遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

インドのミサイル発射実験 国際非難なく米も容認に変わった理由は

2012-05-01 22:57:11 | EEZ 全般
 北朝鮮の衛星発射実験には、世界中が挙げて非難しましたが、直後に実施されたインドのミサイル発射実験は、堂々とミサイルと公言しているにも関わらず、非難の声は聞こえて来ませんでした。過去、パキスタンとの核開発競争が盛んなころには、国連で核実験を非難し、弾道ミサイルの開発等を止めるよう求める決議(国連安保理決議1172)を採択していたのでした。
 何故なんだろうと、不思議に思い勝手にいろいろ想像を巡らせていましたが、産経がその解の記事を載せてていました。

 
印パ戦争 - Wikipedia
 
【日々是世界 国際情勢分析】インド弾道ミサイル 国際社会沈黙の意味 (5/1 産経)

 19日にインドが実施した長距離弾道ミサイル、アグニ5の発射実験は国際社会で冷静に受け止められた。むしろ、実験成功を歓迎するような雰囲気もあったようにみられる。これが10年前だったら激しい対印批判
が噴き出していただろう。こうした変化には、南シナ海などでみられる中国の台頭を受けたインドへの期待感の高まりがある。
 ヒンディー語で「火」を意味するアグニ5の特徴は何と言っても、中国全土をすっぽりカバーする性能だ。アグニ5が北京や上海といった
中国の主要都市を攻撃できることは、中国に対する抑止効果
に大きな意味を持つ。それだけに、中国の振る舞いに眉をひそめる国にはインドの軍事力向上を好意的に受け止めているようにみえる。
 核兵器削減など軍縮の旗振り役となっている米国からもインドへの批判的な言葉はなかった。むしろ、米国務省から飛び出したのは「インドは完全な不拡散の経歴を持っている」との発言で、発射実験を容認した格好だ。ちなみに、
1998年の国連決議1172はインドとパキスタンにミサイル開発や生産をやめることなどを求めている

 しかし、24日付の
米紙ウォールストリート・ジャーナルはこうした風潮にクギをさす。同紙は「インドのような大陸の大国は西側外交官が切望する条約にもかかわらず、兵器開発の追求が安全保障上の国益であると信じている」と断じる。その上で、「中国によるインド領土の領有権主張と隣国への威嚇があればなおさらだ」として、インドにも追い込まれれば武力行動に踏み切る
可能性があると警鐘を鳴らす。
 20日付の
英紙フィナンシャル・タイムズは「国際社会はインドの核開発に目をつぶってきたが、長距離弾道弾ミサイル発射実験を行ったいま、これ以上、インドの野心を無視できない
」として、インドに核拡散防止条約(NPT)加盟を迫るべきだとしている。それが無理ならば、原子力供給国グループ(NSG)などの枠組みに正式加盟すべきだと主張する。
 しかし
インドは、外国から安全保障面で足かせをかけられることは論外という立場。インド警戒論にも耳を貸さず、「中国がパキスタンの核・ミサイル開発に手を貸したり、インド領土の領有権を主張したりしなければいい」というだけだ。だが、中国の軟化が期待できない以上、抑止効果を狙ったインドの核・ミサイル開発は続く
だろう。

 極東国際軍事裁判(東京裁判)で、実質は英国の植民地でありながら判事を出した国の一つとなっていた、戦勝国の実績があったからなのかとも考えましたが、核保有国の世界で6番がインド、7番目がパキスタンとなった時には非難されていたのです。「国連安保理決議1172」の、「核弾頭搭載可能な弾道ミサイルの開発及び核兵器のための核分裂物質のいかなる生産をも中止」を求められているのですから、戦勝国特権が常任理事国ほどには強くないのです。
 しかし、それらを無視する態度に対して国際社会は、これまでも制裁措置をするなどの北朝鮮並の強い態度はありませんでした...。

 そもそも、インドが核を保有した動機が、対パキスタンもさることながら、中国の核保有に刺激されたこともあり、今回の実験目的が、中国全土を攻撃できる能力を示す抑止力の明示であったことが、対中包囲網形成を進めているASEAN、米国、日本、オーストラリアにとっては歓迎すべき抑止力の強化となるものだったと言うのが、非難どころかむしろ歓迎・容認の姿勢となった根拠だと言うのです。
 パキスタンの核開発の支援を中国が行っていることも、当然伏線にありますね。

 但し、英紙フィナンシャル・タイムズが言う、「核拡散防止条約(NPT)」「原子力供給国グループ(NSG)」といった国際協調組織への参加は、最低限の不拡散への歯止めとして求めていく必要はありでしょう。
 日印の原子力協定交渉再開を、玄葉外相が訪印し合意しつつも、核不拡散を強調はしています。
 
印・日、原子力協定交渉の再開で合意 - 中国国際放送局

 敗戦国の日本は、軍事力としての核保有は放棄していますが、衛星の打ち上げは公認で行い、衛星ビジネス戦線でも高度な成功実績を誇れる様になってきています。更に、ミサイル迎撃用のミサイル保有を米軍と共有のMD体制として構築しています。ミサイルが発射されてからのアクションにとどまらず、確立の高い、発射直前に基地を先制破壊する方法については、日本国内の法解釈で議論がとどまっています。この日本の防衛のための先制攻撃は、国際社会では一部の国を除いて、当然のこととして容認されるのでしょうか?
 国家を護るには必要だと考えます。
 その意味では、インドの毅然とした態度を、日本は学ぶべきでもあります。表現が安直になりますが、インドと日本の姿勢を足して割ればいい線になるのかも。



# 冒頭の画像は、日印外相間戦略対話を前に握手を交わす玄葉光一郎外相とインドのクリシュナ外相



 この梅の花の名前は、緑萼

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Fotolia


中国、核ミサイルの標的 (角川oneテーマ21)




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