚。4月上旬の幹部会議では、「5年間で20年分の支出額を使い切った」と報告された。緑化政策の樹木購入だけで数十億元を投じ、債務額は少なくとも2兆元(約26兆円)。各銀行は市政府への融資をストップさせ、返済が集中する8月には、資金が回収できない中小企業の連鎖倒産が相次ぐ恐れもあるという。
格差の拡大、人権無視への抵抗といった中国の共産党一党独裁体制の経済と政治の基盤部分の矛盾に国民が目覚め始めるおおきな流れが、薄煕来氏失脚の残り火にも表れているのでしょうか。
残り火が再度燃え始めるのか、とりあえずは、5月3日の告発状提出行進が実現されるのかどうかに注目ですね。
# 冒頭の画像は、北京経済管理幹部学院の女性教師、王錚氏
この梅の花の名前は、藤波枝垂
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